火事で母親を亡くした「希和」は、以前、母親が使用人として働いていた屋敷に「手伝いとして住み込みで働かせてほしい」と出向く。その理由は、屋敷と希和が赤い糸で繋がっている写真を持っていたから――。「赤い糸」の謎が解けると「衝撃のラスト」「知らない方が幸せだった」などの感想が届く、ようら(@nw5dB8UL5z61936)さんの創作漫画「赤い糸」を紹介するとともに、制作の経緯を聞く。

【漫画】本編を読む

■希和の母は亡くなった実子を「弔ってほしい」と、屋敷の赤子と取り換えていた!?

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火事で母親を亡くした「希和」。彼女は、昔母親が使用人として働いていた屋敷に「手伝いとして住み込みで働かせてほしい」とお願いに行った。その屋敷は、旦那様と息子の理親(りちか)の二人暮らしで、母親は車の事故で亡くなっていた。不器用ながらも使用人として一生懸命に働く希和に、旦那様はとても優しかった。

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ある日の祭りで旦那様と希和は、二人で写真を撮ることになった。それは旅人・うないが持つ「真実を写すカメラ(箱)」。写ったものは、二人の手に巻きついた「赤い糸」だった。希和は焼けた家の残骸から、似たような写真を見つけていた。それは、希和と屋敷が絡みつく赤い糸で――。

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“もしかして、この屋敷と何か関わり合いがあるのかもしれない”と思っていた、希和。写真の意味を知りたくて旦那様に話を聞くと、“理親には姉がいた。生まれて間もなく死んでしまったが”と言う。希和の母親が隠した真実、赤い糸の本当の意味がわかるとゾゾゾと鳥肌が立つ。

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本作のテーマについて話を聞くと、「『運命の人とは赤い糸で結ばれている』という言葉がありますが、赤い糸が揺蕩(たゆた)っている様を思い浮かべたら『血の繋がり』を連想しました。恋人を繋ぐものが親や兄弟を繋ぐものと似てることに、おもしろいなぁと思い話にしました」と、ようらさん。実はこの話、希和の母親がお屋敷に生まれた赤子と実子を取りかえるという過去から始まる。しかし、「赤い糸」が示す意味はそれだけではなかった。

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「は?」で終わるラストに「どういうこと!?誰か教えて」というコメントも散見。「急展開のまま唐突に終わっているので、読まれた方がどういう解釈をされるか不安だったのですが、察してくださった方が多かったので、とくに解説は不要かもしれません。彼女たちに何があったのか、これからどうなるのか少しずつ描いていきますので、読んで答え合わせしてもらえるとうれしいです」

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ようらさんが描く「暗匣(あんばこ)」は、一話完結だがシリーズもの。主人公のうないがさまざまな人の錯綜する心を淡々と写し出す、箱と主人公の流浪の物語だ。「暗匣にはもう一つ別の主軸となるストーリーがありまして、『赤い糸』はその第一話、です。主人公・うないの旅は一話完結ですが、『赤い糸』の話は続きものです。なので、先が気になるような描き方を心掛けています」。一見驚きのラストだが、続編で物語が交差していく予定だ。

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「謎めいたものが大好き」というようらさんは、「まずは自分が知りたい、解き明かしたいと思うようなものを話に組み込んでいます」と話すように、誰もが“希和と理親はもしかしたら本当の姉弟かもしれない”と思わせる決定打を裏切る展開が見事。うないのカメラ(箱)が映し出した2枚目の二人の描写や希和と旦那様のセリフ、表情を読み直すと「赤い糸」の真実が見えてくる。

取材協力:ようら(@nw5dB8UL5z61936)