自民党の今井絵理子参院議員(時事通信フォト)

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 10月9日に衆議院が解散され、第50回衆議院議員総選挙が決まった翌日、SNSで話題になったのは今井絵理子参議院議員だった。9日夜に国会内で撮影したと思われる画像2枚を添付した投稿に2000を超えるコメント、しかもほとんどが批判的な内容で炎上状態になったのだ。臨床心理士の岡村美奈さんが、今井議員の投稿の何がネットユーザーの反感を買ったのか分析した。

【炎上写真】アイドル気取り?“振り返って窓の外を眺め微笑んで…”の決めポーズ写真

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 世の中に、なぜか癇に障ることばかりしてしまうような人はいるものだ。9日に自民党の今井絵理子参院議員が、Xに投稿した内容が炎上している。

「第214回臨時国会が閉会しました。本日、衆議院が解散し、10月15日公示、27日投開票の総選挙が行われます。皆さんの一票が未来をつくります」と綴られた投稿には、2枚の写真が添付されていた。国会の中なのか、クラシカルな印象の豪華な洋室の窓辺にたたずみ、肩越しに振り返りポーズを決めているショットと、窓の外をながめながら微笑んでいるショット。これに「アイドル気分のまま」「フランス研修の報告書はどうした」「芸能人気質が抜けていない」「待っているのはフランス研究の報告書」といったコメントが相次いでいるのだ。

 そういえば2023年7月実施のフランス研修の報告書がまだだった。当時自民党女性局の局長だった松川るい議員がエッフェル塔の前で塔のようなポーズで撮った写真をSNSに投稿、批判を浴びたが、この視察に今井氏も同席していたのだ。「観光か」と批判を浴びると「無駄な外遊ではない」とXで反論。「また追って活動報告します!!」と投稿していたが、その後、何ら報告はされていない。9月の自民党総裁選では上川陽子前外務大臣の推薦人となり、彼女を推す理由を連続投稿していたが、肝心のフランス研修旅行の報告はまだだ。今井氏についてこれ以外に思い浮かぶのは、残念ながら不倫問題ぐらい。せめてXの投稿で約束したことぐらい果たしなさいと思っている人が多いのだ。

 おそらく微笑んでいるショットだけなら、ここまでの批判は浴びなかったと思う。窓の外を見ながら微笑むショットは、「皆さんの一票が未来をつくります」というコメントとつながり、明るい窓辺と微笑みは未来を強調するようイメージがある。しかし意地悪い見方をすれば、微笑み過ぎているため、参議院の私には関係ないけれど、衆議院の皆さんは選挙を頑張ってねといった心境があるようにも感じ取れてしまう。さらに言えば、自民党はこの選挙で議席を減らすと予想されており、党所属の議員としては笑えない状況なわけで、適切な写真とは言い難い。

 さらに問題は振り返ってポーズを決めている写真だ。なぜこんなショットを載せたのかと思うが、どうして批判を浴びるのかピンとこなかったのかもしれない。まずこの写真はわざわざ撮影されたイメージ写真だとすぐにわかる。日常を切り取った一枚ならまだしも、有権者にとっては、参院議員である彼女がこのタイミングで自分をアピールする意味がわからない。

 次に彼女はこのショットで振り返っている。前を向いてはいないのだ。振り返るということは、現在や未来より過去に向いているイメージが強くなる。そのためおのずと有権者も彼女の過去に目を向けるようになる。彼女は、自分からXを見た有権者に過去を思い出させるようなポーズを取っているのだ。なのに自分がXの投稿で約束した報告書すらまだ出していないとなれば、批判を浴びるのは当然の成り行きだろう。

 肩越しというのもマイナスだ。例えばこれが恋愛における別れのシーンなら、肩越しに見るのは、ちょっとだけ未練はあるけど過去は過去と割り切って、引きずらずに前を向こうといった場面ではないだろうか。このショットも同様で、総括すべきフランス研修と向き合わず、進もうとしている印象を与えるのだ。

 元アイドルでも今は国会議員、きれいなイメージ写真もいいけれど、時と状況を見極める力をもっと磨いてほしいと思う。