4月に引っ越して通勤時間が倍に…。でも通勤手当も「1万円」増えたので安心していたら、友人から「手取りが減るかも」と言われてビックリ! 一体どういうことなんでしょうか?
通勤手当が増えたのに手取りが減ると言われる理由
会社から支給される金額が増えれば、その分だけ手取りも増えると考える人もいるかもしれません。しかし、通勤手当には少し注意が必要です。
例えば今回のケースのように、引っ越しによって通勤定期代が高くなり、毎月の通勤手当が1万円増えたとします。給与明細上では支給額が増えるため、一見すると収入が増えたように見えるでしょう。
しかし、社会保険料の計算では、基本給だけでなく残業手当や通勤手当なども含めた給与額を基に算定します。日本年金機構のホームページでも、通勤手当は標準報酬月額の対象となる報酬に含まれるとしています。
その結果、通勤手当の増額によって社会保険料の等級が上がると、健康保険料や厚生年金保険料の負担額も増える可能性があります。
一般的に、増えた通勤手当以上に保険料が増えることは多くありませんが、思ったほど手取りが増えなかったり、場合によっては手取りがわずかに減ったりするケースもあるのです。
カギになるのは「標準報酬月額」という仕組み
手取りへの影響を理解するには、「標準報酬月額」という仕組みを知ることが大切です。
標準報酬月額とは、社会保険料を計算するために用いる基準額のことです。会社員の場合、基本給や役職手当、残業手当、通勤手当などを含めた報酬を一定の区分に当てはめて決定します。
例えば、引っ越し前は標準報酬月額がある等級の範囲内に収まっていたとしても、通勤手当が増えたことでひとつ上の等級に移る場合があります。すると、その等級に対応した社会保険料が適用されるため、毎月の控除額が増える可能性があります。
毎年行われる定時決定では、原則として4月から6月までに支払われた報酬を基に標準報酬月額を見直します。そのため、今回のケースのように4月から通勤手当が増えた場合は、その内容が定時決定に反映され、通常は9月から新しい社会保険料が適用されることになります。
また、通勤手当は所得税の計算では一定額まで非課税となるケースがありますが、社会保険料の計算では課税・非課税に関係なく報酬として扱われます。ここが誤解されやすいポイントです。
そのため、「非課税の交通費だから手取りには影響しない」と考えると、実際の負担との間に差が生じる可能性があります。
社会保険料が増えると将来的なメリットもある
社会保険料が増えると聞くと、損をしたような気持ちになるかもしれません。しかし、必ずしもデメリットだけではありません。
厚生年金の受給額は、現役時代の標準報酬月額などを基に計算されます。そのため、標準報酬月額が高くなれば、将来受け取る厚生年金額が増える可能性があります。
また、傷病手当金や出産手当金など、健康保険から支給される一部の給付額も標準報酬月額を基準として計算されます。そのため、万が一病気やけがで働けなくなった場合などに、受け取れる給付額が増えることもあります。
もちろん、将来の給付よりも今の手取りを重視したい人もいるでしょう。しかし、社会保険料の増加は単なる負担ではなく、将来の保障を充実させる側面もあることを知っておくと安心です。
通勤手当の増額で手取りが変わるかは社会保険料を確認しよう
引っ越しによって通勤手当が1万円増えた場合でも、その1万円がそのまま手取りの増加につながるとは限りません。
なぜなら、通勤手当は社会保険料を計算する際の報酬に含まれるため、標準報酬月額が変わると健康保険料や厚生年金保険料も増える可能性があるからです。
ただし、実際にどの程度影響するかは給与水準や加入している健康保険組合などによって異なります。必ずしも手取りが減るわけではなく、ほとんど変わらないケースもあります。
引っ越し後に給与明細を確認し、社会保険料の控除額がどのように変化したのかをチェックしてみましょう。仕組みを理解しておけば、「通勤手当が増えたのに思ったより手取りが増えない」という疑問も解消できます。
目先の手取りだけでなく、将来の年金や保障とのバランスも踏まえながら、自分の給与内容を確認してみることをおすすめします。
出典
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

