〈崖っぷちのジャングリア〉「1回で十分」「コンセプトがわからない」大赤字パークの地元でのホントの評判と交通トラブル「スパにはめっちゃ行ってます」の声も

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昨年、沖縄・北部に華々しくオープンした「ジャングリア沖縄」の苦境が伝えられている。9月に開かれた運営会社の親会社の株主総会でも、開業後初の決算となる26年6月決算で最終赤字が173億円に及ぶことが明らかにされた。「アトラクションが期待外れ」「看板倒れ」などネガティブな声ばかりが聞こえてくるが、開業から1年を迎えたテーマパークは地元でどのように受け止められているのか。

【画像】「子どもはユニバにはまた行きたいというけれど…」ジャングリア沖縄のまばらな駐車場

「子どもは『ユニバに行きたい』とは言うけど『ジャングリアに行きたい』とは言わない」

「そもそも、沖縄の人でジャングリアに行ったことがある人って、そんなに多くないと思いますよ」

「パワーバカンス」と銘打ち、世界自然遺産「やんばる」の大自然を舞台とした非日常体験ができる、との触れ込みで開業した「ジャングリア沖縄」。開業前から派手なプロモーションを仕掛け、全国ニュースでも取り上げられるほどの話題を呼んだ。

ただ、開業直後からアトラクションの待ち時間の長さや暑さ対策の不備など、さまざまな問題が噴出し、先行きを不安視する声が絶えなかった。オープンから1年が経ち、地元での浸透度を調べようと集英社オンラインが取材した県民が一様に漏らしたのが、冒頭の所感である。

「広告やCMを盛りすぎたんじゃないかと思います」

こう語るのは、本島南部・浦添市在住の30代女性。自身は来園していないものの、子どもがパークを体験したという。

ジャングリアの運営会社「ジャパンエンターテイメント」は昨年12月から2月まで県民限定で大人1人につき、同伴の4歳~中学生までの子ども1人を無料で招待するキャンペーンを実施した。

県内企業などと連携し、沖縄の社会・観光課題の解決を目指して実施する「おきなわ未来づくりプログラム」の一環の取り組みとされるが、県内の子どもたちに向けてパークの認知度を上げたい思惑も透けて見える。

ただ、訪れた子どもたちがリピーターになるかといえば、雲行きは怪しくなってくる。

「人気がなくて並ばずに(アトラクションに)乗れるのはいいらしいけど、何度も行きたいという感じではなさそう。帰ってきて聞いたのは『恐竜が急に起きた』という話ぐらい。自分から『ユニバに行きたい』と言ってくることはあっても、『ジャングリアに行きたい』とは言われたことがないんです。子どもの話を聞いたら私もいいかなって…」(前出の女性)

「屋根のあるところが少なくて、熱中症になりそうで危なかった」

開園当初に問題とされたのが、待ち時間の長さなどのオペレーションの悪さだ。

開業当初に訪れた20代女性も、「大人数を一度にさばける乗り物がない」と不満を漏らす。少人数ずつ体験し、安全のための説明も必要なアトラクションでは、列が進むまで時間がかかると感じたという。

「人気だから並んでいるというより、一人ひとりに時間がかかるから並んでいるっていう感じ」

こうした声を受けて、運営側も、4月には、一度に48人が乗車できる大型ライド「やんばるトルネード」を稼働させた。公式の施設案内にも、整理券不要で列に並んで利用するアトラクションと掲載されている。

さらに、「既存施設の運用も見直した」と説明する。公式サイトによれば、大規模アトラクションの体験人数は開業当初比で約1.2~1.7倍、「ジャングル エクストリームズ」と呼ばれる、空中を滑空したり、高所から飛び出したりする絶叫型アクティビティは、約2倍以上になったとしており、開園当初に続出した悪評の払拭に躍起だ。

もう一つ、当初から指摘されていた課題が、パークの「売り」である自然との共生の部分だ。訪れた県民からも、沖縄特有の強い日差しにさらされることへの不満が相次いだ。

昨夏にパークを訪れたという那覇市に住む20代女性は、「屋根のあるところが少なくて、熱中症になりそうで危なかった。だから全然(乗り物に)乗れなかったんだよね」と振り返る。

「北部は風が強いし、雨も多い。客からしたら、同じ金額を払っているのに、『今日は雨なので、これは乗れません』『風が強いので、これは乗れません』となったら不満に思うのは当然でしょう。沖縄の気候と合っていないんじゃないでしょうか。つくった人は沖縄の人ではないんでしょうね。やりたいイメージと沖縄の気候があっていないというか…。こんな大がかりなことをするなら、もっと調べるべきだったと思う」

“コンテンツ不足”が苦戦の要因?「何を売りにしたいのか分からない」

開園当初に相次いだ不満の声を受け、運営側は、無料の雨傘・日傘を5000本以上準備したり、冷房付き休憩場所の冷却機能を強化したりしたほか、夏季限定で「夏のびしょ濡れ大作戦」なるイベントを実施するなど、「暑さ」への対策は進めている。しかし、開園当初についた悪いイメージを払拭できるかは未知数だ。

ディズニーランドやUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)などの人気テーマパークが持つような強力なコンテンツがない点も苦戦の要因になっている。

「そもそもジャングリアはコンセプトが何なのか分からないです。ジャングルなのか、ジュラシックなのか…沖縄の“やんばる”も謳ってたりするんで、結局、何を売りにしたいのか分からない。

キャストのパフォーマンスがユニバとかディズニーよりも飛び抜けてるわけでもないし、お土産とかもジュラシック系関係のものとやんばる関係のものがあるし。ヤンバルクイナと恐竜のグッズとか要らなくない? ディズニーだったら缶でさえ、ミッキーとかが描いてあったり、耳のカチューシャとかあったりするけど、恐竜って“萌え”がないじゃん。コンセプトが何なのか分からないものもらっても嬉しくないでしょ。ミャクミャクの方がまだ頑張ってたと思う。

それに、アトラクションが増えたとしても、別にどこの遊園地にもある。というかジャングリアにしかないものって無いんです。でも、村の雰囲気自体はちゃんとしてるかな。テーマパーク感はあるから雰囲気は楽しいと思うけど、その雰囲気のために高いお金を払ってリピートするという選択は無いです」(前出の女性)

運営側は、前述の通り、大自然の中で興奮と贅沢を味わう「パワーバカンス」をコンセプトとして掲げる。理念が存在しないわけではないが、それが恐竜、自然、グッズなどを通して来園者に伝わったのかというと、疑問符が付く。

一方で人気の「スパ」…地元住民は「めっちゃ行ってますよ」

一方、繰り返し利用している人が実際にいたのがスパだった。

「俺はスパにはめっちゃ行ってますよ。家も近いし、名護市民向けに安くなるときがあって、そういうときに行く」

こう話すのは30代の男性だ。県北部では温泉施設が珍しく、大人2640円、子ども1540円(国内在住者向けのスパ券)で利用できるスパはまずまず好評のようだ。

また、地元から見たジャングリアには、職場としての顔もある。

前出の名護市の男性は、「居酒屋で従業員が8人とか10人ぐらいで飲んでいるのをよく見かけますね」と話す。

「従業員の多くは20代から30代で県外出身者が目立つ。学生の集団がずっと修学旅行で来ているような感じ。リゾートバイトの延長という雰囲気といえばいいかな」(男性)

パーク内では雰囲気を盛り上げるためのパレードやショーも行われており、従業員にはそうしたイベントでパフォーマンスを披露するダンサーも含まれる。

男性は、「パレードで踊っている人たちは、ジャングリアに強い意志を持って来ていると感じる」といい、好印象を抱かせるプロ意識の高い従業員もいるようだ。しかし、なかには地元住民と軋轢を起こす者もいるという。

「地元の店舗近くで、ジャングリアの従業員とみられる若者と地元住民との間に通行を巡るトラブルがあったとも聞きました」(同)

取材を進めるほどに浮かぶジャングリアの地元での苦戦ぶり。

「リピートはあるか?」と尋ねた際の前出の女性の一言が、すべてを言い表しているようだった。

「潰れる前にもう1回行けたらな、と思います」

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班