【ワシントン時事】5日に投開票される米大統領選は、民主党のハリス副大統領(60)と共和党のトランプ前大統領(78)が近年まれに見る大接戦を続ける。

 どちらが勝ってもおかしくない状況で、中傷合戦が激しさを増し、政策論争は深まっていない。

 政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各種世論調査まとめによると、全米の平均支持率ではトランプ氏がハリス氏に0.3ポイントの僅差でリード。激戦7州のうち、トランプ氏がペンシルベニア、ノースカロライナ、ジョージア、アリゾナ、ネバダで先行し、ハリス氏はミシガン、ウィスコンシンの2州で優位だが、いずれも誤差の範囲内だ。

 ABCテレビの10月の世論調査によれば、重視する争点では「経済」(90%)がトップ。「米国の民主主義の保護」(81%)や「南部国境での移民の現状」(69%)、「人工妊娠中絶」(61%)などが続いた。経済や移民ではトランプ氏、民主主義の保護や中絶に関してはハリス氏の手腕への信頼が高い。

 両陣営はわずかな浮動票を奪い合い、最後の1週間にネガティブキャンペーンを加速。ハリス氏が「卑劣な暴君」とトランプ氏を批判すると、トランプ氏は「ハリスは知能指数が低く、憎しみの選挙をしている」と応戦した。

 トランプ氏は若い男性や人種的少数派(マイノリティー)の支持を2020年大統領選に比べ伸ばしており、「4年前の同時期と比べ、全米でも個別の激戦州でも著しく良い位置にいる」(陣営)と強気の姿勢だ。「ハリスが壊し、トランプが直す」を締めくくりのメッセージに、追い込みをかける。

 一方、ハリス氏は、女性や従来共和党の支持基盤だった大卒以上の学歴を持つ白人の間で健闘。こうした層の支持をさらに固めるため、最終盤は中絶の権利擁護を前面に打ち出している。

 フロリダ大の集計によると、1日までに約7000万人が郵便を含む期日前投票を済ませた。投票者の性別を確認できる6州のデータでは、女性が54%と男性の43%を大きく上回っている。