「上からどんどん土砂が…」突然裏山が崩落 「助けて」の声に現場に飛び込んだ住民2人 下半身が埋まった女性をとっさの判断で救い出した
大分県九重町で住宅1棟が巻き込まれる土砂崩れが発生し、下半身が埋まった状態の女性を救い出した男性2人に24日、警察から感謝状が贈られました。「当たり前のことをしただけ」と口をそろえる2人。しかし現場では、上から次々と土砂が降り注ぐ中、命がけの救助が行われていました。
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土の塊が家の駐車場に
6月17日午後7時ごろ、自営業の藤原孝さん(70)は、自宅のシャッターを叩き割るような激しい音で異変に気づきました。
藤原さん:
「ガシャガシャガシャっていう音がして。シャッター越しにのぞいてみたら、土の塊みたいなのが家の駐車場の周りにどっと落ちてきよって」
藤原さんは最初、「ダンプカーが砂利を積んだまま事故を起こしたような音」と感じたといいます。しかし外に出ると、隣の住宅が土砂に巻き込まれていました。
雨が降っていないのに…
藤原さんはすぐに同居する家族8人全員を避難させ、改めて現場を確認すると、隣の2階建ての住宅は、1階部分が押しつぶされるように崩れ落ちていました。
藤原さん:
「雨も降らないのに、誰も予想しなかったような状況。車があったから女性がいるのは分かったんですけど。もうだめかなと思ったが、手を上げて『助けて』と聞こえ、救助に向かいました」
一方、川の対岸に住む進一富さん(73)は、妻から「土砂崩れよ!」という大声で異変を知りました。慌てて飛び出し現場へ急行すると、すでに何人かが集まっていました。
「(その家が)2人暮らしと知っていたので、安否が非常に気になっていました」
土砂が降り注ぐ中、2人が飛び込んだ
進さんが道路を回り込んで現場を確認すると、女性(55)の下半身が泥の中に埋まっているのが見えました。
周囲からは「危ない!上からどんどん土砂が落ちてきているから」と引き止める声もありました。
しかし進さんは「二次災害で埋まってしまえばもうおしまい。人命第一」と判断。藤原さんと2人で女性のもとへ向かいました。
女性は顔にもけがをしていましたが、2人は女性の周囲の泥を掘り起こし、なんとか引っ張り上げました。
進さん:
「足を掘り出すと『痛い、痛い、痛い、痛い』という声が上がり、足はぷらんぷらんの状態。重傷であることはすぐに分かりました。『どこか痛いところはないね』と声をかけたんですけど、『頑張れよ、頑張れよ』としか言いようがなかったですね。手だけは強く握っていました」
その後、警察官2人が駆けつけ、4人がかりでようやく女性を崖から離れた安全な場所へ退避させました。
感謝状に「大それたことはしていない」
今回の功績に対し、玖珠警察署の迫史朗署長から2人に感謝状が贈られました。迫署長は「今後も引き続き、困った人がいたら手を差し伸べてほしい」と称えました。
藤原さん:
「家はまたどうにかなるけど、命がなくなったらおしまい。女性が無事だったことは不幸中の幸いだったかなと思います」
進さん:
「感謝状をもらうことは、ちょっと恥ずかしい限りなんですけど、本当に当たり前のことを実行したという気持ちです。防災意識を持って、お隣近所と連携を取ることが、いざというときに生きるのだと感じました」
九重町で起きた土砂崩れは、晴れた日の早朝という予想外のタイミングで住宅を飲み込みました。危険を顧みず、とっさに動いた2人の男性と、地域の絆が1人の命をつなぎとめました。
