『週刊少年ジャンプ』“ポスト呪術廻戦”は? ネクストブレイク必至のダークファンタジー漫画
約6年半にわたって『週刊少年ジャンプ』(集英社)を牽引してきた人気漫画『呪術廻戦』が、ついに完結を迎えた。8月には同じく長期連載の『僕のヒーローアカデミア』も連載終了したため、「誌面が寂しくなった」と感じている人も多いのではないだろうか。
しかし現在の同誌では、いくつもの作品が頭角を表しつつあり、世代交代の波が訪れている。次なる“ジャンプの看板”になりそうな漫画を、詳しく紹介していこう。
まず大本命と言えるのは、2023年9月から連載が始まった『カグラバチ』だろう。同作は外薗健の連載デビュー作でありながら、コミックスの累計発行部数が4巻までで90万部を突破。さらに海外で熱狂的なファンが生まれていることも話題を呼んだ。
その大きな魅力は、和に徹した世界観にある。主人公の六平チヒロは、特殊な力を持つ“妖刀”の名工を父にもつ青年。しかし謎の組織が父の工房にあった妖刀を強奪する事件が起き、いくつもの悲劇が連鎖することに。チヒロは父の妖刀を取り戻すべく、熾烈な戦いへと身を投じていく。
チヒロの前にはさまざまな妖刀をもった敵が現れ、ド派手なバトルが繰り広げられるのだが、それぞれの刀は生き物のモチーフを宿している。たとえばチヒロが携える「淵天」(えんてん)は、技にあわせて美しい金魚が宙を舞うのが特徴だ。ほかにも龍や蝶などをモチーフとした妖刀が登場しており、ただでさえスタイリッシュな剣戟に豪華絢爛なエフェクトが加わっている。
『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』の流れをくむ王道の和風ダークファンタジーなので、今後アニメ化した際にはさらに人気が加速しそうだ。
また、2020年から連載されている鈴木祐斗の『SAKAMOTO DAYS』も、大きなポテンシャルを秘めている。
同作の主人公は“最強の殺し屋”と言われていたが引退し、結婚して平凡な幸せを手に入れた坂本太郎。そこにひと癖もふた癖もある刺客たちが訪れ、激しい戦いに巻き込まれていく。
その魅力は圧倒的な画力の高さに加えて、斬新な戦闘シーンの描き方。街中にあるものを武器として利用したり、遊園地のジェットコースターや観覧車などのギミックを利用したりと、他のバトル漫画では見たことのないアクションが展開されるのだ。
すでにコミックスは累計550万部を突破しており、2025年1月にはTVアニメ化が放送される予定。アニメ映えする内容なので、大ブレイクを果たすかもしれない。
異色と王道をミックスした注目作たち一部で熱狂的な人気を獲得しつつある連載として、『鵺の陰陽師』にも注目したい。同作は幻妖(げんよう)が見える高校生・夜島学郎が、校舎に住み着く美しい幻妖・鵺と出会うことから物語が始まる。不思議な力を手に入れた夜島は、激しい戦いへと巻き込まれていく。
壮大な設定に基づいたバトルだけでなく、甘酸っぱいラブコメが繰り広げられるのも同作の魅力。明るい先輩の周防七咲に陰陽師の旧家出身で闇を背負う藤乃代葉、かつて生き別れた“僕っ子”の義妹・留袖四衲と、魅力的なヒロインたちが読者を虜にしている。
そのストーリーやキャラクター設定には、2000年代にブームを起こしたビジュアルノベルゲームの影響を感じさせる部分も。とくに代葉のエピソードでは、『Fate/stay night』を連想する読者が続出し、大きな話題を呼んでいた。
今年始まった新連載陣にも期待作は多いが、なかでも注目は『願いのアストロ』。大ヒット漫画『東京卍リベンジャーズ』の作者・和久井健による最新作だ。
物語の舞台となるのは、未知の流星群が直撃したことをきっかけに、多くの人々が謎の能力「アストロ」に目覚めてしまった日本。極道「世剣組」組長の一人息子・世剣ヒバルは、義侠心と強力な異能を携えて、ディストピアじみた世界を渡り歩いていく。
任侠と能力バトルという異色の組み合わせは、一見奇をてらったように見えるかもしれない。しかし、ヒバルがアストロの能力で悪を成敗し、「世剣組」の兄弟たちと協力、和解して仲間を得ていくさまは、少年マンガの王道をなぞる展開だと言えるだろう。
新人漫画家のデビュー作からベテラン漫画家の新境地まで、さまざまな連載作品がしのぎを削る『週刊少年ジャンプ』。次なる看板マンガが生まれる日は、そう遠くないのかもしれない。