尹大統領「北朝鮮軍の戦線投入が早まる可能性…厳重状況」
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が28日、北大西洋条約機構(NATO)・欧州連合(EU)の首長と相次いで電話会談を行い、「北朝鮮軍のウクライナへの実際の戦線投入が予想より早まる可能性がある厳しい状況」と明らかにした。NATO側は北朝鮮軍が激戦地であるロシア西南部クルスクに派兵された事実を公式化した。これに伴い、韓国政府代表団はNATOとEUに続いてウクライナ現地を直接訪問することにした。朝ロ間の不法軍事協力に対応するための国際社会のスクラムをより強固に組もうという趣旨だ。
大統領室によると、尹大統領はこの日EUのウルズラ・フォンデアライエン委員長の要請で行われた電話会談で、北朝鮮軍のロシア派兵動向に関連した情報を共有して「ロ朝間の不法な軍事協力は規範を基盤とする国際秩序を根底から揺るがし、韓半島(朝鮮半島)と世界平和を脅かす」と説明した。「北朝鮮軍の即時撤退とロ朝軍事協力の中断を促す中で、軍事協力の進展如何によって段階別措置を講じる」とも話した。
尹大統領は、EUが北朝鮮の派兵が伝えられた直後、強力な糾弾メッセージを出すなど速かに対応したことについて謝意を表したと大統領室は付け加えた。
◇韓国政府代表団、NATOで情報ブリーフィング…ウクライナにも訪問へ
大統領室は引き続き「ロ朝間の不法交流を監視して遮断するための努力を倍加する中で、EUおよび加盟国と共に実質的な対応措置を模索していきたい」と明らかにした。
これに対してフォンデアライエン委員長は「国際法と国連安保理決議に正面から背反する北朝鮮のロシア派兵に深刻な懸念を表明」とし「これはすでに長期化したウクライナ戦況をより一層悪化させる重大な事案」としたうえで、「これに対応するために大韓民国と積極的に協力する準備ができている」と明らかにした。
代表団はEU側にも別途のブリーフィングを行った。これはウクライナに対する人道的支援を含む経済支援と再建事業の議論、朝ロを狙った追加制裁措置を念頭に置いたものとみることができる。
尹大統領は直後にNATOのマルク・ルッテ事務総長との電話会談で、派兵関連の最新情報を共有して対応方案を議論した。ルッテ事務総長は「北朝鮮のロシア派兵をはじめ不法軍事協力が紛争を激化させているが、これは国際平和と繁栄に対する深刻な脅威」としながら「韓国が速かに政府代表団を派遣してNATO加盟国と情報を共有したことに対して格別に感謝の意を伝える」と明らかにしたと大統領室は伝えた。これに対して尹大統領は「今後もNATOと緊密に協議する考えで、NATOがロ朝間の不法交流を監視して遮断する努力を倍加させてほしい」と話した。
この日、国家情報院のホン・チャンウォン第1次長を代表とした情報・国防当局者は、ベルギー・ブリュッセルのNATO本部で加盟国に対して関連情報をブリーフィングした。韓国政府がNATO本部に直接代表団を派遣して北朝鮮軍派兵の情報を公開したのは状況の深刻性を勘案したものと分析される。朝ロ間の密着に対して、ウクライナを支援する西側陣営全体で共同対応の幅を広げて圧迫する様相だ。韓国政府NATO代表団の非公開ブリーフィング直後、ルッテ事務総長は声明を出して「私は北朝鮮軍のロシア派兵と北朝鮮軍部隊がロシア・クルスク地域に配置されたことを確認(confirm)することができる」と明らかにした。