【川崎 さちえ】この夏、20代女性に「バカ売れ」した大ヒット「カミソリ」があった…！
ムダ毛や髭の処理に使う「カミソリ」。お気に入りの商品があり、ふとどこの会社が作っているのかとパッケージを見ると、もしかしたら「貝印」かもしれません。使い捨てカミソリや爪切り、ハサミ、包丁など刃物を扱い、国内シェアでもトップクラスなのが「貝印」です。特にこの夏は、女性用のカミソリがバカ売れしたそう。その裏側に迫っていきます。
（2924年9月17日の「2024年ネタマッチ合同ヒット商品発表会」にて取材）
使いやすいカミソリは、部位によって異なる
カミソリはムダ毛の処理に使われることが多いもの。現在40代後半の筆者が20代の頃は、カミソリの形のバリエーションは多くなかったと記憶しています。女性の肌に合わせてはいるものの、T字のものがほとんどでした。刃の部分の形やサイズもほぼ同じなので、体の部位によって使い分けるという考えはほぼなかったと思います。
でもムダ毛の処理をする部位によっては、使いやすいカミソリの刃や持ち手の形状は違ってきます。それはムダ毛の太さにも関係してきます。例えばわきは太い毛が生えやすいですが、足や腕は中位の毛の太さになります。そして顔や背中は毛が細いので、同じカミソリでは使いにくさを感じてしまうことも多かったのです。
そこで貝印は、体の部位に合わせたカミソリを展開することで、ストレスのない使用感を実現しました。2024年に発売になった「miness」は、ボディ用、うで・あし用、わき用、VIOデリケートゾーン用、背中用があります。それぞれ特徴があり、より使いやすく進化しました。
ボディ用、背中用、うで・あし用はシームレスフィッティングシステムと言って、独立サスペンションと3Dの首振り機能がついています。この３つは共通の替刃。
わき用は刃の幅が２cmでコンパクトヘッドになっています。またコロンとしたデザインで、左右どちらの絵で持っても操作しやすくなっています。
人気商品となった「背中用」
この夏、「miness」の中で注目を浴びたのは「背中用」です。ムダ毛の処理と聞くと、わきやあし、うでという印象が強いですが、実は背中のムダ毛を気にする人も少なくありません。特に夏は水着を着たり、うなじから肩にかけて見せるような服を着たりすることもありますが、背中のムダ毛の処理はとても難しいもの。理由は２つです。自分では見えないこと、届かないことです。
背中を自分で見るには鏡などを使うことになりますが、見ながらきちんと剃るのは意外と大変です。それに1番の問題は、これまでのカミソリでは届かない場所が生まれてしまうこと。体が柔らかくて腕をぐいっと動かせる人なら一般的なカミソリでも対応できるのでしょうが、そういう人ばかりではありません。また無理にカミソリを使うと怪我をする恐れもあります。
そこで貝印は、持ち手部分が長く刃も柔軟に動く「背中用」を作りました。
ハンドルも手を上げてカミソリを背中に当てやすいような形になっているので、安全にムダ毛の処理ができるようになっています。これがバズって、アマゾンでもカミソリ本体の売れ筋ランキングで1位を獲得するほどに。
またアンバサダーに本田真凜さんを迎えたこと、SNSでの認知度の向上によって、背中用は発売4ヶ月で年間出荷目標の90％を達成。そして背中だけではなく部位ごとに使い分ける消費者も増えたことで、同時期にはほとんどのminessアイテムが年間目標の約50％を出荷しています。
特に従来のカミソリの購買層は40〜50代が多かったのですが、minessは20代が多くなっています。もともとブランドターゲットとしていたのが20代ですから、訴求に成功したと言えます。
ムダ毛の処理に関しては、カミソリが簡単な方法ではありますが、定期的に行う必要性があります。そのため脱毛をする人も多いので、貝印としてはカミソリの新しい購買層の拡大、アイテムの開発が必要としていました。その中で、「背中」という「見えない、届かない」からこそ悩む部位に着目したことで、貝印のカミソリの認知につながりました。
貝印は1908年に創業した会社です。それからの歴史の中で国内シェアトップを誇る製品を生み出してきました。今後も消費者の「あったら便利」に応えてくれることでしょう。
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