“老けない”ためには、よく眠ることが不可欠。今回は、睡眠不足が見た目や脳、体に及ぼす影響や、睡眠の最新常識について、医学博士で睡眠研究の第一人者、柳沢正史先生に教えてもらいました。毎日の睡眠を見直すことで、健康的な見た目と体に近づきます。

よく眠れば、仕事や家事の効率もアップ!

日本人の睡眠時間は、世界的に見ても最低水準。女性はさらに深刻で、仕事や家事、育児に追われ、慢性の睡眠不足になりがち、と柳沢先生は語ります。

「睡眠不足が続くと、肌荒れなど見た目の老化につながるだけでなく、仕事のパフォーマンス、認知能力、免疫力も下がり、体の老化を早めます」(柳沢先生、以下同)

睡眠を削ると老けに直結するのはもちろん、命を削ることにもなるのです。

「まずはしっかり睡眠時間を確保することから始めましょう。よく眠れない日があっても、あまり神経質にならなくて大丈夫。睡眠に関する正しい知識を身につけ、気軽に取り組めば、日々のパフォーマンス向上にもつながりますよ」

睡眠不足が体にもたらす4つの影響

柳沢先生によると、睡眠不足は以下のような影響を及ぼすのだそう。

●1:肌のバリア機能が低下し、見た目が老ける

睡眠不足になると肌のバリア機能が低下し、シミやシワ、たるみなど、肌の老化が加速。長さ・質ともに十分な睡眠は成長ホルモンの正常な分泌を促し、若々しい肌をキープ。

●2:記憶力が低下し、認知症のリスクも増

人は眠っている間に情報を整理し、記憶を定着させるため、睡眠がたりないと記憶力が低下。また、睡眠が十分でないと脳の老廃物が除去されず、認知症のリスクも高まります。

●3:生活習慣病、感染症やがんのリスクが高まる

睡眠不足が続くと、メタボリックシンドローム、心血管障害など、生活習慣病のリスクが高まります。また、免疫力が低下するため、感染症やがんにかかるリスクも増大。

●4:イライラしやすくなり、更年期障害の症状も悪化

よく寝ないと感情がコントロールしづらくなり、負の感情に対して敏感に。うつ病のリスクは3倍に増加。さらに、女性の場合は更年期障害などの症状も悪化しやすくなります。

じつはNG!睡眠の新常識4つ

世の中にあふれる“睡眠の常識”のなかには、じつは間違っているものも。最新の正しい常識に更新して、よりよい睡眠を手に入れて。

●NG1:短くても質が大事

・新常識:まずは質より量を確保

睡眠は質がよければ短時間でもいいというのは間違い。量がもっとも重要です。

とくに現代の日本の現役世代は、多くの人が睡眠不足。30分でも睡眠時間を増やせば、調子のよさを実感できるはず。必要な睡眠時間は個人や年齢によって異なりますが、40代、50代の平均値は7時間強です。

●NG2:ランチのあとに眠くなるのは自然なこと

・新常識:昼間眠くなるのは睡眠不足。睡眠の見直しが必要

日本では日中、うとうとする人が珍しくありませんが、海外では昼間眠いのは「体の調子が悪い」とみなされます。

昼過ぎに多少眠くなるのは自然ですが、我慢できないほどの眠気がある場合は疾患の可能性も。まずは十分な睡眠時間を確保して。

●NG3:睡眠のゴールデンタイムに眠らないと老け顔に

・新常識:睡眠のゴールデンタイムはない。質のいい眠りが重要

午後10時~午前2時がゴールデンタイムといわれますが、成長ホルモンがもっとも多く分泌されるのは、時間帯にかかわらず、睡眠前半のノンレム睡眠のとき。

具体的には入眠開始から3~4時間程度です。ここで良質な睡眠をとると、成長ホルモンが十分に分泌され、細胞や組織の修復が行われます。

●NG4:朝型生活が若さをつくる!

・新常識:夜型の人が無理して早起きすると睡眠不足に

朝型か夜型かは、じつは遺伝子で決まっています。夜型の人は早起きしても夜に眠くならないため、睡眠不足に陥りがち。

無理な早起きを続けると健康を損ないかねません。睡眠パターンは年齢によっても変化し、子どもは朝型、思春期~20代は夜型、中年期以降は次第に朝型になる傾向が。