「ヤシガニはパワーがヤバい」「オオスズメバチは刺された瞬間にバチンッ!」…異才Youtuberが語る「危険で痛すぎる」生物ランキング
あらゆる毒虫や毒魚に、実際に刺されてレポートする動画が視聴できるYouTubeチャンネル『平坂寛』。
前半記事『「毒グモに噛まれた時は片腕が動かなくなった」…《毒生物に自ら刺される》YouTuberが、自分を実験台にする「深すぎる理由」』では、危険な撮影にも果敢に挑む思いを聞いたが、後半はこれまでにもっとも痛かった生き物ベスト3や、普通に生活する私たちが気をつけるべき生き物について紹介する。
痛みや毒にも「種類」がある
ひとくちに危険生物といってもその種類は多様。噛まれたり刺されたりした際の痛みも種類によって違うが、大きくは2つのタイプに分けられると平坂氏はいう。
「噛まれたり挟まれたりする痛みは、顎や歯の形状によって違いが出ます。まず、噛まれるイメージの中でもメジャーなサメやピラニア。こちらは、歯が鋭いためハサミやナイフで皮膚を切られる痛みですね。一方で、クロダイや固い木の実を歯で割って食べるパクーという魚などに代表される、ペンチで肉が潰されていくような圧迫系の痛みもあります。実は、カニもハサミと言いつつも、役割は硬いものを圧迫して割るものなので用途としてはペンチです。なので、同じような圧迫系の痛みです」
こうした痛みの違いから、その生き物の食生活や捕食の仕方などの生態がわかるので、それが面白いのだと平坂氏。また、毒についてもいくつかの種類があるようだ。
「タイプとしてはまず即効性があるもので、これは刺された瞬間に激痛が走ります。例えばハチなどが有名ですね。みなさんが知っている有毒生物はこの即効性のタイプがほとんどです。敵を追い払うためには後から毒が効いても意味がないので、必然的に即効性が高まるのです。逆に、じわじわ効いてくるタイプがあります。セアカゴケグモはこのタイプで、私は刺された約1時間後に腕が動かなくなりました」
一般人も注意…痛かった毒生物ランキングベスト3
それを踏まえて、これまで数百種類の生き物の毒痛を味わってきた平坂氏に、痛みのベスト3を教えてもらった。
第3位に入ったのは毒を持たずパワーだけで痛みをもたらす「絶滅危惧種」の生物だった。
「第3位はヤシガニです。毒ではなくパワーですね。瞬間的な痛さなら、カミツキガメなど他にもたくさんいるのですが、ヤシガニは全然離してくれないのが辛かったですね。その間も、グリグリと食い込んでくるので、挟まれた前腕が壊されていっているのが分かるんです。名前の通り、ヤシガニはヤシなどの木の実を砕いて食べるので強いんですよね。くるみ割り機の中に、自分の腕を入れて挟み続けられている状態で辛かったです」
そして、第2位には私たち一般の生活者でも遭遇する可能性の高い「オオスズメバチ」がランクインした。
「刺された瞬間にバチンッ!と衝撃が走ります。皮膚の中にかんしゃく玉をねじ込まれて中で破裂したような…もちろん、そんなことをされた経験はありませんが(笑)。
ものすごい衝撃があり、他のハチとはレベルが違いますね。患部も大きく腫れましたし、刺されて9時間後には38.5度の熱も出ました。さらに、24時間経っても強い倦怠感が続きました。また、これは他の毒性の生き物でもよくありますが、治り始めるとかゆみが出てこれもとても辛いんです」
1位の生き物は、一般的には馴染みが浅い魚だった。しかし、この魚に刺される事故も実際に起きているという。
「1位はオニダルマオコゼという魚です。背びれや胸びれのトゲに毒を持ち、刺された瞬間に骨に強烈な痛みが走ります。骨をグリグリッ!とやられている感覚です。僕は自分で刺したので平静を保てていましたが、それでも痛みで震えていましたね。
もし、海水浴中に不意に踏んづけて刺されていたら、パニックになっていただろうと思うほどの強烈な痛さでした。日本だと沖縄にも生息していて、海水浴中に踏んでしまう事故が実際に起きています」
百戦錬磨の平坂氏は「ミツバチ」で死にかけていた…!
身体や食生活の特徴から、痛みや症状も様々な危険生物。中には、変わった症状を引き起こす生き物もいるようで……。
「スイミングスコーピオンという種類のサソリに刺された時は珍しい反応が出ました。中国南部や東南アジアではよく見られる種類のサソリですが、刺された瞬間のバチン!という衝撃は、スズメバチに近いです。ただ、刺されて30分〜1時間経つと、感覚がおかしくなってくる。なんと「熱い」と「冷たい」の感じ方が逆転するのです。僕が刺された時は、氷の入ったドリンクのコップを持つと、『熱い!』となり、熱いスープの入った器で手を冷やすみたいな、おかしな行動をとっていました」
これだけ危うい経験をしてきた平坂氏。死に近づいたことはないのだろうか。
「今年の5月に蜂蜜を採りにネパールに行った時に、日本のミツバチとどのくらい痛みが違うか、刺されて確認しようと思いました。ご存じの通り、ミツバチの毒性は弱くて人間の命を脅かすほどではありません。でも、その油断が危険だった」
私たちが聞いたこともない生き物の名前が出てくるかと思いきや、ミツバチという馴染深い生き物で死にかけたという平坂氏。一体何があったのか。
「離れた場所からドローンで巣を撮影していたら、そのドローンに大量の蜂がついてきた。ドローンを手元に戻す時もモーターの音で蜂がいることがわからなかったんです。着陸させてもまだブーンという音がするので、『何の音だ?』と思ったら、蜂の大群に顔全体を刺されました。
10分するとアナフィラキシーショックのような症状が出て、めまいで立っていられなくなり嘔吐してしまいました。山奥だったので、ひとりだったらその場で動けなくなって死んでいたかもしれません。同伴者に助けられ、事なきを得ました」
私たちの身近にいる危険な生物を紹介
最後に、あらゆる危険を体験している平坂氏に、私たちが普通に生活する中で遭遇する可能性のある危険生物を聞いてみた。
「まずは、ヌカカです。分類上は蚊ではありませんが、蚊みたいな虫です。帽子のメッシュ部分からも入ってくるくらい小さいので、長袖長ズボンでも油断はできません。刺された時の痒みは大げさではなく地獄で、本当に眠れないレベルです。街にはほとんどいませんが、キャンプなどに行く時は注意が必要です。秘境のような山奥ではなく郊外の川くらいで遭遇します」
さらに、自然の多い場所へ出かけなくても、街中の公園や自宅の庭などで遭遇してしまう生き物についても教えてくれた。
「 ヨコヅナサシガメです。カメムシの仲間なので、捕まえるとやや匂いはします。肉食のカメムシで人間を刺すこともあって、ハチに刺されるくらい強い痛みがあります。割と大型で、カッコよくも見えるので、子供が捕まえて触っているうちに刺されるということもあったり、庭木の手入れをしていて刺されたという話も聞きますね。注意すべき身近な存在の生き物です」
まさに体を張って生き物の面白さと危険性を伝え続ける平坂氏。釈迦に説法であることは承知の上だが、くれぐれも気をつけたうえで、私たちにさらなる楽しさを伝え続けて欲しい。
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