インタビュー:immi「映像の世界観と音楽が完全に一致」
――「エンド・オブ・ライン・クラブ」のシーンでは、本作の映画音楽を担当しているダフト・パンクも出演していましたよね。
immi:あそこで登場する演出がまさに「この人たちが映画音楽を作っている」という感じがしてステキですよね。あそこはちょっとラウンジっぽい感じになっていたけど、最初サムがディスクで闘っていた時の空間が、スピーカーっぽいものがあったり、巨大なクラブみたいだなと思いました(笑)。――ダフト・パンクの楽曲は今までにも聴かれていましたか?
immi:アルバムは、ほぼ聴いています。コード感だったり、展開だったり、ダフトパンクらしいフックとなるフレーズが必ずあって、いつもどこかレトロなポップさを感じさせるのが上手いなと思います。自分がDJをする時もフレンチものは結構かけたりします。――immiさんは、ダフト・パンクも使っているスタジオで作業されたことがあるともお聞きましたが。
immi:今までにリリースした作品のマスタリングは全部、ロンドンのエクスチェンジというスタジオにやってもらっています。音がオーバードライブされてくるというか、良いひずみが加わって強さを増すというか。中低域とか、腰にくる感じの音になって、重みが出るんですよね。デビューの頃から頼んでいたんですけど、当時フレンチハウスとかの音作りがキーワードだったので、「みんなは、どこでやっているのかな?」と思って調べたら、ジャスティスとか海外の有名なアーティストはみんなそのスタジオでやっていて。私自身も他のアーティストたちから「アレは、どこでやったんですか?」って問い合わせされたり、日本のアーティストでもすごく使われるようになりましたね。――『トロン:レガシー』は劇場公開時に、映像だけでなく音楽を評価される方も多かったですが、音楽で印象に残っているシーンはありますか?
immi:アクションシーンを見ていると、映像と音楽との世界観が合いすぎちゃって、音楽だけに耳を傾けるという感覚があまり無かったけれど…。もうコンピューターの中の世界に入ってきてからは、本当に映像の世界観と音楽が完全に一致しているから、普通に気持ち良く聴いちゃっていたんです(笑)。その前の現実世界でサムがバイクで高速を飛ばしている辺りからダフト・パンク色が出ていて。普通の映画だったら、もうちょっと違った音楽を付けていたかもしれないなと思いました。映像は街灯が灯っていて優しい感じの映像なんだけど、意外とエレクトロ系の音楽だという。そこがすごく印象的で、「この先どうなっていくんだろう?」という入り口のワクワク感が出てきました。――『トロン:レガシー』は映像と音楽が見事に融合された作品だと感じますが、immiさんはご自身のミュージックビデオなどで、音楽と映像を組み合わせる際に、どんなことを意識されますか?
immi:最初に音を作っている時に大体イメージがあるのですが、それを元に監督さんなどと話し合いながらアイデアを膨らませます。色々と曲のキーワードをつみ取りながら、ストーリー的に意味のあるものに。例えばカラーやファッションを意識したり、ストーリーと視覚的な面白さがあればいいなと思ってます。私の曲はダンスミュージック的アプローチが多いので、VJとかもそうですけどタイミングだったり、音と映像との組み合わせの妙が一番大事かなと。――ちなみに、1982年に公開された原作『トロン:オリジナル』はご存知ですか?
immi:原作があるのは知っているんですけど、まだ観たことが無いですね。『トロン:レガシー』を観た後に、『トロン:オリジナル』も観てみたいなと思いました!――では最後に、映画を観ている方も多いかもしれませんが、これからブルーレイやDVDをご覧になる方に向けて、immiさんが感じた『トロン:レガシー』の見所を教えてもらえますか?
immi:ストーリーは想像を超えるような世界で、例えば宇宙のエイリアンとかだったら実感が湧くというか実体があるんだけど、コンピューターのプログラムという触れない世界の中に入っていって、それが人間のように描かれるという感覚がビックリだなと。あと、ライト・サイクルで色々な所を立体交差していくシーンとか、映像の凝った作りがすごくリアルで、自分がそこにいるかのように体感しました。ゲームに夢中になって時間も忘れちゃう感覚。アクションや3Dのカッコ良さはもちろん、人間の欲望やダークサイド、プログラムの中の人間を現実世界と繋げてしまうような人間模様は、共感出来る面白さがあるなと思いました。男性だけじゃなく、女性も楽しめる作品ですね!immi
エレクトロニックサウンドからアートワークまで独自の感性でコラボレートさせるシンガーソングライター。世界のダンス・シーンともリンクする斬新なエレクトロ・ミュージックとポップス/ロックがハイクオリティーで融合した楽曲は日本の音楽シーンのニュー・タイプとして注目を集めている。クラブ/フロア向けなユニット"Tacomimi"名義でのDJ活動もしている。
immi official website
・『トロン:レガシー』特集 - MOVIE ENTER