シーズン佳境!各クラブの立ち位置と残りの試合について【北海道コンサドーレ札幌編】

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J1リーグも残すところ5試合となりました。

残留争い、優勝争い、そしてACL圏内争いと激化していくそれぞれの闘い。

今回は北海道コンサドーレ札幌の現状と立ち位置、そして残り5試合について考えみようと思います!

北海道コンサドーレ札幌

19位:7勝 8分 18敗(33試合)、勝点29

得点37、失点59、得失点差−22

<現在のベストスタメン>

夏の移籍期間の動きと補強について

【IN】

キングロード・サフォ(8/20)[SCプライエンセ (ポルトガル)/新加入]

アマドク・バカヨコ(7/28)[ダンディーFC(スコットランド)/新加入]

パク・ミンギュ(7/16)[水原FC(韓国)/新加入]

白井陽斗(7/16)[琉球/新加入]

ジョルディ・サンチェス(7/13)[ヴィジェフ・ウッチ(ポーランド)/新加入]

フランシス・カン(7/9)[CSマリティモ(ポルトガル)/新加入]

大粼玲央(6/21)[エミレーツ・クラブ(USA)/新加入]

【OUT】

大森真吾(8/12)[北九州/期限付き]

西野奨太(8/5)[讃岐/期限付き]

岡田大和(7/30)[熊本/期限付き]

中島大嘉(7/19)[水戸/期限付き]

金子拓郎(7/9)[KVコルトレイク(ベルギー)]

前半戦が嘘のように勝利を積み重ねている北海道コンサドーレ札幌。残留に向けて多くの選手を迎え入れたことに大きな意味をもたらしています。

その中でも救世主となっているのが大粼玲央です。大不振に陥っていた頃は攻守の分断が頻繁に起こっていたが、大粼がそれを解決してみせました。

中盤のリンクマンになりつつ、周囲を動かし続けるコーチング。それに加えてマンツーマンのタスクを捨ててでも危険な場所をカバーしに行ける決断力と危機察知能力を兼ね備えています。だからこそ攻守ともに安定し、その攻撃力を遺憾無く発揮することにも成功しています。

さらにパク・ミンギュの加入も大きな意味をなしており、攻撃参加のタイミングはもちろんのことながら、タスクの多いミシャ・サッカーのCBを見事にこなしていてバカヨコやサンチェスなど、困ったときの高さと強さを兼ね備える選手も加入。

また白井陽斗の加入も攻守においてパワーと機動力をもたらしています。33節のガンバ大阪戦で加入後初スタメン、初ゴールを記録し、試合を通してそのプレーっぷりは威風堂々としていました。

明確に違いを作れる選手たちの加入によって、コンサドーレは自分たちを取り戻し、戦力も大幅にアップしました。前半戦が嘘のように勝点を稼ぎに稼いで最下位を脱出。残留圏まで勝点7差となりました。奇跡の大逆転残留を成し遂げるべく、もう勝ちしか許されていません。

残りの対戦相手の予想

34節 名古屋グランパス戦 (A)

人を強く意識してハイプレスを仕掛ける名古屋グランパス。彼らの大きな武器として挙げられるのはやはりこのマンツーマンからのショートカウンターです。

CFに誰が入ったとしても、その個人能力とフィニッシュの質は高いレベルにあります。またローブロックも高さを強さを兼ね備えている守備陣が並んでいます。ハイプレスとローブロックを武器に、復調したのが名古屋グランパスです。

対するコンサドーレ。やはり考えたいのがマンツーマンハイプレスの基準や動きの遅れです。人を動かしながら可変をするコンサドーレと人を徹底して捕まえるグランパスのハイプレスは相性が良さそうです。

当然ですが、グランパスの守備強度や守備のスピードを上回る事やスペースをタイミング良く使う事が必須ですが、今のコンサドーレはそれができます。CHのCBやIHやCFのCH化など、選手同士の相互理解は高いレベルにあります。

だからこそ名古屋グランパスのCHを晒しながら、速攻を仕掛けることで勝利を掴めると予想します。押し込んだ場合は即興性の強いコンビネーションアタックでブロックを攻略していけると思います。

問題は守備の局面。シンプルに背後を使う長いパスを連発するグランパス。ひっくり返されたり、背走させられたりした時の危うさは拭いきれないのが現状です。

33節のガンバ戦のように引いて守ると、劇的な展開に持っていかれる可能性も大いにあります。今季のグランパスは、そのように多くの勝ち点を獲得しているチームでもあります。

「高過ぎる授業料」を払った33節のガンバ戦。この教訓を持って、グランパス戦にも臨みたいところです。

35節 セレッソ大阪戦 (H)

433から4231。そして343へ変遷したセレッソ大阪。32節のレイソル戦で343の可能性を、延期分の29節ガンバ戦で確かな手応えを、そして33節のレッズ戦で343をモノにしました。

343にしてからは523のようにプレスをかけ、迎撃とショートカウンターを中心に攻守を考えています。完全な保持の局面では、CHが縦関係になる3-1の土台と横並びになる3-2の土台を使い分けながら、サイドを攻略しながら攻撃を完結させています。

「移動コスト」の削減により、シーズン当初とは違った文脈で強さを取り戻したチームです。

対するコンサドーレ。かなり難しい一戦になるのは間違いありません。ポイントとなるのはWBでどのぐらいセレッソのWBを押し下げれるか否かだと思います。

523の1つの弱点としてCHの脇のスペースにあります。CHを左右に動かすことができれば、徐々に挟撃が間に合わなくなって、横断ができるようになります。そのCH脇のスペースを広げていくためにWBを押し下げる必要があります。

そこでコンサドーレはCHの列落ちによるCBのSB化とそれに付随するWBのWG化がどハマりしそうです。土台の4枚化はセレッソの1stプレスラインを広げるに至り、タイミング良く降りてくるIHは CHを止めたり、上下に動かすことができそうです。

セレッソの3CBを釣り出しながら、背後を使っていくと大きなチャンスは生まれてきそうです。

どこのタイミングで背後を使っていくのかは、この試合の分水嶺となるでしょう。存外に前方への対応が強いセレッソCB陣。ひっくり返すパスを最後方ではなく、「一つ前」から使う事ができると、ゴールに迫ることはできると予想します。

36節 湘南ベルマーレ戦 (A)

残留を争うチームの1つです。フルスロットルでハイプレスを仕掛け続け、ボールを奪えば縦のベクトルを大きくしていくチームから進化を遂げました。

しっかりと保持を作りながら、外側のCBの攻撃参加を促して、敵陣に相手を閉じ込める事ができるチームになりました。常にリンクと背後を作り続けるCFと外と内と背後を選択し続けるIHによって、スペースを生み出しながら前進と崩しに入っていけるチームです。

CBの攻撃参加により、ネガティブトランジションも敵陣で完結できるようになりました。だから攻撃を仕掛け続けられるようになっています。

そこでコンサドーレです。まず考えるべきはやはり3CBの攻撃参加をどのようにして抑えていくかです。一つはやはりマンツーマンで人を捕まえて移動の時間を作らせないことです。

コンサドーレはマンツーマンで守備を行うことを基本としていたのですが、ここ最近は442で守る事が多くなっています。この守備の仕方をどのように考えていくかは勝敗の分かれ目になりそうです。

そしてもう一つの勝機がベルマーレのネガティブトランジションを上回ることです。攻撃の厚みを加えるためにCBが攻撃参加をしてくるので、当然ですが最終ラインの人数は少なくなっています。

ベルマーレのトランジションの壁を越えてカウンターに出ていく事ができれば、自ずとチャンスは訪れると思います。

37節 サンフレッチェ広島戦 (A)

大逆転残留を成し遂げる上で最も障壁の高い相手だと思います。圧倒的な戦力とチームの完成度を誇るサンフレッチェ広島は今シーズンの主役と言っても過言ではありません。攻守において隙が無く、どこからでもゴールを奪ってくるチームです。

コンサドーレからすると、いかにしてサンフレッチェCHを中央から退かしていくか、そして3CBの外側で起点を作れるかが勝利を掴む大きなポイントになりそうです。

サンフレッチェはWBも高い位置を取りながら攻撃を行うので、サンフレッチェの素早いトランジションを上回れれば、カウンターを打ち込むことは可能になるでしょう。またサンフレッチェも人をかなり意識しながら守備を行うので、4-1の土台を作り出しながらWBを呼び込むことでサンフレッチェの3CBの脇を強襲しながら攻撃に移れるかもしれません。

とはいえ、彼らもマンツーマンとその受け渡しをしながら守備も行うことができます。優勝争いを繰り広げているチームなので、「いつも以上」が必須です。

38節 柏レイソル戦 (H)

彼らもまた、熾烈な残留争いを繰り広げるチームの1つです。マテウス・サヴィオが攻撃の多く、いや全てを担っていると表現してもいいかもしれません。

多くの攻撃は彼から始まり、チャンスを生み出していきます。ショートカウンター、ロングカウンターが大きな武器となっており、それを支えるのがハイプレスとミドルブロックとなっています。

対するコンサドーレ。レイソルは3バックのチームを苦手としており、3CBに対してどのようにプレスをかけていくかが曖昧になっている印象です。2トップで制限をかけるのか、SHをCBに覗かせるのか、コンサドーレはこの辺りをまずは突き付けていきたいところです。

よってCHが最終ラインに降りるパターンの可変はレイソルのハイプレスを助長することになりそうです。だからこそ3-2の土台を維持しながら、WBで配置的な優位性を作り出し、そしてチャンネルランを繰り返していきたいところです。

押し込むことができれば、SHもCHも下げてブロックを作り出すので、カウンターの威力を下げることができます。ハイプレスを回避しながら、押し込むことで勝利は自然と掴めると思います。

シーズン前半戦で多くの勝ち点を失ってしまったコンサドーレ。しかし夏の補強により、見事にV字回復を果たしました。33節のガンバ大阪戦は耐え切ることはできませんでしたが、より強く、より戦えるチームに戻っていることは間違いありません。

他力本願な部分も多く残されますが、まずは自分たちに出来ることを全うすることが奇跡の大逆転残留を成し遂げるポイントです。不可能を可能にするため、最後まで闘い抜くほかありません。

シーズン佳境!Jリーグ各クラブの立ち位置と残りの試合について考察【サガン鳥栖編】

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