国民民主「手取り増やす」掲げるも…「103万円」の先に「130万円」の壁 制度見直しに他党も協議 維新の幹事長らと会談「個人的には賛同」

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衆議院選後も注目される「103万円の壁」の見直しについて、5日、東京・永田町で国民民主党と日本維新の会の幹事長が協議した。
維新側は「個人的には賛同」と述べ、制度改革について協力を検討している。

103万円の壁見直しに各党が議論…「深刻なのは社会保険の130万円」

衆議院選挙の後も注目が続いている国民民主党の「手取りを増やす」というスローガン。
現在103万円の壁の見直しが話題になっているが、ほかの党からは、その先にあるもう1つの壁の方が深刻だという声が上がっている。

青井実キャスター:
まず、103万円の壁の見直しを確認していきます。所得税が課税される年収の線引きを103万円から178万円に引き上げることで手取りが増えるという案です。

先日、玉木代表を取材した時も意気込みをこう語っていました。

青井キャスター:
ーー実行できるものなんですか?

国民民主党・玉木代表:
やるしかない。これからの1カ月ぐらいが勝負だと思いますね。

一方、この103万円よりももっと重要な壁があると訴えたのが、立憲民主党の野田代表だ。

立憲民主党・野田代表:
手取りへの影響という意味で、より深刻なのは社会保険の130万円の壁だというふうに思います。

この「130万円の壁」について、街で聞いた。

40代:
130万だと、税金の納める金額が変わるとか。あまりくわしく分からない。

60代:
健康保険ですよね。

60代:
夫の扶養家族なんですけど、それ以内で。それ以上働いちゃうと社会保険。

青井キャスター:
細かい条件はいろいろとありますが、例えばパートやアルバイトで働く主婦の場合、夫が勤めている会社が51人以上であれば年収106万円、50人以下なら130万円に壁が設定されており、それを超えると、社会保険料の支払いが必要になります。

社会保険料を払うと、年収130万円未満の時よりも手取りが減る逆転現象が起きるケースもあります。そのため、この壁を超えないようにしようとして働けなくなる人も少なくないです。

そんな経験はないか、街で聞いた。

20代:
(学生時代)バイトで超えないように調整しながら働いてました。

40代:
(知り合いが)壁があるから働けなくなって、調整しなきゃいけないから、現場は忙しいのに帰らなきゃいけない。ほかの人にしわ寄せが行っちゃうから申し訳ないと言っていた。

青井キャスター:
ーー山口さん、この103万円、そして130万円というのが出てきましたが。

スペシャルキャスター・山口真由さん:
130万円は、特に典型的にはパートタイムで働く主婦の方は、結構気にして激変しちゃうところなので、気にしてる方が多いんじゃないかなって印象があります。

“130万円”社会保障制度が壁に

青井キャスター:
103万円の先に130万円の壁、まだまだ見ていきます。この年収の壁問題は、専門家の方はどう考えているのか、エコノミストの酒井才介さんに聞いた。

みずほリサーチ&テクノロジーズ チーフ日本経済エコノミスト・酒井才介氏:
103万円の壁というのは、実は制度上は必ずしも壁にはなっていない。手取りがむしろ減ってしまうという意味において、本当の壁と言えるのが、106万円、130万円の壁。社会保障制度の壁、この改革をあわせて検討しないと、労働供給はプラスの効果が得られるかというと、必ずしもそうではないだろうと考えています。

青井キャスター:
労働供給のプラス効果、つまり働く人が増えるためには、年収の壁の改革が欠かせないとのことでした。もっと働きたいという人が制度に阻まれないように、政治が結果を出せるかどうか注目していきましょう。

宮司愛海キャスター:
東京・永田町で5日、この103万円の壁などをめぐり、日本維新の会と国民民主党の幹事長らが意見を交わしました。

国民民主党・榛葉幹事長:
協力できるところは協力していただきたいということを申し上げましたし、非常に良い感触でした。

日本維新の会・藤田幹事長:
財源のこと、結構言われてますよね。われわれも政策論はしっかりとやりたいなと思います。私は個人的には賛同してますけど。

宮司キャスター:
両党は、年収の103万円の壁について協議していくことや、政策活動費廃止などの政治改革、国会改革について協力することで合意しました。維新側によると、特別国会の首相指名選挙については、決選投票でもそれぞれの党の代表の名前を書くことを確認しました。
(「イット!」11月5日放送より)