ロンドン市場では、円売りが強まっている。この日、石破首相と植田日銀総裁が初の会談を実施、意見交換した。植田日銀総裁は、「政府と日銀は緊密に連携することで一致」「極めて緩和的な状況で経済支えてる状態にある」「経済物価見通しが日銀の見通し通りなら、見極める時間十分ある」と述べ、利上げ姿勢を封印していた。その前に報じられた加藤財務相からも「金利が上がること前提ではなく、適切な金融政策を期待」との発言があった。そして、石破首相が「現在、追加の利上げをするような環境にはない」と明言したことで、円売りが一段と勢い付いている。ドル円は143円台半ばから一時144.86近辺まで急伸。ユーロ円は160円台乗せ、ポンド円は192円台乗せへと上伸。先週の自民総裁選前の水準まで円安が進行しており、いわゆる石破ショック相場を解消する動きに。中東情勢が一段と緊迫化しているが、この時間帯はリスク回避の動きは収まっている。欧州株は高安まちまち。原油相場は引き続き上昇。米債利回りは上昇している。ユーロドルは1.10台後半、ポンドドルは1.32台後半から1.33台乗せまでの振幅が続いている。

 NY市場で、ドル円は146円台半ばまで一段と上昇。自民党総裁選前の直近高値に顔合わせし、リバウンド相場の流れに復帰している。2つの追い風がドル円を下支えしたようだ。1つは、総裁選前は日銀の利上げ姿勢を支持していたと考えられていた石破首相が「現在は追加利上げするような環境にない」と否定的な見解に変化したこと。そして2つ目は、パウエルFRB議長が週初の講演で緩やかな利下げペースを強調し、11月の大幅利下げ期待が後退していることだった。前日はイランがイスラエルにミサイル攻撃を行ったことで、中東情勢が緊迫化している。いまのところ中東情勢については市場も情勢を見守っている状況。ユーロドルは売りが優勢となり4日続落。一時1.1035付近まで下落。ドル買いのほか、市場がECBの10月利下げへの期待を強めていることがユーロを圧迫。短期金融市場では90%超の確率で織り込んでいる状況。ポンドドルも一時1.32台半ばまで下落。21日線が1.3235付近に来ており、その水準をブレイクするか注目される。

(3日)
 東京市場では、ドル円の上昇は一服。序盤には8月20日以来およそ1カ月半ぶりの高値となる147.24付近まで一段高となった。しかし、すぐに売りが出て147円台を割り込むと、午後には146円台半ばまで押し戻された。ポンドは急落。ベイリー英中銀総裁が利下げについてもう少し積極的になる可能性を示唆したとガーディアンが報じ、ポンドが売られている。ポンド円は前日終値から1円以上の円高水準となる193円ちょうど付近まで、ポンドドルは1.3169付近まで急落した。ユーロ円は、東京序盤に一時162.49付近まで上昇。しかし、午後に入りポンド円の急落から円買い傾向となり、午前の上げを帳消しにして、161.50台まで下落した。ユーロドルは軟調。午前に1.1030台までジリ安となったあと、午後にポンドドルの下げからドル買いが加速し、1.1025付近まで下値を広げた。

 ロンドン市場では、ポンド売りが強まった。ロンドン早朝に英ガーディアン紙がベイリー英中銀総裁が金利引き下げに「もう少し積極的になる」可能性を示唆と報じたことが材料視された。短期金融市場では次回11月会合での利下げを織り込み、12月の追加利下げ観測も高まっている。これまで英国は根強いサービスインフレを受けて利下げの動きが遅れるとの見方が優勢だったが、一気に市場センチメントが崩された格好。ポンドドルは1.32台半ばから1.31付近へ、ポンド円は195円付近を高値に192円台前半まで急落。ユーロポンドも2年来の大幅上昇となった。ポンド安が目立つ中で、円相場やユーロ相場は方向性がハッキリとしない。ドル円は147円台は定着せず、146円台前半から147円付近で売買が交錯。ユーロドルは1.10台前半で東京市場からは下に往って来いの値動き。ポンド円の急落を横目に、ユーロ円は162円を軸とした上下動にとどまっている。利下げ期待の英株以外は欧州株や米株先物は軟調。原油高など中東リスクの影響は残っている。また、明日の米雇用統計を控えて調整の動きも散見される。