橋爪功、三浦涼介、岡本圭人らが挑む『リーディングシアター GOTT 神』が開幕&コメントが到着

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2024年10月11日(金)よりパルテノン多摩 大ホールにてリーディングシアター『GOTT 神』が開幕。初日公演に先駆けて、出演の橋爪功をはじめとするキャスト全員コメントと、演出の石丸さち子のコメント、ならびに舞台写真が到着した。

本作は、刑事事件を専門とする弁護士でもあるフェルディナント・フォン・シーラッハの戯曲『GOTT 神』をリーディングシアター形式で上演するもので、 モチーフとなるのは”自死”の是非。倫理的に、また宗教的にも長きにわたってタブーとされてきた、命とは誰のものかという深遠なテーマを問いかける。

演出は、ミュージカルからストレートプレイまで様々な作品を意欲的に創作している石丸さち子。出演は、13年に処女作『犯罪』と『罪悪』を続けてソロ朗読劇で演じ、『テロ』は16年に朗読で、18年にはストレートプレイとして神野三鈴、松下洸平、今井朋彦ほかと共演し、空軍少佐の弁護士・ビーグラー役を演じた橋爪功が、自死を望む老人の弁護人として、『テロ』と同じビーグラー役を演じる。

このテーマを論ずるにあたり進行役の倫理委員会委員長役には、多彩な作品への出演や本作の演出家 石丸さち子が昨年演出した『オイディプス王』で、ゆるぎない演技力とカリスマ性を以って主演を務めた三浦涼介。若き倫理委員会委員で、様々な角度から識者に質問を投げかけるケラー役に、新進気鋭の岡本圭人。神学の立場から死を語る 司教ティール役に、秀作舞台出演が多く、今夏の文学座『オセロー』イアーゴー役でも注目され、昨年の『オイディプス王』に続く石丸 演出作に出演となる実力派 浅野雅博。法律家の立場から死を顧みる参考人のリッテン役に、ミュージカル界での躍進も期待される 石井一彰。眼科医ブラント役には、倉持裕主宰の“ペンギンプルペイルパイルズ”に所属し、舞台、ドラマ、映画に活躍する玉置孝匡。医師たるもの死を幇助することは許されないと主張するドイツ連邦医師会の執行役シュぺアリングに、演劇集団円での橋爪功の後輩、瑞木健太郎。そして、妻が亡くなり生きる意欲を失い、薬による自死の幇助を医師に求める老人ゲルトナー役は、俳優としても声優としても大活躍の山路和弘が担う。

本作でも『テロ』と同様、一幕と二幕の間の休憩時間には、演じられたその討論を見聞きした観客による投票が行われる。“生きなければならないとの法的義務はない“、”医師には命を守る原則がある“、”国民には自ら死を望む権利がある“、などのさまざまな角度からの命、また死というものへの意見が飛び交う中で、最終的に判断するのは観客という設えの注目作。上演は、10月11日(金)~10月14日(月・祝)まで。

>スタッフ・キャストコメント

橋爪功

シーラッハさんの作品に何度も出演してきましたが、今回の「神」はいろいろな意味で難しいと感じています。しかもリーディング形式で上演する事は簡単ではありません。リーディング公演として成立させるにあたり堅実に真摯に熱く作品に向き合う男優陣が揃いました。演出家とスタッフと共にお客様をお迎えすることを待つばかりです。

三浦涼介

重く深い題材を討論する場を進行する倫理委員会委員長を担うにあたり、真摯に稽古を重ねてきました。石丸さち子さんの演出のもと優れた俳優陣と他に類のないリーディング公演で共演できる機会は貴重です。討論会に参加する形で客席にいらっしゃるお客様に作品の真髄を届けられるよう、休憩時間に投票までしてくださるお客様に作品に深い想いを抱いていただけるよう、精一杯務めたいと思います。ご来場をお待ちしております。

岡本圭人

本日から幕が開きます。この舞台は、討論会を劇場にいらしたお客様と共に繰り広げていきます。お客様はどのように感じ、思っていただけるのでしょうか……演出家の石丸さち子さん、橋爪功さんをはじめ素晴らしいキャストの皆様とご一緒できたことをとても光栄に思っています。そして、お客様と共にこの舞台を作り上げる時間をとても楽しみにしております。

浅野雅博

他にはなかなか無いリーディング公演です。俳優にとってスリリングで早くお客様とセッションしたいと思いながら稽古をしていました。タイトルは「GOTT」「神」で、私の役は神に使える立場ですから、いかに説得力をもったセリフをお客様に聞いていただけるかを大切に考えてきました。三浦涼介さん以外、言葉を交わす相手役の俳優さんはお二人共に初共演で、刺激を受けながら楽しく演らせていただいています。

石井一彰

薬による自死幇助を医師に依頼する問題を討論する場に、石井一彰が法学者リッテンとして参加できること、石丸さんの演出のもと橋爪功さんはじめ素晴らしい俳優陣と共演できることを嬉しく思っています。この戯曲に向かい合い「皆で議論をする」という有り難い時空間に参加できることが純粋に喜びです。
議論する題材、言葉がお客様に伝えられるよう、稀少な公演に前を向いて取り組んで行きたいと思います。

玉置孝匡

難しい言葉を使った難しそうな討論が続きますが、実はこんなにわかりやすく、どなたにでも当てはめて考えていただける、シンプルで深い作品を私は他に知りません。医師による自死の幇助について観客の皆様と一緒に考え、そして観客の皆様に賛成か反対か投票していただくことを楽しみにしております。

瑞木健太郎

どこの岸に辿り着くか、わからない…そんな稽古場は魅力的です。
いろんなものをはらんでいるからです。今ここで起こっていること、ただただ、それに耳をすましてみる。そのとき何かが立ち上がってくるんです。昨日考えたプランも読みあさった本の知識も、なにもいらない。
この作品で素敵な方たちと出会うことができ、感謝の思いでいっぱいです。

山路和弘

高齢者の仲間入りした所為か「死」という言葉も存在感を増してきました。
青春の時、淡い色さえイメージしていた「自死」。今では暗澹たる荒野に佇む孤独を想う。今回の作品に刺激され幾度か真剣に、死後2日目に後を追ったモディリアーニの妻や、尊厳死について家庭で話す事があった。
「延命処置はやめて!」とか「病院で死にたくない!」とか。
しかしいつも妻の「あんた先に死んだら殺すわよ」の一言で、我が家は平常に戻ります。

石丸さち子(演出)

世の中には、決して答えの出ない問題がたくさんあります。問題を前に、様々な視点、利害、倫理観の違いが折り合うことなく存在して、「話し合う」という場や時間に、しばしば絶望させられます。
どうぞ、舞台上で8人が展開する議論に耳を傾けにきてください。そこに世界が映っています。
そして、自死を願うゲルトナーの弁護人という立場で、ビーグラーがいかに固定観念を覆していくか。若き医師ケラーが、渾身で訴えることは?
そこに起きる揺らぎを、希望としたいと願いつつ、初日を開けます。

撮影=引地信彦