【オピニオン】ゼネラリストか、スペシャリストか−日本人材ニュース
 偏見を承知で書くが、音楽家や画家など「その道一筋」の人たちと話すのはあまり得意ではない。もちろん、芸を極めるための創意工夫や強い意思力は学ぶべきところが多い。だが、「その道が人生のすべて」という人たちには、強い自己愛とともに、他の価値観を顧みない、ある種の傲慢さが同居していることが少なくない。



 日本人はどうもこうした人たちに寛容だなと感じる。味はともかく、客を客とも思わない「頑固な店」が妙な人気を呼ぶのも、日本人のこうしたメンタリティーを逆手にとっているのかもしれない。

 道を極める人たちを仮にスペシャリストとすれば、日本人の多くはゼネラリストとして育てられる。会社でも営業畑、経理畑などがあるにはあるが、米欧の企業ほど専門の深堀りはしない。果たしてこれは経済社会にどのような影響を及ぼすだろうか。

 米金融危機は、金融工学を駆使した先端金融商品が大きな要因となった。冷戦崩壊とともに軍需産業から三顧の礼でウォール街に迎えられたサイエンチストたちがスーパーコンピューターを使って組成したのがデリバティブなどの金融商品だ。

 これらの商品が持つ収益性やリスクは組成したサイエンチスト本人しか把握していなかった。所属する金融機関のリスク管理部門、中央銀行、国際通貨基金(IMF)など統治機関にとって、商品のからくりはブラックボックスのままだった。

 金融危機を未然に防げなかったはずである...(もっと読む


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