ロシアとウクライナは、トランプ政権復活で国際環境が流動化することも視野に、戦場で優位に立つべく攻防を激化させている。

 民主党による「現状維持」、共和党が促す「即時停戦」のいずれのケースでも、自国に有利な条件を積み重ねることがカギを握るからだ。

 ウクライナは今夏、ロシア西部クルスク州の国境地帯を占領する越境作戦に打って出たが、戦局転換には程遠い。ゼレンスキー大統領は9月の訪米でハリス、トランプ両氏とそれぞれ会談。支援に消極的とされるトランプ氏の復帰にも備えた。

 ゼレンスキー氏は6日、ロシアに先んじる形でトランプ氏に祝意を表明。「力による平和」を求める立場は共有していると指摘した上で「超党派の強力な支援が継続されるよう期待している」と注文を付けた。

 一方、プーチン政権は、国際社会が北朝鮮による派兵に目を奪われる間に、正規軍をウクライナ東部へ集中的に投入し、占領地を急速に拡大。米次期政権に「戦場の現実」を見せつける狙いだ。

 米ロ間には核兵器管理を含む難題も横たわる。プーチン大統領は10月の記者会見で、関係正常化は「新政権の選択だ」と述べ、米側の出方を見守る姿勢を示した。

 ロシアの有力メディアRBKは6日、米FOXテレビを引用する形で、早々にトランプ氏勝利の見通しを伝え、関心の高さをうかがわせた。ペスコフ大統領報道官は記者団に対し、プーチン氏が祝意を示す予定については分からないと発言。米国が「わが国に対する戦争に関与している非友好国」であることを理由に挙げた。