「子どもの学費のために正社員看護師」「衣装代は自腹」…胃がん全摘を経験した不破梨衣(49)が明かす“40代アイドル”の“過酷なリアル”〉から続く

「下痢と胃の痛み」から始まった体調の異変。一度は「胃カメラ」の提案を断ってしまった不破梨衣さん(49)を襲ったのは、スキルス胃がんステージIIIという現実だった。 胃の全摘手術、術後の激痛、大量の吐血、毎食後のダンピング症候群や抗がん剤の副作用……。命と向き合う過酷な闘病生活のリアルと、病床で噛み締めた後悔を告白する。

【画像】医療用ウィッグを身に着け笑顔を見せる不破梨衣さん(49)


不破梨衣さん

【不破梨衣(ふゎりぃ)略歴】
28歳:結婚。年子を出産。元夫の豪遊・姑からの過干渉で離婚し鬱病に。
31歳:2人の子どもを抱え看護学校に入学(34歳で看護師資格取得)。
37歳:再婚。
38歳:岐阜県のご当地アイドルとして活動開始(1年未満で脱退)。
39歳:別のグループでアイドル活動を再開。
45歳:長年の夢だったグラビアアイドルへ挑戦。
48歳:スキルス胃がん(ステージIII)と診断され、胃を全摘出。

◆◆◆

胃がんのきざし

――不破さんはスキルス胃がんと闘病中であることを告白されています。ご体調に変化を感じたのは、いつくらいでしたか。

不破 今から2年ほど前だったと思います。下痢の症状がありました。クリニックに通院したところ、その数年前からフルタイム勤務に変えたことから「環境変化によるストレスだろう」という診断でした。ただ、処方された薬を飲んでも治らず、今度は胃も痛くなってきたんです。

 違う病院へ行って相談したところ、「念のために胃カメラをやろうか?」と言われました。ただ、私は毎年健康診断で胃カメラをやっていたんです。ちょうど4ヶ月後に健康診断が控えていたし、「結構です」と断っちゃったんです。

――しかし、その症状は胃がんによるものだった。

不破 そうですね。結局、昨年11月に受けた健康診断の胃カメラで発見されました。私は胃を全摘出しましたが、もしもあのときに医師のアドバイス通りに胃カメラを受けていたら、もっと早いステージで発見されていたでしょうね。胃を全摘出しなくても済んだ可能性があります。

――「あのとき検査を受けていれば」という後悔は、今まさに身体の不調を我慢している読者にとっても強い警鐘になりますね。

不破 正直、後悔はしています。最初は仕事のストレスが大きかった時期で、「胃の痛みもストレスかな」と思っていて、まさか自分がスキルス胃がんだなんて1ミリも疑っていませんでした。投薬治療で治らなかったとき、医師から胃カメラを提案された時点で健康診断を待たずにすぐ受けていれば、少しは胃を残せたかもしれません。私のガンは、そこから半年で胃を全摘するまでに大きくなってしまいました。 だから読者の方には、毎年の健康診断はもちろん、少しでも胃腸に不安があったら面倒がらずに胃カメラを受けてほしいと伝えたいです。

 胃がなくても食べたり飲んだりはできますが、居酒屋やBBQでビールをジョッキで飲んで盛り上がったり、好きなものを思いっきり食べたりすることはもうできません。がんが寛解して長生きできたとしても、1日5〜6回に分けて食事をし、食べた後の腹痛や下痢、倦怠感といったつらい症状と一生付き合うことになります。スキルス胃がんは若い人もかかりやすい疾患だということを、みなさんにも知っていただきたいですね。

――診断を受けたときの状況を詳しく教えてください。

不破 健康診断を受けた同月下旬には職場に電話がかかってきて、「すぐに大きな病院へ行ってください」と言われました。職業柄、なんとなく察しはつくので「ガンですか?」と聞くと、先方は「まぁそんな感じです……」と言いづらそうにしていましたね。

 翌日病院へ行って紹介状を書いてもらいました。職場に電話が来たとき、ほかの医療職仲間に評判を聞き回って、隣町に最先端機器が揃った実績のある病院があると知ったので、そこでの手術を希望したんです。

予想を超えていた「ステージIII」の告知

――当時はステージIIIだとは思っていなかったのでしょうか。

不破 ステージIIくらいだと思っていました。「リンパ節転移もないし、胃も残せるだろう」と。子どもたちにも「ママは胃がんだけど、そこまで心配しないでね」と話していました。

――ご家族の受け止め方はいかがでしたか。

不破 子どもたちはやはり心配してくれていましたね。夫は私よりもだいぶ悲観的で、「最悪の事態も考えないと」と言っていました。私が唯一気楽だったのは、すでに母が他界していたことでしょうか。きっと母が生きていたら相当心配をさせてしまっていたので、その点は変にほっとしました。

――手術までの間、不破さんが行ったことは。

不破 12月の手術まで好きな場所へ旅行へいき、美味しいものを食べました。きっと治療が本格的に始まれば好きなものを好きなだけ食べられることはないだろうと思っていたのですが、正解でした。

ビニール袋いっぱいの血を吐いた

――胃を全摘出したあと、食べ物を食べると身体はどのような反応になるのでしょうか。

不破 私が受けた手術は、「ルーY法」と呼ばれる、胃の切除やバイパス手術のときに行われるポピュラーな消化管再建術です。

 単純に言うと、食道から直接腸に食べ物が送られるんですね。結果として、すぐにお腹がいっぱいになったり、異常にゲップが出たりします。また、ダンピング症候群と言って、すぐに高血糖になるため毎食後にかなりの眠気に襲われます。椅子に座りながらバタンと寝てしまうこともしばしばあるんです。それから、ひどいときには食後4〜5回ほど下痢をすることもありますね。

 また、「ルーY法」によって食道と腸を固く縫われていることが関係するのか、喉の下がきゅっと苦しい感じがします。大げさに言えば首を絞められている感じですね。

――全摘手術そのものの壮絶さについてもお聞かせください。

不破 かなり辛かったです。術後3日間は、激痛で「こんなに痛いなら死んだほうがマシだな」と本気で思いました。原因不明のまま、ビニール袋いっぱいの血を吐いたこともあり、死をかなり身近に感じました。

――現在、抗がん剤治療をされておられるとのことですが、それに伴って辛いこともありますか?

不破 原則として、抗がん剤治療投与を2週間続け、次の1週間が休薬期間――というサイクルで治療を行っています。薬を摂取していると、身体はけだるくなりますし、味覚障害も出てしまうんです。私の場合は、にんにくや化学調味料がまるでダメで、口に含むと「うっ」となるようになってしまいました。また、肉は鉄の味がするので、普段は好きな肉を食べることもできません。

〈「体重10kg減」「脱毛」で鏡を見るのも嫌に…スキルス胃がんステージIIIで闘病するアイドル不破梨衣(49)が「可愛くいたい」と足掻き続ける“納得の理由”〉へ続く

(黒島 暁生)