石川知裕議員に下されたのは想定外の有罪判決だった。小沢一郎氏を巡る一連の公判、地検特捜がもくろむのはいったい何なのか。政治資金規正法違反容疑に問われた当事者として、石川氏が見聞し、実体験したコトの仔細、さらには剛腕・小沢の真の姿を、同じく司法の悪辣捜査に狙われた佐藤優氏と共に、全て語っていただこう。



いしかわ・ともひろ

 1973年生まれ96年2月〜05年7月まで小沢一郎氏秘書。05年の05年の衆院選で北海道11区から民主党公認で立候補、落選するが07年3月繰り上げ初当選を果たす。09年再選。10年1月、政治資金規正法違反容疑で逮捕、同年2月起訴、民主党を離党。11年9月26日、第一審で禁錮2年・執行猶予3年の有罪判決。現在、控訴中。著書に「悪党 小沢一郎に仕えて」。
さとう・まさる

 1960年生まれ。在モスクワ日本大使館勤務などを経て、国際情報局分析第一課主任分析官。02年、背任容疑で逮捕後、最高裁で有罪判決確定。現在、作家。著書に「国家の罠」「自壊する帝国」「外務省ハレンチ物語」「この国を動かす者へ」「この国を壊す者へ」他、多数。本誌連載「ニッポン有事!」が好評。
地検特捜に感謝する部分もあるんです
佐藤 まずは、ご結婚おめでとうございます。

石川 ありがとうございます。判決の出た翌日の夜に結婚を決めたわけですから、「何もこんな時に」などという声も聞かれましたけれど、逮捕されて以来(10年1月、政治資金規正法違反容疑)、私にとってはずっと「こんな時」が続きっぱなしなんですよね。

佐藤 奥様とは東京地検特捜部が縁だったとか。

石川 彼女のお父さんが逮捕され聴取を受けていたこともあり、話が合ったんです、拘置所での差し入れの話とかで。だから、地検特捜には感謝する面もありますね(笑)。

佐藤 小沢(一郎)さんのところではあまりいいことなかったのでは? 著書「悪党 小沢一郎に仕えて」(朝日新聞出版)にも書いてあったけど、結婚前提だった女性の家に行った時には、玄関口で猫からシャーッて威圧されて断念しているし、事件前に交際中だったCAは石川さんが新聞ざたになって以降、連絡が来なくなっちゃった。

石川 あの時の女性、偶然にも、私が疑われていた某建設会社と同じ名字だったんです。彼女と会った日のことを手帳に記してあったんですが、おかげで取り調べの時に「やはり受け取っただろ!」と検事からさんざん追及されました。

佐藤 ないところから話を作るのが特捜部ですから。調書とは全然違うものが、取り調べの昼休みの間に作られていたりすることだってあります。猫は石川さんに降りかかるそんな無理筋な話を予感したのかもしれませんね。勘が鋭い動物だから。

石川 猫と言えば、小沢さんって猫が大嫌いだったんですよ。

佐藤 鳥(文鳥)を飼ってるから?

石川 実は、鳥を殺されたことがあるんです。

佐藤 猫は鳥を殺すのが仕事ですからね。政治家が政治献金を集めるのが仕事と同じように。

石川 ある日、カルガモの親子が小沢邸の庭に来るようになったんですね。小沢さんは凄く喜んでいたのですが、猫が手にかけてしまった。小沢さん、凄く怒りまして、「塀に有刺鉄線を張る!」って言いだした。そんなことしたら「4億円以外にもカネがあるんじゃないか」って疑われちゃうじゃないですか。秘書全員で反対しましたよ。それでも針金みたいなものはいちおう、張っていました。

佐藤 それで猫は来なくなった?

石川 はい(笑)。