入団会見で大谷翔平にユニホームを着せるウォルター・オーナー(C)ロイター/USA TODAY Sports

写真拡大

【メジャーリーグ通信】

【鈴村氏コラム】過酷な自然環境と共存する大リーグ 酷暑42.7度、7時間23分の雨天中断、WSを襲った大地震

 8月17日、大リーグ機構はパドレスの球団の売却を承認した。売却額は大リーグ史上最高の39億ドル(約6201億円)である。

 今月に入りNBAのロサンゼルス・レイカーズが、プロスポーツ史上最高額となる125億ドルで売却されることで合意した。

 こうした状況は、今後、大リーグの球団の売却が高騰することを推察させる。

 もちろん、ロサンゼルスがドジャースエンゼルスだけでなく、ラムズとチャージャーズ(NFL)、レイカーズとクリッパーズ(NBA)、キングス(NHL)、そしてギャラクシーとロサンゼルスFC(MLS)というように、サッカーを加えた米国の5大プロスポーツの全チームが所在する、世界有数のプロスポーツ市場であるという点は考慮が必要だ。

 あるいは、パドレスの場合、ピーター・サイドラーの死後に球団の経営を巡る遺族間の対立が発端となったように、レイカーズも所有者の資産整理の一環として売却が行われたとみられる。

 そのため、市場の状況や所有者の状況次第では、次の大型の案件がすぐに現れないとも限らない。

 一方、レイカーズの事例は投資の対象としてのプロスポーツチームという点だけでなく、大リーグにも少なからぬ影響を与えると考えられる。なぜなら、レイカーズを売却するのは、ドジャースの共同所有者でもあるマーク・ウォルターだからだ。

 2012年にドジャースを当時の大リーグの最高額である21億5000万ドルで買収してプロスポーツ界に進出したウォルターは、14年に女子プロバスケットボールのスパークス、22年には英国プロサッカーのプレミアリーグのチェルシー投資し、昨年10月にはレイカーズを100億ドルで買収した。

 だが、ウォルターは、自らが運営するTWGグローバルホールディングス傘下の保険会社が徴収した保険料をスポーツ事業に投資し、その内容を財務報告に適切に記載していなかったとして当局の捜査を受けている。投資自体は合法的ながら、投融資先の情報が詳細に開示されていなければ違法となる。

 買収から10カ月でレイカーズの売却を決めたのは、TWGがグループ内で行っている投融資をいったん買い取り、グループ外の投融資に振り替えるための資金確保のためとみられる。そうなれば、高額での売却が見込めるドジャースを手放す可能性が高まる。

 現時点で球団側は、売却は観測にすぎないと否定する。だが、すでにチェルシーの売却を交渉しているという観測もあるだけに、今後の捜査次第でドジャースがウォルターの手を離れる日も遠くないかもしれない。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大教授)