理工系で導入が進む大学入試の「女子枠」。批判が高まるなか、東京科学大学に女子枠で合格した現役学生が胸中を告白。SNSでの逆差別批判や入学後の大学幹部の発言に絶句したリアルな葛藤を語ります。(画像出典:PIXTA)

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大学入試の「女子枠」が、いまSNS上で大きな話題になっています。理工系学部で女子学生を増やすため、女子枠を設ける大学が増えていて、「女子だけが受けられる入試はおかしい」という批判も強まっています。2026年3月には国会でも取り上げられました。

なかでも注目されているのが東京科学大学です。理工系の定員の1割超が女子枠となったことで一般選抜の枠が狭まり、一般枠の倍率や難易度がさらに上がったとも言われています。この女子枠で入学した現役学生のカンダさん(仮名)にお話を聞きました。

【画像】“女子枠”で注目を集める東京科学大学

早稲田の指定校を取り止め、国立の「女子枠」に挑戦

カンダさんは首都圏の私立高校出身です。両親がエンジニアだったこともあり、理工系学部を志望して勉強をしていましたが、国立大学には手が届かないのではと不安になりました。

「浪人はしない方針だったので、早稲田大学理工学部の指定校推薦をとりたいと先生に相談しました」

すると、担任からはこんな言葉が返ってきました。

「模試の偏差値からして早稲田理工なら一般選抜でも十分受かるよ。指定校を使うのはもったいない。国立を目指そう。東京科学大学の女子枠も受けてみたら?」

両親に相談すると、母は「一般選抜の前にもチャンスがあるなら出願しないと損だよ」と勧めました。父は「理系なら国立の方がいい」と望みつつ、「女子枠っていう制度、どうなんだろう。男女に差はないと思って育ててきたのに」と漏らしたそうです。

予備校からは「東京科学大学の総合型選抜は難しい。女子枠もハードルは高い」と言われました。

東京科学大学の2026年9月4日配信のリリースによると、「大学入学共通テストの成績では、2025年度は最低点・平均点とも総合型選抜女子枠合格者が一般選抜合格者を上回り、2026年度は最低点が同程度、平均点は女子枠合格者が上回りました」とあります。

しかし、カンダさんは指定校推薦を使わず、一般選抜と女子枠を併願することにしました。

結果、一般選抜では慶應義塾大学、東京理科大学、芝浦工業大学に合格。東京科学大学の女子枠にも合格し、東京科学大学への進学を決めました。

オープンキャンパスにも足を運んでいたので、「あんな最高の環境で学べるなんて幸せだ」と期待に胸を膨らませたと言います。

「逆差別だ」女子枠批判に戸惑う 

大学受験が全て終わったので、久しぶりにX(旧Twitter)を開いたカンダさんは、タイムラインを眺めるうちに言葉を失います。

「女子枠は逆差別だ」「女子枠のせいで一般選抜の枠が削られた」という女子枠批判の投稿が次々に流れてきたのです。

父が指摘したように批判があることは知っていましたが、ここまで大きな論争になっているとは思っていなかったと言います。

「自分が受かった入試そのものが、こんなに大勢の人に否定的に語られているんだと分かって、なんとも言えない気持ちになりました」

「女子が多くて華やか」大学幹部の言葉に皆でドン引き

こうして複雑な思いを抱えたまま入学式を迎えたカンダさんですが、入学直後に、ある「事件」が起きます。

大学の上層部にいる人物がこう言いました(※個人が特定されないようにややアレンジしております)。

「女子が増えて華やかだね」

その場にいた女子学生の何人かは戸惑った表情を見せ、1人は「私は華やかじゃなくて悪かったね」と小さくつぶやいたそうです。その言葉にカンダさんは頷いたそうです。

「キャバクラ嬢さんじゃないんだから、華やかさを求められても困ります。勉強して入ってきたのに」

家でこの話をすると、父親はあきれた顔で「俺がそんなことを会社で言ったら大変なことになるよ」と言い、「その人は自分が言っていることがセクハラだと分かっていないんだよ。難関国立大学の理系でそういった発言があるのは想像がつく」と言いました。

ただ、カンダさん自身はその場では何もコメントできず、モヤモヤが残ったといいます。

この記事の執筆者:
佐藤 れん
受験業界に身を置く教育ライター。専門はジェンダーと大学受験。かつては大学の非常勤講師をしていたことも。(文:佐藤 れん)