破産2回を経たデニムブランドはなぜ再成長できたか。 トゥルーレリジョン の販路拡大策

記事のポイント
トゥルーレリジョンは10億ドルブランドをめざし、2026年に5億5000万ドルの売上を見込んでいる。
店舗数の倍増や卸売・オフプライスの強化、TikTok Shop参入によって販売チャネルを広げる。
インフルエンサーを200人から1000人へ増やし、女性や若者を中心とした新規顧客の獲得を狙う。
トゥルーレリジョン(True Religion)は、10億ドル(約1500億円)ブランドになるという目標の達成を加速させるため、インフルエンサーマーケティングやTikTok Shopなどへの投資を強化している。
トゥルーレリジョンは2026年に5億5000万ドル(約825億円)の売上を見込んでおり、これは2025年の4億7000万ドル(約705億円)から増加している、と同社CEOのマイケル・バックリー氏はModern Retailに語った。
今後、トゥルーレリジョンは店舗数を倍増させ、オフプライス系の取引先を含む卸売業者への商品供給を増やすことで、売上を補完したい考えだ。同ブランドは9月にTikTok Shopにも参入し、今後半年から1年でインフルエンサープログラムの規模を5倍にすることをめざしている。
破産2回を経て挑む再建戦略
こうした変化は、馬蹄形のステッチで知られる同社の、より大きな再建戦略の一環だ。
2002年に創業したトゥルーレリジョンは、2000年代初頭にはモールを代表する主要ブランドだったが、消費者がオンラインショッピングに移行したり競合他社に流れたりしたことで、2010年代には勢いをいくらか失った。
2017年と2020年の2回にわたって破産を申請したあと、トゥルーレリジョンは品揃えを刷新し、初の最高マーケティング責任者を採用。さらに、価格帯を引き下げ、ウィメンズ事業を拡大し、デジタルにより注力した。
なお、同社は2025年初めに新たなオーナーの下に入っている。
トゥルーレリジョンはこの3年間で売上を倍増させた、とバックリー氏はインタビューで明かした。しかし同社は、特にTikTokやインスタグラムといったプラットフォームをもとに購買を決めることが増えている女性や若者のあいだに、まだ成長の余地があるとみている。
トゥルーレリジョンは、より大きなY2Kリバイバルの恩恵も受けており、その文化的プレステージを活かしたい考えだ。
1億人市場とチャネルの多様化
トゥルーレリジョンは、データベースには約500万〜700万人の顧客がいるが、自社の獲得可能な最大市場規模(TAM)を約1億1000万人と見積もっている。
「我々は、いまいる消費者にリピート購入してほしいと思っている」とバックリー氏は語った。
「だが、どうすれば1000万人、1500万人、2000万人という新たな消費者にトゥルーレリジョンを買ってもらえるのか。それこそが、我々を頂点へと押し上げるものだ。長期的には、これは数十億ドル(数千億円)規模のブランドになり得ると信じている」。
チャネルの多様化がカギになる、とバックリー氏は言う。現在、トゥルーレリジョンの平均的な消費者は「アーバンカジュアルな顧客」であり、「ブランド、品質、スタイル、そして本物志向(オーセンティシティ)を深く大切にする人々」だと彼は語った。
顧客の多くは15〜50歳で、平均世帯年収は7万5000ドル(約1125万円)だ。もっとも、年齢層によってトゥルーレリジョンでの買い方は異なる傾向にある。ミレニアル世代はオンラインでの買い物が多く、一方でベビーブーマー世代とZ世代は店舗での買い物が多い。
トゥルーレリジョンが2026年に見込んでいる5億ドル(約750億円)以上の売上うち、約2億ドル(約300億円)がeコマースから生じる。約1億3000万ドル(約195億円)は数十店舗の直営店から生じる。残り(2億2000万ドル、約330億円)は、トゥルーレリジョンの卸売取引先から生じる。
同ブランドは、メイシーズ(Macy's)、ディラーズ(Dillard's)、ズーミーズ(Zumiez)、アーバン・アウトフィッターズ(Urban Outfitters)、TJマックス(TJ Maxx)、マーシャルズ(Marshalls)など、数千の販売拠点に展開している。こうして事業を拡大するなかで、トゥルーレリジョンは小売全体での存在感を高めようとしている。
まず、トゥルーレリジョンは既存の需要がある市場に店舗を出している、とバックリー氏は言う。6月に同ブランドは、インディアナ、フロリダ、カリフォルニア、ニュージャージーの各州に2026年中に4つの新店舗を開く計画を発表した。
トゥルーレリジョンは2026年末までに約63店舗を構え、今後5年間に北米でこれを150店舗まで引き上げることをめざしている、とバックリー氏は明かした。
「2025年、全店舗で45%の店舗単位のEBITDAを達成した。店舗は1年で投資を回収する」とバックリー氏は語った。
2026年に入って、トゥルーレリジョンは実店舗の展開をさらに拡大するため、スケッチャーズ(Skechers)出身のベテラン、クリステン・ジョーンズ氏をリテール担当バイスプレジデントとして採用した。
TikTok Shopとインフルエンサー戦略
スマートフォンで買い物をしたい顧客に向けて、トゥルーレリジョンはTikTok Shopへの参入がeコマースの売上を後押しすることを期待している。
「TikTok Shopの多くは、新たな消費者をブランドに呼び込むためのものだ。主にウィメンズ中心の施策になると考えている」とバックリー氏は語った。
これは重要だと彼は明かした。同社はウィメンズ事業の比率を、2022年の35%から60%へ引き上げようと取り組んでいるからだ。現時点では、メンズとウィメンズの事業はおよそ50対50となっている。
トゥルーレリジョンは、クリエイタープログラムに女性と男性の双方を起用し、エージェンシーと協力してこのプログラムを200人から1000人へ拡大したい考えだ。
著名人と組むこと自体は同ブランドにとって目新しくなく、ミーガン・ジー・スタリオンやサウィーティーとコラボレーションしてきた。「だが、消費者は、それがある程度は『金銭と引き換えに宣伝されていること』だと気づいていることもあると思う」とバックリー氏は語った。
「インフルエンサーの場合、より本物らしく感じられる。それが我々にとって本当に重要なのだ」。
なお、トゥルーレリジョンは、全体売上の約10%をマーケティングだけに投じている。
卸売・オフプライスと競争の激化
同時に、トゥルーレリジョンはパートナー小売業者とのビジネス構築に取り組んでおり、同社の卸売事業は前年比40%で成長している。
バックリー氏は、既存パートナーとのあいだでさらに多くの販売拠点に入り込む余地も、卸売業者への商品供給を増やす余地も十分にあると見ている。
「販売拠点あたりの売上は、おそらく現在の2倍、3倍にできる」とバックリー氏は語った。
オフプライスのパートナーも、より重要性を増している、とバックリー氏は言う。
「我々の消費者のなかには、年収5万ドル(約750万円)未満の人もいる」と彼は語った。
「彼らは、インフレのせいで財布の中のお金は明らかに減っている」。ガソリン価格も上がっており、「それが顧客に影響しているのが見て取れる」とバックリー氏は言う。
「我々はもう少し値引き販売を増やすかもしれない。TJ(マックス)、ロス(Ross)、バーリントン(Burlington)といった世界の各社に、もう少し多くの商品を売るかもしれない」。
トゥルーレリジョンは、成長をめざすなかでほかの課題にも直面している。トゥルーレリジョンの事業のうちジーンズが占めるのは約38%にすぎないが、このカテゴリーの競争は激しくなっているのだ。
ザ・コンシューマー・コレクティブ(The Consumer Collective)の共同創業者であるジェシカ・ラミレス氏は最近、ディックス・スポーティング・グッズ(Dick's Sporting Goods)、アディダス(Adidas)、ファブレティクス(Fabletics)でジーンズやジョーツ(ジーンズ生地のショートパンツ)が増えているのに気づいた、とModern Retailに語った。
アスレジャーブランドが今やデニムに力を入れていることについて、「それは、このカテゴリーが持ち続けている強さを示しているにすぎない」と彼女は語った。
今後、トゥルーレリジョンは独自性のある商品と適正な価格の組み合わせに注力する、とバックリー氏は言う。
トゥルーレリジョンは最近、夏の終わりのデニムコレクションのために、ストリーマーのウェンディ・オルティスを起用し、ベネフィット コスメティックス(Benefit Cosmetics)と組んで限定版のポケットキーチェーンを手がけた。
同社はまた、1年でもっとも忙しい時期であるホリデーシーズンに向けて準備を進めており、新学期(バック・トゥ・スクール)向けにジーンズを推している。
今日、ブランドが業界最高水準であるためには、「トレンドに乗っていなければならない」とバックリー氏は語った。
「そして、消費者が買いたい場所で販売しなければならない。そして、優れたマーケティング戦略が必要なのだ」。
[原文:Brands Briefing: Behind True Religion's path to $1B, from TikTok Shop to TJ Maxx]
Julia Waldow(翻訳、編集:藏西隆介)
