楽しみ方は無限大!『紙博 in 東京 vol.9』レポート すっかり紙博ファンになりました
2024年9月6日(金)・7日(土)・8日(日)の3日間にわたり、東京・都立産業貿易センター台東館4・5・6階展示室にて『紙博 in 東京 vol.9』が開催されました。文具メーカー、印刷会社、イラストレーターなど、多種多様なジャンルのつくり手が自らの作品とともに集う展示販売イベント『紙博』。第9回目の今回は、東京では過去最多数となる125組が一堂に会し、さまざまな企画が行われました。以下、当日の様子をレポートします。
紙や画材の魅力があふれる品々
最初に会場で目に入ったのは、淡い色調で描かれた、「いとうひでみ」さんのイラスト。「孤独が好きな人の方が、宇宙人と交信できそうだから」と語るいとうさんの手による少女たちは、寂しそうですがエキセントリックで、凛とした眼差しと目が合うとドキッとします。絵はアクリル絵具で描いているそうで、儚いキャラクターや宇宙船、風景などは、色の質感やグラデーションが美しく、紙の余白は心の隙間や現実との距離感を示しているようでした。
「いとうひでみ」さんの描く少女たちはどことなく寂しそうで、心揺さぶられます。
充実のグッズに、漫画など……。出展者の多彩な活躍を見られるのも、紙博の魅力。
出展者の個性とセンスが伝わる空間
各ブースのディスプレイは、個性とセンスが活きています。「oudmijin(オールド・ミジン)」さんのブースはおしゃれで幻想的でありつつ、ノスタルジックな雰囲気。絵本作家やイラストレーター、アートディレクターなどとして広く活躍しているoudmijinさんは、技術を見たり知ったりするのが好きで、素材を想像した通りの形にしたいという思いから制作しているとのことです。ワックスペーパーの作品やアクセサリーなどからは、唯一無二の世界観が漂います。
「oudmijin(オールド・ミジン)」さんのブースは、おしゃれで幻想的で、目を惹きます。
素材の質感を活かしたグッズ。絵の魅力が200%発揮されていました。
おやつ探しも楽しい紙博。「穀粒菓子店 雪ワタリテ麦イズル」さんは、明るく気さくな店員さんと、アンティークショップのような雰囲気が魅力です。こちらのお菓子は季節のものを使っており、体に優しいことが特徴で、お菓子を選ぶと好きな箱に入れてもらえます。美しい箱は春夏秋冬でデザインが変わるそうですので、贈り物にもぴったりですね。
お店の方から元気をもらえる「穀粒菓子店 雪ワタリテ麦イズル」さん。
お菓子を入れる箱はどれも美しく、じっくり迷いました。
アイディアとセンスが光る文房具も充実
紙ものや文房具は、ついつい散らかしてしまいがち。そんな時は、「HI MOJIMOJI(ハイモジモジ)」さんの「WORKERS'BOX」が便利です。案件ごとに関連資料を入れれば机の上が整理できますし、大切な資料がどこかに消えてしまうこともなくなるでしょう。ワイドサイズもあるので、行事や旅行などで使い分けることもできます。HI MOJIMOJIさんはデザイナーとライター兼経営者のご夫婦で、共同空間が散らかって喧嘩になったことが製品化のきっかけとのこと。箱を収納するためのシェルフも開発中らしく、そちらも発表が楽しみです。
見た目もお洒落で、機能性にも優れた、「HI MOJIMOJI(ハイモジモジ)」さんの「WORKERS'BOX」。
「WORKERS'BOX」を納める棚も開発中とのこと。全部揃えたくなります。
製本業界独自のラッキーチャームを活かした「招福万来ノート」に「飾れる古書風3年ダイアリー」、「お手紙メモ帳」に「しろくまノート」など……。「booco(ボッコ)」さんの個性あふれる文房具の中には、普段デザインには関わらない部署の職人や社員のアイディアが盛り込まれたものが多数あるそうです。開発の経緯を知ると、製品がいっそう愛おしく思えました。
アイディアとデザインが光る、「booco(ボッコ)」さんのオリジナルステーショナリー。
販売されている製品には、お二人のアイディアが形になったものも。
企画やワークショップに参加して、思い出を持ち帰る
紙博は参加型の企画やワークショップも充実しています。筆者は「田村美紀」さんのワークショップ「クリームソーダを作ろう!」に参加してみました。こちらは下絵にマスキングテープを貼ってクリームソーダをつくるというもので、お手本もあるので気軽に行えます。マステを選べばクリームソーダではなくコーラフロートをつくることもできますし、この世にない夢の飲み物をつくることも可能。親子で参加して、お子さんと一緒につくっているうちにお母さんやお父さんも夢中になるなど、盛り上がっていました。
「田村美紀」さんのワークショップに参加。かわいいマステから、オリジナルのクリームソーダをつくります。
楽しく迷いながら、青系のソーダをつくりました。
「株式会社 野ばら社」さんの「真映社コラボ企画『昭和レトロな手描きスタンプを作ろう!』」は、紙に描いたイラストを3cm×3cmまたは5cm×5cmの樹脂版スタンプにするもの。自分で絵を描く方はもちろん、絵に自信がない方でも、野ばら社さんのレトロでかわいいイラストがついているので、そちらをお手本にすることもできます。描いたイラストは、後日スタンプになって自宅に配送されるとのこと。手元に届くのが楽しみです。
「株式会社 野ばら社」さんの「真映社コラボ企画」、手描きスタンプのワークショップ。どんな絵にしようか……
野ばら社さんのイラストを参考にして描きました。
『紙博』主催の手紙社さんによるオフィシャルグッズもおしゃれ。マスキングテープやふせん、トートバッグやクリアファイルなど、素敵なものばかりです。また「紙博ラッキーくじ」(200円)や「缶バッジ」(300円)は、来場者も参加して楽しみながら、思い出を持ち帰ることができる嬉しいグッズ。缶バッジは10種類の柄から好きなものを選び、説明に従って機械を動かすとできあがり。とても人気のあるコーナーで、売り切れになっている柄もありました。
手紙社オリジナル缶バッジ。柄はどれもお洒落で素敵。
今回の記念に、紙博のキービジュアルのイラストを選びました。
ポストさんや投票、ラブレター企画など……楽しみ方は無限大
紙博では、“紙”をテーマにしたコンテスト、「紙もの大賞」が開催されており、「キラキラ部門」「クスクス部門」「スケスケ部門」という3部門が設けられ、出展者が自信作をエントリーしています。お客さんがInstagramの紙博公式アカウントにて投票することで受賞が決定するので、推しの作品が受賞するかも!? 出展作はいずれも個性豊かで、見ているだけでわくわくする品ばかりです。
「紙もの大賞」「キラキラ部門」のエントリー作品。キラキラがあふれています。
会場を歩いていると、カラフルなポストを被った“ポストさん”が目に入ります。“ポストさん”たちは、入場時に配られる会場マップにスタンプを押してくれるのです。3人分集めたお客さんには、インフォメーションでのコンプリートスタンプと、各日先着1,800名限定で紙博限定のA5ノートを進呈いただけるとのこと。スタンプはクラシカルでおしゃれで、思わず集めたくなる素敵な絵柄ばかりです。“ポストさん”の周りには常に人が集まり、とても忙しそうでした。
取材班もスタンプを押してもらいました。カラフルな“ポストさん”は行列ができるほどの大人気!
全部集めたくなるスタンプ
紙ものや文房具を愛で、ワークショップに参加し、各種のイベントがあって、楽しみ方が盛りだくさんの『紙博 in 東京 vol.9』。可愛らしいものやおしゃれなもの、くすっと笑えるユーモアがあるものなど、個性豊かで素敵な品ばかりが並び、お客さんもたっぷり楽しんでいることが伝わってくる夢のイベントでした。今回が初めての入場でしたが、すっかりファンに。次回の『紙博』も待ち遠しいです。
文・写真=中野 昭子