日本マーケットの“少子高齢化”対策のためのM&Aが目白押しである。今後どの業界でもこのキーワードを意識した長期戦略を考える必要がある。

日本マーケットの“少子高齢化”対策のためのM&Aが目白押しである。今後どの業界でもこのキーワードを意識した長期戦略を考える必要がありそうだ。

まず食品業界では、食品業界最大手のキリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合が7月中旬に公表された。統合されれば、売上高3.8兆円と日本の飲料メーカーではダントツのトップだが、全世界ランクでは5位と世界的な生き残り合戦ではまだまだの規模のようだ。

また8月に入り、化学業界では総合化学首位の三菱ケミカルホールディングスが合繊大手三菱レイヨンの完全子会社に向けて動き出した。業界の垣根を越えた再編で、このM&Aも圧倒的な規模を誇る欧米化学メーカーや台頭する中東・アジア勢との競争に勝ち残るためだ。

8月中旬には、サッポロホールディングス、ポッカコーポレーション、明治ホールディングスの3社による業務資本提携が発表された。3社連合を形成し、商品の相互供給、共同開発などで協力し国内外の市場を共同開拓する方針。

上述したケースに共通するのは、“少子高齢化”による国内市場縮小と激しくなる国際競争に直面する中で、企業規模を大きくし、グローバルに通用する世界企業に向けた取り組みであるという点だ。

例えば、キリンとサントリーはこれまでそれぞれ単独でも海外でのM&Aを実行して規模拡大と収益力の向上を推進してきたが、米コカコーラグループやペプシコ等と比較した場合、収益力ではかなり水をあけられている。したがって世界規模で通用する収益力を形成するためには日本マーケットでトップを競う企業同士の統合といういままで考えられなかった戦略を実行していかなければ世界企業としては生き残れないということだ。


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