【編集長日記】イタリア警察は外国人なめてんの? と思ってしまう出来事
先日、『あなたは恋人と結ばれない! トレビの泉からお金を盗むオッサン発見』という記事をお伝えしました。そのニュースの内容をカンタンに説明しましょう。イタリアのローマにトレビの泉という「コイン(お金)を泉に投げ込むと恋人と永遠に結ばれる、ローマにもう一度戻れる」という言い伝えがある観光名所があるんですが、けっこう有名なので皆さんもご存知かと思います。
そこには朝から晩までひっきりなしに観光客が訪れ、コインを投げ入れていくんですね。みんな夢や希望を持って投げ込むわけです。そこに投げ込まれたお金はローマ市が責任を持って慈善団体に寄付しているわけですが、泉からお金を盗み出している人がいるんですよ。伸縮自在の棒の先に磁石をつけて、磁石に反応してくっついてくる1〜2ユーロや5セントなどのコインを盗んでいるわけですね。日本で言うところの、神社の賽銭泥棒(さいせんどろぼう)みたいなものです。
以前からトレビの泉に賽銭泥棒がいてお金を盗んでいることや、盗んだ罪に問われて逮捕された犯人が過去に数人いたことも、テレビやニュースで知っていました。しかし、実際に目の前でオッサンが磁石の棒でコインをトレビの泉から盗ってたんですよ。逮捕者まで出た犯罪を目の前でオッサンがやっているわけです。とっさに写真や動画を撮ったので、バッチリと証拠を得る事ができた! ……と、ここまでを、『あなたは恋人と結ばれない! トレビの泉からお金を盗むオッサン発見』という記事でお伝えしたわけです。
そして、イタリア語で「私は日本人でインターネットのニュースを書いている者だが、偶然にもトレビの泉からお金を盗んでいる男を目撃し、写真と動画で証拠も得られた。自分が投げ入れたお金も瞬時に盗られたし、他の観光客も盗られて憤慨していた。しかるべき対処をしてほしい。私にできることは何かあるか?」と書いた紙を持って、ローマ警察のトレビの泉を管轄している警察官(ちょうど3人がかたまって話していた)に証拠とともに紙を見せたんですよ。
警察官が「なんだと!? それはひどいな。一緒に警察署まできてくれ。証拠の写真と動画をコピーさせてくれるか? 君についてもいろいろと話を聞きたい。協力してくれてありがとう!」と言って……くると思われたのですが、そうではありませんでした。「はい? あー……、そういうことか。グラッツェグラッツェ! パトロールを強化しよう! んじゃまた! グラッツェグラッツェ!」と言いつつ、その場をそそくさと立ち去るじゃないですか! 重ねて言いますが3人ともです。
たとえすぐに対応できなかったとしても、私が伝えようとしていることを理解したとたん、その場から3人とも立ち去るというのはどういうこと!? その理由はひとつしかありません。面倒なのです。うるさいクレームをつける観光客の相手は面倒なのです。では、どうしてお金を目の前で盗まれている観光客がクレームや被害届や目撃情報を伝えないのでしょうか? それは、トレビの泉に訪れた思い出をよいかたちとして残したいからです。、無関心だからではないのです。お金を盗られているシーンを目撃している多くの観光客が嘆いているはずなのです。
今回の取材旅行でイタリア警察とも何度か触れ合ってきましたが、些細(ささい)な出来事に関しては(面倒じゃないので)非常に親切にしてくれるものの、今回のような窃盗などの問題に関しては、非常に適当な対応しかしないことがわかりました。過去に逮捕者が出ているような犯罪に対して軽くスルー。もし私が「私の盗られたお金を取り戻してほしい!」と2ユーロ程度でも被害届を出したらどうなっていたでしょう? さすがに日本の警察だとしても「ありがとう!」と言いながらその場から立ち去るなんてことはしないはずです。
日本人に対するボッタクリで騒動になったばかりのイタリアですが、イタリアの警察自体が体質を変えないと、安心してイタリアを観光することなどできないのではないかと思います。イタリアのピザの味が世界最高なのは認めますが、警察の質は感心できません。首相に手紙を出そうかと考えているほどです。この記事が、在日イタリア大使館の大使館員の目に届くことを強く願います。グラッツェ!
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