【オピニオン】経営者の資質映すリストラの中身−日本人材ニュース
 来年の話をすると鬼が笑うと言うが、もうそろそろ鬼も真顔になって聞いてくれるかもしれない。2009年の経済の焦点は、間違いなく雇用だろう。日本だけではない。主要国も同じだ。過去数年続いた世界的な生産拡大が、金融危機をきっかけとした世界同時不況で一気にしぼみ、失業問題が大きくクローズアップされる。そんな年になると思っている。

 日本経済は昨年末からの景気後退に加え、金融危機が追い打ちをかけて企業のリストラが始まっている。標的は派遣社員などの非正規雇用だ。

 考えてみれば、全従業員の3人に1人が非正規雇用になるなど日本の雇用形態が大きく変わってから初の景気悪化である。経済変動の調整弁といわれた非正規雇用が、もろにその大波を受ける状況が初めてめぐってきたわけだ。

 既にトヨタ自動車が千数百人の期間工を削減。いすゞ自動車も2工場計千四百人の契約を年内に打ち切ると発表した。半導体需要が落ち込む電機業界でもシャープが福山工場の派遣社員削減を検討している。こうした流れは来年になってさらに加速するとみられる。

 非正規雇用の人たちが次々に生活基盤を失えば、大量の無所得者層が生まれ、冷え込んだ景気をさらに下振れさせる。失業保険などで財政も悪化し、地方の税収も減る。

 経済問題だけではない。企業という枠組みから生活の糧を失ってあふれ出る人たちは、社会不安をかきたて治安も悪化するだろう。企業に残った人...(もっと読む


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