10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん(時事通信フォト)

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俳優・西田敏行さん(享年76歳)が亡くなった──10月17日、東京・世田谷区の自宅で倒れているところを発見された。同日正午頃に救急車両などが到着し、警察が現場検証を行った。パニックが起きるのを避けるためだろう、現場には規制線が張られ、関係者以外は自宅周辺に近づけないようになっていた。15時40分頃、ブルーシートが広げられて、遺体は警察車両の中へ。車が走り去った後、ようやく規制が解かれた。【前後編の前編】

【写真】東京・世田谷区の自宅で倒れているところが発見された西田さん。かつての杖をつく姿や、車椅子に乗って移動する姿なども

近隣住民語る…車椅子生活だった西田さんの晩年

 晩年の西田さんは体調不良を抱え、日常生活を送るうえで杖と車椅子が欠かせなかった。近隣住民が証言する。

「まだコロナ禍のあたりだったでしょうか。西田さんが両手で杖を2本ついて、マスクに帽子姿でゆっくりと近くのコンビニまで行くのをお見かけしました」

 また別の近隣住民が語る。

「今年の夏くらい、西田さんが自宅の壁を伝って歩くところを見かけました。外の空気が吸いたかったのか、それとも歩行の練習をしていたのか……。声をかけてほしくなさそうな雰囲気を感じたので、挨拶はしていません」

 近所の人たちの目から見ても、本調子ではない様子だったという。「出かけるときは奥さんが車を運転して、西田さんは助手席に乗ってました。事務所の車で戻ってきたときは、周囲に支えられながら車を降りていて、調子が良くなさそうな感じでした」という証言があった。

 体調は万全ではなくとも明るさを失わず、地元の人々に親しまれる存在だった。

「選挙の投票のときに数回お見かけしました。甚平を着ていて、近所の人たちにフレンドリーに挨拶したり、立ち止まって世間話をしていました」(別の近隣住民)

 そんな西田さんの自宅前、一番に届けられた供花は、NHKラジオドラマ『新日曜名作座』で共演する女優・竹下景子(71)からのものだった。名優ふたりによる深みたっぷりの掛け合いは、もう聴くことができない──。

 西田さんの訃報に、各界から悼む声があがっている。後編では西田さんのかつての劇団仲間のほか、長年の付き人が生前の思い出を振り返っている。

(後編に続く)