レーンを背に追い切ったサトノレーヴ(右)=撮影・園田高夫

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 「スプリンターズS・G1」(29日、中山)

 秋のG1シリーズが中山の電撃戦で開幕する。サマースプリント王者のサトノレーヴは25日、短期免許を取得予定のレーンを背に美浦坂路で3頭併せ。G1初挑戦での戴冠に向けて順調な仕上がりをアピールした。今年の高松宮記念で3着と実力を示した香港馬ビクターザウィナーは中山芝、G18度目の挑戦での初制覇を狙うナムラクレアは栗東坂路で態勢を整えた。

 秋も主役は譲らない。今夏のスプリント王に輝いたサトノレーヴが美浦坂路で力強く躍動し、急坂を駆け上がった。

 美浦Wで5F63秒3の自己ベストを出した19日の1週前を受けて「先週までにしっかり仕上がっている。やり過ぎたくない」との堀師の判断で直前は坂路を選択。僚馬2頭を目標に5馬身ほど追走し、ラストは2頭の内に併せて4F54秒6−39秒5−11秒9で併入した。

 この動きに堀師は「時計的な強度もちょうど良い」と納得。前走以来の騎乗となったレーンは「スムーズな走りでした。馬が前向きに自分から走ってくれて動きも状態も良いと感じた。G1でも十分チャンスがあると信じている。楽しみです」と力を込めた。

 成長が遅めだったことからデビューは3歳4月。4歳時には調教中に後肢の関節を痛めるアクシデントもあり、5歳にしてキャリアは9戦。成績は7勝、2着1回で連対を外したのは阪急杯4着だけとほぼ完璧だ。早い時期から示していたスプリント適性を大切に育み、5歳夏のG3を連勝して大舞台にたどり着いた。堀師は「使うごとにスプリント戦にマッチしてきて能力が出せるようになっている」と成長に手応え。相手は強くなるが「G1実績のある馬たちに敬意を持って挑戦させてもらいたい」と意気込んだ。

 サマースプリント王者が、同年のスプリンターズSを勝てば19年のタワーオブロンドン以来2頭目。夏の勢いそのまま、一気に短距離界の頂点を目指す。