フォルクスワーゲン・グループ、2029年までにスペイン車『セアト』廃止を検討! スポーティさで人気も、急成長の『クプラ』へ投資集中
スペインの代表的なブランド
フォルクスワーゲン・グループは事業再編計画の一環として、2029年までに『セアト(Seat)』ブランドを段階的に廃止することを検討している。
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ドイツメディアの報道によると、この廃止案はすでにフォルクスワーゲンの経営陣によって承認されており、9月4日金曜日に監査役会に提出される予定だという。

セアトの現行モデル『アローナ』と『イビサ』
計画では、セアトは2020年代末までにフォルクスワーゲン・グループのブランドポートフォリオから姿を消し、その代わりに経営資源は『クプラ(Cupra)』に集中されることになる。クプラは8年前にセアトから独立したスポーツ志向の派生ブランドだが、現在では母体となったセアトを販売台数で大きく上回っている。
フォルクスワーゲン・グループは本稿執筆時点で、この件に関する報道について公式なコメントを控えている。同社の広報担当者は、内部文書は適切な関係機関によって審議・承認されるものであり、そのプロセスより先に行動することはないと述べた。
コスト削減でブランド展開を見直し
AUTOCARに送付された声明の中で、セアト・クプラUK(英国部門)はこの報道を否定しなかったが、次のように述べた。
「フォルクスワーゲン・グループ、そしてセアトS.A.を含む業界全体が、電動化への取り組みを原動力として、抜本的な変革の真っ只中にあります」

セアトの5ドア・ハッチバック『レオン』
「世界情勢は著しく変化しており、特にこの1年間で自動車業界に大きな影響を与えています。そのため、フォルクスワーゲン・グループは競争力と効率性を強化するため、グループ事業全体の変革計画に取り組んでいます」
「その目標は、フォルクスワーゲン・グループ全体および各事業体をより効率的かつスリムにし、技術の相乗効果を継続的に引き出すことにあります。この戦略については、複数の監査役会において議論されてきました」
「現段階ではいかなる決定事項も下されていません。セアトS.A.に影響を及ぼす戦略的決定については、適宜情報を発信してまいります」
セアトは1950年に設立され、数十年にわたりスペインを代表する自動車メーカーとして事業を展開してきた。一方、クプラは、セアト車の高性能バージョンとして位置づけられていたが、フォルクスワーゲン・グループによるアルファ・ロメオ買収の失敗を受け、2018年2月に独立ブランドとして設立された。
それから8年を経た今、クプラは実質的にセアトの後継ブランドになろうとしている。
親ブランドを抜いた『クプラ』
セアト廃止案の背景には、売上実績の差がある。2026年上半期、クプラは過去最高の17万100台を販売したのに対し、セアトは12万9600台にとどまった。また、1月から6月末までの両ブランドの合計販売台数29万9700台のうち、クプラが占める割合は57%近くに達した。
クプラは設立以来、世界累計販売台数が100万台を突破し、もはやセアト車のリバッジモデルにとどまらない存在へと大きく成長している。当初、クプラはセアト由来のモデルに依存し、ショールームも共有していたが、フォルクスワーゲン・グループは徐々に製品展開、デザインアイデンティティ、ポジショニングを差別化するようになった。

クプラが独自に開発した『フォーメンターVZ5』は、アウディ製の直5エンジンを搭載する。
その結果、当初はセアトのスポーツカーの伝統を活かす試みとして始まったものが、独自の価値を持つ存在へと進化し、より高い収益を生み出している。
フォルクスワーゲン・グループにとって2つのスペインブランドを維持することは、製品開発、マーケティング、販売面で大きなコスト負担となるほか、しばしば顧客層の奪い合いも発生する。オリバー・ブルームCEOの下で大規模な事業再編に乗り出している中、このコストを正当化するのは特に難しいだろう。
ドイツの日刊新聞『ビルト』紙が引用した内部文書によると、セアトを現在の形で継続するには追加のリソースが必要であり、グループ内での戦略的開発はクプラに集中させるべきだと判断されているようだ。
英国でも長年親しまれたセアト
セアト廃止は、英国にも大きな影響を及ぼすだろう。セアトは1985年に英国市場に参入し、当初はハッチバックの『イビサ』とセダンの『マラガ』の2車種のみを展開。初年度の販売台数はわずか405台にとどまった。
当時、セアトはフィアットとの提携関係を終えたばかりで、独立したメーカーとしての地位を確立しようとしていた。

セアト・イビサ(現行モデル)
初代イビサはその再出発の中心的な存在だった。エクステリアデザインはジョルジェット・ジウジアーロ氏が担当し、インテリアはカルマンが手掛け、パワートレインの開発にはポルシェが貢献した。初代イビサは130万台以上が生産された。
フォルクスワーゲンは1986年、セアトの株式の75%を取得して経営権を握り、徐々に自社の生産体制に統合していった。
英国市場において、セアトはその後、低価格志向の輸入車メーカーから、フォルクスワーゲン、フォード、ヴォグゾール、ルノー、プジョーと肩を並べる大手メーカーへと成長した。2019年のピーク時には英国で6万8800台を販売し、市場シェア3%を占めた。
イビサは長きにわたりセアトを支えてきた要となるモデルであり、5世代にわたって世界累計販売台数が600万台を突破している。一方、『レオン』はスポーティなブランドイメージを確立するのに貢献し、それが最終的にクプラブランドの基盤となった。

