昨シーズンのリーグ・アン終盤で、首位を独走して優勝が確実と見られたリヨン以上に注目を集めたのが、最下位のナントだった。リーグ・アン優勝８度を誇り、1963年から44シーズン連続で１部に在籍した名門「カナリア軍団」が、ついに2部降格となり、その反響は大きく報じられた。

　シーズン最後のホームゲームでは、降格という事実を受け入れられないサポーターが試合終了直前にピッチへとなだれ込み、数分を残してゲームセットという異様な幕切れとなった。おまけに、試合は0―0の引き分けだったが、プロサッカー連盟（LFP）の規律委員会がビジターチームのトゥールーズに勝ち点3を与える裁定を下し、これがチャンピオンズリーグ出場権（トゥールーズが3位となり出場権を獲得）にまで影響するという後味の悪さも生んだ。

　主力選手が半分ほど入れ替わり、2部で新たなシーズンを迎えたナントだが、30日の開幕戦では、昨シーズン7位のランス（Reims）を相手に格の違いを見せつけ、5―0と圧勝した。

　複数のクラブからの誘いを断ってナントに残留したキャプテンのダ・ロシャは試合後、「1部だとか2部だとかは関係ない。毎試合、目の前の敵に全力を尽くして戦うだけ。これからのシーズンもそのつもりで臨む」（ナント公式ホームページ）と大勝に浮かれることもなく淡々と答えた。