自らが属する業界が成熟化し、過当競争が激しくなってきたとしたら、どのような生き残り策を考えるだろうか。その好例が8月10日の日経MJ一面に二つ並んでいた。100円ショップとタクシー。共に苦境に立たされている業界である。

2000年頃、「こんなものまで100円で買える!」という消費者の新鮮な驚きを集め急成長した「100円ショップ業界」。不動のトップはダイソーだが、第2位が逆転。3位だったセリアがキャンドゥを抜いたのだ。
しかし、業界環境は芳しくない。雨後の竹の子の如く後発の進出が相次ぎ過当競争が起きた。やがて消費者が新鮮さを覚えなくなり、その後の不景気で財布の紐を引き締めた。一時期ほどではないものの主力製品である石油製品や金属の原材料費は高止まりしている。スーパーに並ぶ安価なPB品も代替品として大きな脅威となっている。・・・と、明らかにオイシクナイ業界に変貌してしまっているのだ。

オイシクナイ状況を変革しようと各社は価格改定のチャレンジに踏み切った。100円ワンプライスではなく、300円、500円、1000円などの価格帯も取り入れたのだ。
しかし、価格を多様化するということは、「100円ショップ業界」から、より広汎な「雑貨業界」への転換を意味する。狭い業界から広い業界へと転換すれば、より数多い競合と戦うことになり、取扱商品に対する消費者の比較眼も厳しくなることを意味している。
売上げ第1位のダイソーは、100円以上の商品取り扱いに踏み切る一方、より加速しているのが海外進出である。1000ウォン(約60円)ショップとして大好評の韓国をはじめ、22の国と地域に展開しているのだ。しかし、海外進出は業界でダントツの地位を占めるダイソーを運営する大創産業ほど体力のある企業でなければ容易なことではない。

上記の100円以上の価格の商品展開と、海外進出を成長戦略の分類で考えてみる。

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