昨シーズン2位に躍進し、名門復活を印象づけたマルセイユ。今季の開幕前には、リヨンの7連覇を阻みうる筆頭候補に挙げられたが、フタを開けてみれば、第6節が終了した時点で1勝2敗3引き分けと14位に低迷している。しかもマルセイユより下位の6チームのうち3チームは2試合が未消化。マルセイユは29日のホームゲームでニースに0―2と完敗した。

　シーズンオフには、バイエルンに移籍したリベリを失った以外は主力のほとんどを残すことができたうえ、ブノワ・シェイルー（MF、オセール）、カリム・ジアニ（MF、ソショー）、ゼンデン（MF、リバプール）、ガエル・ジベ（DF、モナコ）、ジャック・ファティ（DF、レンヌ）、ローラン・ボナール（DF、ル・マン）などを獲得。リーグ・アンでもっとも充実した補強を行なうことができた。

　戦力的には、司令塔のナスリが故障から戻って万全の調子ではないこと、正GKのカラソがアキレス腱断裂で離脱したことくらいしかマイナス材料が見当たらない。エモン監督の手腕に疑問が投げかけられるのは避けられない。

　29日のニース戦後、マルセイユのディウフ会長はカナル・プリュス局のインタビューに、「我々は悪循環に陥っている。ここから脱出しなければならない。カン戦で初白星をあげたとき、脱出の糸口をつかんだかと思った。（今回の完敗は）容認しがたい」とこみあげる怒りを抑えるように語った。

　エモン監督の去就について聞かれた会長は、「誰彼のポストが脅かされている、などと言っている場合ではない。選手たちの立場だって、脅かされていないとは言えないだろう。私自身も含めて、責任のあるものすべてが、それを自認すべきだ」と答えるにとどめた。

　サポーターからは、エモン監督はマルセイユのようなビッグクラブの指揮官としては「器が小さい」という声がかねてからあった。パパン監督待望論が根強かったが、ランス就任で可能性が途絶えた現在、前ユベントス監督のディディエ・デシャン氏を待ち望む声が高まっている。