9月14日より、「カップヌードル カレー」の肉が「カレー専用コロ・チャー」に変更された。カップヌードルのふにゃっとした肉、「ダイスミンチ」から、コロッとしたチャーシュー「コロ・チャー」への変更、シーフードヌードルへの「貝柱」追加投入に続く具材強化は、代表的3ブランドで完成した。
しかし、その狙いはそもそもなんだったのだろう。

「新・うまい! カップヌードル」をコンセプトにした一連の取り組みが始まったのは、今年の4月のこと。しかし、その1年前、2008年にカップヌードルは一度、消費者から手痛い洗礼を受けたのである。
小麦をはじめとした食料高が世界に蔓延し、日本市場もその直撃を受けた。麺を扱う日清食品はまさにその爆心地にいたといっていい。苦渋の決断の末、主力商品のカップヌードルの卸値を15円値上げした。結果的に流通マージンが上乗せされ、店頭小売価格は30円の値上げとなった。
その結果、値上げ前月比−52%という、売上げ半減に陥ったのである。

カスタマーバリューという、顧客が「これくらいなら払ってもいい」という相場感は、カップ麺の場合、あるネット調査によれば70%が150円までで、そのうち30%が100円までと回答した。カップヌードルは値上げによって150円の上限を超えてしまったのだ。

価格設定の代表的な観点は大きく3つある。前述の顧客が払ってくれる価格を想定した「カスタマーバリュー志向」の価格設定と、自社の原価(固定費+変動費)にいくら利益を利益を積み増そうかと考える「原価志向」の価格設定。そして、競合の価格設定を考慮した「競合志向」の価格設定である。
実際にはどれか一つで設定することは危険で、3つの価格設定を考慮して最終決定を下すのであるが、カップヌードルの値上げは「原価志向」が優先された結果、顧客の離反を招いたと解釈できる。

しかし、日清食品の英断はここからなのだ。

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