写真は戦線地域の作業中に事故で運ばれる北朝鮮軍兵士の様子。※直接本文内容とは関係ありません。[写真 韓国国防部]

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最近、飢えに苦しめられた北朝鮮兵士による民家略奪が頻発し、住民たちが苦痛を訴える事例が増えたという報道があった。

27日、デイリーNKは両江道(ヤンガンド)の消息筋を引用して「最近恵山市(ヘサンシ)で住民世帯を対象にした兵士たちの泥棒行為が横行し、ただでさえ大変な住民の生活が兵士泥棒が入るためにさらに厳しくなっている」と伝えた。

最近北朝鮮兵士は各家を回って米ひと粒も残さずに食糧や生活用品を盗み出している。彼らは軍服を着て凶器まで持っていて、住民たちはより一層恐怖に震えている。

実際、20日恵山市の川沿いのある地域では一夜のうちに民家10軒が泥棒によって被害を受けた。泥棒は飯釜から靴、服などはもちろん、翌日の食事のために準備しておいた米まで持って行ったという。

消息筋は「今は朝に目を開けるのが嫌なほど生活にとても疲れているが、泥棒まで横行していて住民たちの苦痛は到底語り尽くせない」とし「泥棒を見つけても凶器を持っていて脅かすので一言も言い返せず、その場を目撃しているのに被害に遭う場合もある」と話した。

さらに恵山市郊外周辺地域ではブタやイヌ・ニワトリなど家畜を育てる世代が多いが、この地域では最近家畜盗難届けが相次いでいる。

消息筋は「軍人が家畜を盗むこともしばしば発生する」とし「家畜で生計を立てている住民たちは一瞬で生計手段を失うことになる」と説明した。

北朝鮮では過去に「苦難の行軍」と呼ばれる1990年代から2000年代初期の大飢饉時期にも兵士が住民世帯に侵入して食糧を盗むことが頻発していた。しばらく少なくなっていたかのようだった兵士の窃盗行為が最近になって急増し、住民たちの間に不安が広がっている。

◇「一体どれくらいお腹が空いているのか…」 かわいそうに思う住民も

だが「一体どれくらいお腹が空いていたら盗みまでするのだろう」とし「10代で入隊してあらゆる苦労を体験し尽くしながらも飢える兵士たちがかわいそうだ」と話す住民たちも一部いる。

北朝鮮の軍服務期間は平均10年未満で、韓国の18カ月の義務服務期間に比べて6倍以上長い。また、韓国の軍人は月給を受け取るが、北朝鮮兵士は軍生活をしながらむしろ上官にわいろを渡さなければならないことが一度や二度ではない。

これに加えて食糧不足でお腹が空くのが日常になり、空腹に耐えられなくなった兵士が脱営をしたり盗みをしたりするという。

消息筋は「軍服務をする間、彼らが空腹を感じないように食事くらいちゃんと提供すれば兵士も盗みをする理由はないはずなのに、これさえも国がしてやれずにいる」と指摘した。