上映後のトークショーで、司会進行を務める金塚敬子さん(奥左)=鳥取市

 鳥取市に4月開館したミニシアター「シネマドア」が好評だ。小さなビルの1階を改装した館内には20席のシアターとカフェがある。立ち上げたのは東京から移住したコピーライターの金塚敬子さん。鑑賞後に観客が感想を語り合い、交流できる「コミュニティーシアター」を目指している。(共同通信=吉仲菜葉)

 7月の日曜日。個性的なインド映画の上映が終わると、この日は配給会社の代表が登壇した。インドの映画事情や配給の裏話で会場は盛り上がった。約30分、シアターはほぼ満席のままだった。

 上映後、スタッフを交えた映画の解説やカフェタイムが定番だ。たびたび足を運ぶ公務員の福永祥子さん(34)は「見て終わりではなく、終わった後に気軽に話ができる。普通の映画館にはない魅力」と笑顔を見せる。

 2024年末、金塚さんが移住した時、市内には古い映画館が1館しかなかった。移住者同士の懇親会で「誰か映画館を造ってくれませんか」と話すと、「自分でやってみたら」と促された。

 当時から気になっていたのは「新しい出会いや居場所がない」という周囲の声だった。造るなら人が集まり、地域とつながれるような場所にしたいと構想を膨らませた。

 賛同者が集まり、2025年11月からクラウドファンディングを開始した。県の補助金も受け、一気に実現にこぎ着けた。開館直後にはニュースで知り、賛同してくれた歌手の松任谷由実さんが鳥取公演に合わせて訪れたという。

 接客や解説を担うのは大学生や主婦ら10人余りのボランティア。シフトに1回入ると、映画を1本鑑賞できる。映画以外にも地元ミュージシャンのライブや、若者向けの交流イベントも開く。

 ミニシアターの開館は全国で相次いでいる。一般社団法人「コミュニティシネマセンター」によると、2025年までの10年間で名画座を含め30館以上増加。古民家や学校を改修した例もあるという。

 金塚さんは「映画好きはもちろん、いろいろな人が気軽に立ち寄る居心地のいい場所になれば」と意気込む。上映するのは全国公開される作品から単館系まで「見た後に話したくなるような映画」を選ぶという。

ミニシアター「シネマドア」を立ち上げた金塚敬子さん=鳥取市

ミニシアター「シネマドア」で、上映後のカフェタイムに交流する人たち=鳥取市

ミニシアター「シネマドア」のカフェスペース=鳥取市

ミニシアター「シネマドア」で行われた上映後のトークショー=鳥取市