現代サッカーの中盤には、いわゆる「潰し屋」と呼ばれる守備的MFが多く見られる。相手チームのパス供給源を断ち、ボール奪取へ汗することをいとわない汚れ役だ。ハードタックラーであることも求められ、必然的に警告を受ける回数も増え、イエローカードが累積することで退場のリスクも増える。そのプレッシャーは実際にプレーに影響を与えるだろうか。

「完全にノーだ。俺のような選手がピッチに入るときには、絶対に精神的に動揺することなどあってはならない」

　そう語るのは昨季セリエAで文句なしの“警告王”だったMFコッポラだ。シーズン後半はリボルノでプレーしたが、メッシーナでは柳沢や小笠原の同僚でもあった。

「もし“警告もちだから”とビビッてタックルを仕掛ける足を引っ込めるようだったら、俺は決してセリエA（でプレーするレベル）にたどり着けなかった。俺はリーグ全体で一番カードをもらったけど、リラックスしてプレーに臨んでいた」

「もし不安を感じるようだったら、いっそのことピッチにいない方がましだ。メッシーナ時代、重要度の低い試合で、監督は実際に俺をベンチに置いたままにしたことがある。1週間後、残留争いの直接対決で俺は出場停止へリーチがかかっていたけど、チーム状況を変えるために投入された」

　プレースタイルへの自信と、監督との信頼関係なくしては生まれないエピソード。決してテクニックがあるプレイヤーではない。だがコッポラの名は、リーグでも有数の“使える”ハードタックラーとして定着している。