「キャバ嬢、YouTuber…年貢の納め時です」国税庁の”最新徴税システム”KSK2導入で《狙われる人たち》一覧
9月から導入される「KSK2」とは
国税庁が所得税の税務調査にAIを本格導入したのは、'23年度のこと。以来、調査効率は劇的に向上しており、同庁が公表した最新のデータによると、所得税の追徴税額は1431億円('24年7月〜'25年6月)。現在の統計方式になって以降で最高額を記録した。
そんななか、国税庁はさらに抜け目なく国民の資産を把握すべく、新システムを導入することを決めた。それが、9月24日から利用開始となる「KSK2」だ。
KSKとは「国税総合管理」の略称。国税庁はこれまで、申告者データの管理・閲覧のために'01年に導入された初代「KSK」を利用してきた。KSK2導入の理由について本誌が同庁を取材すると、担当職員が「老朽化が進んで実用性に問題があった」と回答した。
元国税調査官で税理士の松嶋洋氏は、旧来のKSKの性能についてこう解説する。
「サーバーの容量不足もあり、法定調書などの一部の資料は紙の印刷物を共有するだけ。インターネットにも接続できないため、調査先で情報の確認が必要になっても、一旦署に戻るなどして確認しなければなりませんでした。担当以外の税目にもクラウドで手軽にアクセスできる点で、KSK2は国税庁にとって画期的なシステムと言えます」
誰が狙われ、何がバレるのか
初代KSKの最大の問題点は、法人税・所得税・相続税など、担当部門ごとに使うシステムが分かれていたこと。たとえば、所得税の担当者が、対象者が勤務する法人の税務情報が欲しい場合、法人部門に書類を提出したうえで、必要な情報を共有してもらわなければならなかった。
KSK2はこの「縦割り」の制約を解消する。国税庁職員はどの部門の担当であっても、KSK2にアクセスすれば、あらゆるデータを横断的に分析できるようになるのだ。
では、KSK2によってどんな人が狙われ、何がバレるのか。表も参照しながら、具体的に見ていこう。
前出の松嶋氏が言う。
「家族経営の小規模法人の調査では、法人税や消費税などが対象です。しかしKSK2では、経営者の所得の内訳や財産内容など、個人の確定申告情報も現場で調査官がすぐさま確認することができる。法人の過少申告が発覚した場合には、経営者や家族が過去に贈与された株価の評価額が正しかったのか、適正に贈与税申告されているかも即座にチェックできるはず。
当然、無申告や収入の申告漏れの発見もこれまで以上に容易になります。キャバクラ嬢など、夜職と呼ばれる人は所得税を申告していないケースが多い。しかしKSK2では、支払い側である事業者の法定調書などのデータと照合することが容易になるため、無申告者や申告者を即座にあぶり出すことができると考えられます」
「節税」もバレる可能性大
さらに、これまで見逃されてきた「節税」もバレる可能性が高い。
すでに始まっているAI調査とKSK2が連携することにより、「不適切な申告は自動的に判別されることになる」と語るのは、YouTubeチャンネル「税金坊」を運営する元国税調査官の根本和彦氏だ。
「同業他社と比べて経費率が明らかに高いなど不自然なケースは、AIが自動的に判断して『フラグ』を立てていくでしょう。まずAIによる洗い出しを行い、それをもとに調査官が詳しく調査することで、規模が小さいという理由だけで売り上げを誤魔化せていたようなケースも、今後は見つかりやすくなるはずです」
また、相続税の調査についても効率化が図られる。亡くなった人が生前に高額の報酬を受け取っており、相応の資産を持っているはずなのに、申告額が極端に小さいといったケースは、KSK2の横断的なデータ分析によって指摘されやすくなるだろう。
「相続財産の額が大きい場合は銀行や証券会社に照会することもあり、調査に数日から1週間程度かかることもあった。しかし、AIとKSK2の連携により、この作業がほぼ一瞬でできるようになり、確認すべき人物を自動的に示してくれるようになります。職員が寝ている間にも処理が進むということです」(同前)
【後編記事】『ここまでやるか国税庁「申告漏れは絶対許さない」新システム・KSK2がついに導入…納税者はどう対処すれば』につづく。
「週刊現代」2026年8月3日号より
