早くも話題沸騰の大人の串カツ店など、注目の12店〈大木淳夫の9月の新店アドレス〉
グルメ本編集長として数々の名店を訪れる大木淳夫さん。毎月たくさんの飲食店がオープンする中で、大木さんが「これは!」と思った新店をずらりと紹介します。
深沢と人形町にオープンした非日常に浸れるイタリアン
特別な日に行きたいイタリアン
9月25日、駒沢公園通り沿いの世田谷区深沢にイタリアン「Pienezza FUKASAWA」がオープンしました。表参道の人気イタリアン「JINBO MINAMI AOYAMA」の姉妹店で、シェフは同店で神保佳永シェフの下、スーシェフを務めていた長谷川泰さんです。
全面を窓に囲まれたカウンターメインのゆったりした店内で、料理は8,800円のコース。まず供される、有田「カマチ陶舗」の白い大きなプレートに盛られた8種の魅力的な前菜に驚きました。シェフの故郷である奈良のエッセンスや世田谷の農園の野菜などを印象深く取り入れつつ、しっかりとイタリア料理に昇華していて、これでボトル1本飲めるのではと思うほど。パスタが2種というのも麺好きにはうれしい限り。駅からはだいぶ離れた場所ですが、それが却って特別感やご褒美感を高めそうです。

<店舗情報>
◆Pienezza FUKASAWA
住所 : 東京都世田谷区深沢4-33-13 深沢グランブロス 5F
TEL : 050-5596-9444
鮎からすっぽんまで、記憶に残る料理
9月4日、人形町にもカウンターイタリアン「Firmamento」がオープンしています。100年続く名店「㐂寿司」の隣にできたビルの3階です。シェフは「イカロ」で6年、「龍吟」で2年、そして銀座「グッチオステリア」で4年という、35歳の大佐古優也さん。シェフソムリエは料理人としてRED U-35で受賞歴もあり「FARO」で人気ソムリエだった37歳の桑原克也さん。
大佐古シェフは魚介への造詣が深く、ラルドを纏った鮎からすっぽんの出汁で炊いたサフランリゾットまで、記憶に残る料理を提供。この日の肉は「エレゾ」からの3歳の雌鹿で、これからもジビエにこだわっていくそうです。そして驚いたのは桑原ソムリエのノンアルコールペアリング。隣で友人が飲んでいるのがあまりにおいしそうで、初めてノンアルに引かれました。

<店舗情報>
◆Firmamento
住所 : 東京都中央区日本橋人形町2-7-13 レイフォリア人形町 3F
TEL : 050-5596-9665
初の羊肉メイン高級中華とお得なカジュアル中華弁当
味坊集団の高級中華
9月25日、あの味坊集団が羊肉専門の高級中華「美羊味坊」を京橋・TODA BUILDINGの2階にオープンしました。実は羊に特化したハイクラスのレストランというのは日本はもちろん、中国でもないようです。世界8カ国から、その時期に最高の羊肉を仕入れ、2人の特級厨師がシェフを務めるからこそできたのでしょう。
自信作という「海の宝ナマコの葱香煮込み」は、ナマコの中に羊のミンチを入れて煮込んでいて、プリプリの食感と羊のうまみを堪能できました。他にも手切りの羊肉を使った「羊肉のふわとろ極上獅子頭」や羊肉のハムの炒飯など、羊のポテンシャルを存分に生かした料理ばかり。コースは6,000円、10,000円、15,000円でアラカルトもあります。味坊グループでおなじみのコップで飲むナチュラルワインが、こちらでは木村硝子店のワイングラスになりました。

<店舗情報>
◆美羊味坊
住所 : 東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 2F
TEL : 050-5597-1584
サクッとイートインする「中華弁当」
カジュアル系では8月28日、渋谷駅から六本木通りを上った実践女子大学キャンパスの並びに、中華弁当「真中華 渋谷東店」がオープンしています。神泉の1号店はテイクアウトのみですが、こちらでは10席ほどのカウンターがあり、イートインも可能。
まず白飯かチャーハン(+100円)を選択し、その後に麻婆豆腐など15品以上並ぶおかずから2品を選択すると、ご飯の上にかけてくれるというシステム。「豚すね肉ハン」と「青椒肉絲」にしましたが、ご飯は200g超もあり、食べ応え十分でしかも680円。メニューは毎週2種類が変わり、人気の場合は復刻もあるとのこと。実はオフィスのそばなので重宝しそうです。

<店舗情報>
◆真中華 渋谷東店
住所 : 東京都渋谷区東1-2-23 1F
TEL : 不明の為情報お待ちしております
アラカルト充実の日本料理店と昼のみ営業のパスタ&リモンチェッロ
既に予約が難しい、赤羽橋の日本料理
なかなか予約が取れず、ようやく訪れることができたのが、赤羽橋の日本料理「寛心」です。オープンは6月1日。「桃仙閣」「明寂」などを手掛けるヒットメーカー、林亮治さんがプロデュースしています。
なんといってもお椀やお造りなど3品(6,600円)を頼んだら、あとはアラカルトという、自由度の高いコースに引かれました。メニューは3桁台の値段の小鉢から食事、デザートまで約50種もあり、ワクワクしながら悩めます。店主は「京都吉兆」で20年以上修業した中井甚恭さんですから、もちろん高クオリティ。「鮎の塩焼き」「近江牛テールと冬瓜」「鱧カツ」などを堪能しつつ、「大葉梅胡瓜のあて巻き」や「削りたての鰹節」でお酒を飲むと幸せな気分になれます。

<店舗情報>
◆寛心
住所 : 東京都港区東麻布1-19-2
TEL : 050-5456-1040
リモンチェッロをパスタとともに
7月16日、同じエリアの麻布十番にはイタリアン「SOLIMONE」がオープンしました。
ランチのみの間借り営業で、メニューは前菜3種盛りとパスタのみ。「秋刀魚と長ねぎのアーリオオーリオ」と「鶏肉ときのこのトマトスパゲティ」を2人でシェアしたのですが、これがなんとも美味でシェフは誰?と思ったら名店「クチーナ ヒラタ」で7年修業した32歳の岩田大樹さんでした。なるほどと納得したのですが、実は平田さんの本業はリモンチェッロ「SOLIMONE」の製造販売。このリモンチェッロもストレート、ソーダ割、ビール割でいただいたところ、目を見張るおいしさ。ぜひ食事と共にお楽しみください。

<店舗情報>
◆SOLIMONE
住所 : 東京都港区麻布十番3-5-4 フレーミー麻布十番 2F
TEL : 080-4344-0643
コース10万!の焼き肉店と珍しいジョージア料理専門店
なんと10万円の焼肉
ヤキニクの日こと8月29日、六本木にオープンした超高級焼き肉店が「神の戸」です。プロデュースは「ホルモン人生タロちゃん」「鶴橋 焼肉 松よし」などの人気店を作ってきた田辺晋太郎さん。
オープン前、田辺さんの試食チェックに同席して、10万円のコースをいただきました。さすがによほどの料理を出さないと、お客さんは納得しない値段です。ということで、いきなり出たのがあまりに豪華な巻き物。有明の最高級海苔の上に1枚の金箔、そして神戸うすなが牧場産神戸ビーフのヒレのユッケ、ロシア産の高級キャビア「オシェトラ」がのるという、とんでもない陣容ですが、どの味も邪魔せず一体になって美味を表現していました。ロースター、鉄板、炭火を駆使して繰り出される肉は「神戸ビーフ」の中でも最高峰と言われる「特別な但馬玄」「但馬玄」などがずらり。今後、もう少しカジュアルな値段もラインアップされるようですが、その前にインバウンド客で盛況になりそうです。

<店舗情報>
◆神の戸
住所 : 東京都港区西麻布1-4-44 シグマ西麻布II 2F
TEL : 050-5456-8268
これから流行る? ジョージア料理
近年、オレンジワインでその存在感を高めているジョージアですが、9月14日、牛込神楽坂に「AJIKA Georgian Bistro and Wine Bar」という、ジョージア料理の専門店がオープンしました。
地蔵坂の奥まったビルの1階で、ゆったりと広い店内はカウンター、中央に有名なワイン醸造に使われる壺がディスプレイされた長テーブル、丸テーブルがあります。高身長な男女が多いと思ったら、お客さんの多くがジョージア人、ロシア人とのことで、早くも社交場として機能しているようでした。料理は有名な「シュクメルリ」はもちろん、両手で掴んで食べる巨大な小籠包「ヒンカリ」やピザのような「ハチャプリ」など、このお店ならではのものが多く、価格もリーズナブル。たまたまかもしれませんが、グラスワインの盛りが尋常でない多さだったのも気に入りました。

<店舗情報>
◆AJIKA Georgian Bistro and Wine Bar
住所 : 東京都新宿区袋町3-6 神楽坂センタービルアネックス 1F
TEL : 050-5596-9661
女性シェフのスペインバルと梅ケ丘のイタリアンバル
若きシェフのスペインバル
9月2日、麻布十番にスペインバル「NICO」がオープンしました。シェフはスペインの三つ星店「アスルメンディ」での研修経験もある、まだ20代の吉見吏世さん。私は彼女が恵比寿で週1回間借り営業していた「アプロヴェーチェ」時代にもうかがったことがあって、料理はもちろん、そのコミュニケーション能力の高さに驚いたのですが、実店舗になり、より生き生きとしていました。
メニューはスペインらしい定番が並び、うまみが素晴らしい36カ月のハモンイベリコ デベジョータからココットで提供されるイカ墨のパエリアまで、ワインが進むものばかり。運営はサブライム時代に一世を風靡した花光雅丸さんが率いる、株式会社beagleです。

<店舗情報>
◆NICO
住所 : 東京都港区麻布十番2-8-3 スピカレジェンド 1F
TEL : 050-5596-7604
気軽に立ち寄りたいイタリアンバル
8月1日、梅ケ丘駅の南口からすぐの商店街には、イタリアンバル「バーカロ ルーポ」がオープンしました。人気イタリアン「RAMA 白金」の姉妹店で、同店でスーシェフだった瀬形裕太さんがシェフとなります。
“バーカロ”とはイタリアでは立ち飲み居酒屋のことだそうで、こちらでも気軽に立ち飲みとテーブルでの食事ができます。料理はケースの中に温菜、冷菜がそれぞれ6~7種類あり、テイクアウトも可能。早めの夕方から600円のグラスワインを秋鮭のコトレッタやクミンかぼちゃクリームのローストチキンなどと共にいただき、残ったソースを自家製のミルクパンで掬いながら食べるのは幸せな時間でした(気になった「豚のトマトバルサ煮込み」はテイクアウトに)。

<店舗情報>
◆バーカロ ルーポ
住所 : 東京都世田谷区梅丘1-25-2
TEL : 03-6413-1160
なめろうを挟んだアジフライと早くも話題の串カツ
アジフライがおいしい居酒屋
8月18日、 中目黒に居酒屋「弥之助」がオープンしました。運営は同エリアで「Bolero」を営む株式会社Basicで、料理は「焼肉 うし松」や「一鳥目 とり松」で料理長を務めた佐藤拓弥さんが手掛けています。
メニューに三大名物として記されていた「弥之助アジフライ」「和牛厳選部位 鉄板焼き」「弥之助の土鍋飯」の中からアジフライをオーダー。なめろうにしたアジを切り身で挟んで揚げていて、食感まで楽しめました。佐藤さんの経験を生かした料理もありますが、多彩なジャンルの料理人が集っているとのことで、これからの新メニューにも期待です。店内に流れる昭和歌謡を聴きながら飲んでいると、ひとりでも幸せな気分になります。

<店舗情報>
◆弥之助
住所 : 東京都目黒区上目黒3-32-5 カーサデラソル 2F
TEL : 050-5596-5389
使い勝手のよい串カツ屋
8月19日、有楽町駅と新橋駅の間の高架下にある日比谷OKUROJI内に「串カツ たぬき」がオープンしました。こちらは2023年に高田馬場に誕生し、天才・斉藤元志郎シェフ監修の下、大人気店となった「Fry家」と同系列。
それゆえ、パン粉は2種、油もラードや鶏油、ヘッドをブレンドしていて、「極みささみフライ」など、Fry家のメニューもラインアップされています。その他、「納豆」「子持ちこんにゃく」といった変わりカツもあり、カジュアルな雰囲気と値段なので、活用できそうです。

<店舗情報>
◆串カツ たぬき
住所 : 東京都千代田区内幸町1-7-1 日比谷OKUROJI G16&17
TEL : 050-5456-6866
教えてくれた人

大木淳夫
『東京最高のレストラン』編集長
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本『東京最高のレストラン』編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由』(堀江貴文)、『新時代の江戸前鮨がわかる本』(早川光)、『にっぽん氷の図鑑』(原田泉)、『東京とんかつ会議』(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、『一食入魂』(小山薫堂)、『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)など。 好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事、「料理レシピ本大賞」特別審査員も務める。最新刊『東京最高のレストラン2025』が発売中。10月7日に初の著書『50歳からの美食入門』(中央公論新社・中公新書ラクレ)を出版。
食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/
※価格は税込です
文・撮影/大木淳夫
The post 早くも話題沸騰の大人の串カツ店など、注目の12店〈大木淳夫の9月の新店アドレス〉 first appeared on 食べログマガジン.