梁は北朝鮮代表の戦い方について、冗談も口にしながら以上のように語ったが、具体的な戦い方に関しては大まかなことしか語らず、「もう戦いは始まっている」と詳細な話は一切口にしなかった。そうした姿勢に北朝鮮代表としての強い自覚が感じられた。

■在日の子ども達、仙台で応援してくれる人のために

――在日の期待を背負って頑張る、と以前話していたが。
自分は日本で生まれてずっと今まで育ってきて、朝鮮学校に通って教育を受けてきて、そういう人達が日本にはたくさんいます。そういう人達の中から自分が代表として北朝鮮代表のチームに入ってプレーするので、そういう人達にも喜んでもらい、力になるプレーをしたいと思います。

――大阪朝鮮高の先生からも「みんな憧れているので頑張ってほしい」と激励があった
自分はサッカーで育ってきたので、サッカーでプロを目指している子ども達に、自分もこういう所を目指してやりたい、と思ってもらえるように自分は精一杯頑張って、良い刺激にしてくれたら良いかな、と思います。

――仙台の歴史でも所属選手がワールドカップに絡むことはなかったが。
昨年そういう大きなチャンスがありましたが、自分は出られなかったので、次の2014年に向けて最後のチャレンジだと思って思い切りやりたいと思います。

――仙台サポーターの中には苦労して日本代表戦のチケットを入手している人もいるようだが。
それはすごくありがたいですし、こちらで応援してくれる人もいると思いますので、良いプレーを見せて、全力で自分はやるだけです。

自分を支えてくれる在日の方々や、仙台サポーターに向けて、全力でのプレーを約束した梁勇基。「最後のチャレンジ」という言葉を使い、ブラジルワールドカップ出場に向けての強い決意を語った。

この囲み取材の翌日のみちのくダービーで、梁は仙台の得点2点に絡む活躍を見せた。1点目は赤嶺真吾のゴールの起点となるパスをアシストを決めた朴柱成に出しており、2点目はやり直しもあったがPKを確実に決めて、勝利に大きく貢献した。所属チームでしっかりと仕事をした上で、北朝鮮代表チームへと合流することとなった。

山形戦後梁は「グループ突破を目指す上での初戦というのはすごく大事だと思いますので、全力でぶつかって精一杯戦いたいと思います。今日も『代表で頑張って来いよ』という声をかけられましたし、次は自分自身代表に切り替えて、9月2日にしっかりコンディションを合わせて戦いたいと思います」と改めて日本代表戦への意気込みを語った。そして現在北朝鮮代表と合流し、日本代表戦に向けて最終調整を行っている。

9月2日の日本-北朝鮮戦、日本代表の戦いに注目すると共に、8年もの間仙台の中心選手として活躍し、活動量豊富で高い技術を誇るプレーヤー梁勇基にぜひ注目してもらいたい。ゴール前で不用意なファールをすれば、梁の精度の高いプレースキックが待っている。日本代表は心して戦わねばならないだろう。

■著者プロフィール
小林健志
1976年静岡県静岡市清水区生まれ。大学進学で宮城県仙台市に引っ越したのがきっかけでベガルタ仙台と出会い、2006年よりフリーライターとして活動。ベガルタ仙台オフィシャルサイト・出版物や河北新報などでベガルタ仙台についての情報発信をする他、育成年代の取材も精力的に行っている。

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