大谷翔平 メジャー7年目ついに!悲願の世界一 騒動乗り越え前人未到「50−50」達成&2冠獲得「最高の1年だった」
「ワールドシリーズ、ヤンキース6−7ドジャース」(30日、ニューヨーク)
大谷が世界の頂点に上り詰めた。ワールドシリーズ(7回戦制)の第5戦がニューヨークで行われ、ドジャースがヤンキースに7−6で逆転勝ちし、4勝1敗として4年ぶり8度目の制覇を果たした。今季ドジャースに加入した大谷翔平選手(30)は激動の1年を乗り越え、メジャー7年目で悲願を達成。有終の美を飾り、山本由伸投手(26)らチームメートと歓喜を分かち合った。
最後の打者のバットが空を切った瞬間、声を上げ、極上の笑顔でベンチを飛び出した。痛いはずの左腕を振り、マウンド付近に広がる歓喜の輪に飛び込むと、目の前にいる選手や球団スタッフを力いっぱい抱きしめた。
「ただただうれしい。ナイスゲームだった。新しいチームに来て、最高の終わり方ができて、最高の1年だった」
メジャー7年目で初めて見る山頂からの景色。涙はない。ずっと大谷が笑っていた。
アルコールの甘い香りでむせかえるクラブハウス。4度目のシャンパンファイトは96本のシャンパンと180本のビールが用意された。「『最高』以外に言葉がない。一番格別なシャンパンファイト。もう先はないですし、存分に楽しみたい」。自ら口を開けてビールを浴びた。ゴーグルをおでこに着けたまま、大谷がはじけまくった。
世界を驚かせ続けた1年だった。昨季終了後にエンゼルスからFAになり、ド軍とプロスポーツ史上最大規模の10年7億ドル(当時の為替レートで約1015億円)。チームの補強費を軽減するため、約97%にあたる6億8000万ドル(約986億円)を後払いにする前代未聞の契約だった。
2月末にはアリゾナのキャンプ地で結婚を電撃発表。「日本人の方です」。名前の公表は控えたが、3月20日の韓国開幕戦の前に自身のインスタグラムで真美子夫人とのツーショット写真を公開。世間を騒然とさせた。
開幕戦を迎えた韓国では専属通訳による違法賭博事件が発覚し、球団は通訳を電撃解雇した。「彼が僕の口座からお金を盗み、なおかつ、僕の周りにもウソをついていたのが結論」。大谷は警察の捜査に協力しながらプレーを続け、強い精神力で逆境をはね返した。
昨秋の右肘手術のため、打者に専念したシーズン。打ちまくり、走りまくり、54本塁打&59盗塁を記録し、メジャー史上初の「50−50」を達成。2年連続本塁打王、初の打点王にも輝いた。
初めて臨んだポストシーズンでは、ワールドシリーズ第2戦の走塁で左肩を亜脱臼。痛み止めの注射を打って打席に立ち、歯を食いしばってバットを振り続けた。この日は4打数無安打だったが、チームの世界一に「自分たちの野球ができたことに誇りを持っていますし、最後まで勝ち切れたというのは本当に誇りに思っています」と胸を張った。
試合後のロバーツ監督の記者会見では、大谷がフリードマン編成本部長に「あと9回(ワールドシリーズ制覇を)やりましょう」と言ったことが話題になった。来季は二刀流復活を期待されている大谷が、投打の柱となって連覇を目指す。