(1日)
 東京市場では、円売りが優勢。ドル円は前日海外市場の流れが継続し堅調。朝方はイスラエル軍のレバノンへの地上侵攻などを警戒した円買いが入り143.37近辺まで下げる場面が見られた。その後は、株高とともに円売りに転じている。昼前にいったん調整が入るも、午後に入って株が一段高となったことなどを好感し144.41近辺まで高値を伸ばした。ユーロ円などクロス円も同様に円安が進み、ユーロ円は朝の159.75近辺から160.89近辺、ポンド円は191.86近辺から193.24近辺まで上昇。豪ドルは堅調。豪小売売上高が前月比+0.7%と市場予想の+0.4%を上回る伸びとなったことが背景。豪ドル円は100円台に一時乗せた。ユーロドルは1.11台前半で揉み合い。

 ロンドン市場では、ドル円、クロス円が軟調。また、ユーロドルやポンドドルなどドルストレートではドル買いが優勢。ただ、欧州株や米株先物・時間外取引などはやや上値が重いものの、リスク回避的な材料も見当たらない。背景にはECBの早期追加利下げ観測があるようだ。一連の欧州のインフレ鈍化傾向を受けて、昨日のラガルドECB総裁発言では10月理事会での追加利下げの可能性が指摘されていた。これを裏付けるようにきょうの9月ユーロ圏消費者物価速報でも前年比が+1.8%と前回の+2.2%から低下、インフレ目標2%を下回る結果となった。独債利回りが低下、それとともに英債や米債利回りも低下している。ドル円は売りが強まり143円台後半へと押し戻されている。ユーロ円は191円手前まで買われたあと159円台前半へ、ポンド円も193円台前半まで買われたあと下げに転じて191円台前半に安値を広げた。ドルストレートではドル買いの動き。ユーロドルは1.11台前半から1.10台後半へと下落、1週間ぶりの安値水準に。ポンドドルも1.34手前水準から1.33台割れ目前まで下落。

 NY市場では、ドル円に再び売りが強まり、一時142円台に下落した。自民党総裁選に伴う急変は一服していたものの、今度は中東情勢がドル円を押し下げた。イランがイスラエルに対して弾道ミサイルを発射。米政府はイランから200発のミサイルが発射されたと述べているが、イスラエル軍は、多くは迎撃したが一部は着弾したと発表。死者も何人か出ているようだが、米国はイランによるイスラエル攻撃は効果がないと分析している。ユーロドルは戻り売りが加速。一気に1.10台半ばまで一時下落し、本日1.11ちょうど付近に来ている21日線を下抜けた。アナリストからは「ユーロ圏のインフレ低下、中東情勢の緊迫化、フランスの政治的な不安定化を背景に、ユーロの見通しは明るくない」との見解が出ている。フランスについては、財政赤字の目標達成を2年先送りすると発表された。ポンドドルも戻り売りに押され、一時1.32台半ばに下落。
 
(2日)
 東京市場では、円相場が振幅。昼過ぎまでは円安が優勢。中国当局の景気支援への期待から中国買いの動きが本格化。中国市場自体は国慶節で休場となっているが、香港株が大きく上昇、オフショア人民元の上昇なども見られた。ドル円は144.19近辺まで買われた。クロス円も軒並みの円安。特に豪ドル円は朝の98.70付近から香港市場オープン後の急激な円安を受けて買いが強まり、99.60台まで上値を伸ばした。午後に入って流れが急変した。米メディアアクシオスが、イランによるイスラエルへの大規模ミサイル攻撃を受けて、イスラエルが数日以内に大規模報復攻撃を行う計画と報じ、中東情勢懸念が一気に広がった。ダウ平均先物時間外が100ドルを超える下げ、日経平均も下げ幅を広げている。ドル円は143.50台へ急落し、今日の上昇分を解消。豪ドル円は98.70台へと押し戻された。