グランドフィナーレ(長濱ねる・原田アナ・日向坂46 三期生・乃木坂46 4期生)

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『TOKYO IDOL FESTIVAL 2024』2024.08.02(fri)~08.04(sun) お台場・青海周辺エリア

8月2、3、4日、今年も「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024 supported by にしたんクリニック」(TIF)が東京のお台場・青海周辺エリアにて開催された。2010年から続く世界最大のアイドルフェスティバルは、3日間でのべ80,604人が来場し、今年初めて3日目のチケットが完売した。2010年頃はまだ一過性のブームかと感じる部分もあったのだが、今やアイドルは日本の音楽シーンの中核を担う存在で、他ジャンルのファンやアーティストも決して無視できない存在になっている。そんなアイドルシーンを長年にわたってTIFが支え続けていることは非常に重要だ。

筆者がTIFに参加したことがあるのは2013年と2023年のみで、この巨大アイドルフェスを知り尽くしていると言うにはほど遠いが、大盛況だった3日目に参加して感じたことなどを中心に綴っていきたい。

8月4日、まず足を運んだのはメインステージHOT STAGEで11:50からスタートしたAKB48だ。「恋 詰んじゃった」や「カラコンウインク」といった最新曲だけでなく、「恋するフォーチュンクッキー」「言い訳Maybe」のような大ヒット曲でがっつり盛り上げられるのは強い。タイトルコールだけで大歓声が上がるのは、ここまでAKBの歴史を地道に紡いできたからこそ。客席エリアは大勢の観客でびっしり。TIFではなく、『お台場冒険王2024~人気者にアイ♡LAND~』を訪れたたくさんの人々もステージに釘付けになっていた。しかも、「恋するフォーチュンクッキー」では永遠の人気者、ガチャピン・ムックが登場し、炎天下の中1曲丸々メンバーとともにパフォーマンス。これも、すごかった。

浮島ステージ

今年新設されたのはGREETING AREA内に現れた浮島STAGE。このステージの特徴は、八角形のステージの周りすべてが客席に囲まれていること。まさに浮島。ステージには屋根もなく、青空のもとで繰り広げられるパフォーマンスには他のステージでは味わえない爽快感がある。自分が足を運んだときには大阪を拠点に活動する4人組Kolokolが、このステージの特徴を掴んだ選曲と抜群のパフォーマンスという短い時間ながらも大きなインパクトを残した。これはTIFの新たな名所の誕生だ。アイドルフェスとしては他の追随を許さない存在になりながらも、よりより場所を提供しようとする主催者の姿勢に頭が下がる。

あと、都市型フェスということで甘く見られがちだが、ステージ間の移動時間が意外と長い。最北にあるフジテレビ本社屋横のDREAM STAGEから最南のSMILE GARDENまで徒歩で15分はかかる。一度往復するだけで30分だ。筆者はこの日、2万2千歩以上歩いていた。この移動時間も十分に考慮した上で1日のスケジュールを組む必要がある。今年のTIFは3日間で195組のアイドルが出演した。よって、個人的なタイムテーブルの組み方は無限。それがTIFの面白いところのひとつだ。

さらに、TIFには全部で8つのステージが存在するのだが、すべてのステージがライブメインなわけではない。たとえば、湾岸スタジオ内にあるINFO CENTREでは様々な企画イベントが行われている。自分が訪れたときは「ぐんまちゃんアイドルフェスティバル 特別企画」が開催されていた。内容は、今年10月6日に群馬県庁にて開催されるアイドルフェスにちなんで、ゆるキャラのぐんまちゃんが出題する群馬県クイズを通じて群馬県について知ってもらう、というもの。回答者は同フェスに出演予定のグループから代表者3人。解説者として群馬出身のアイドルも登壇した。優勝者は、終始勘が冴えていたINUWASIはのんまゆ。場内は冷房がよく効いていて、緩い企画内容とあわせて癒やしの空間になっていた。

SMILE GARDEN

INFO CENTREを出てすぐの草原にあるSMILE GARDENは、メインステージではないもののTIFを最も象徴するステージと言える。ここで繰り広げられた「IDOL SUMMER JAMBOREE」は、複数のグループがメンバーをシャッフルして楽曲コラボをするというTIF恒例の企画だ。3日目となるこの日は、衛星とカラテア、透色ドロップ、ドラマチックレコード、Ringwanderungが登場。ここでしか見られないコラボにファンは大いに湧いた。ステージ終了後、「リンワンで気になる子がいた」「こうやって連鎖していくんだよなあ」と感想戦を行っているファン同士の会話が耳に入ってきた。この企画の狙い通りではないか。

INFO CENTREと同じく湾岸スタジオ1階にあるのがDOLL FACTORY。現在の開催地に移った2011年から存在するステージだ。15:35からスタートしたINUWASIのライブは大盛況で、広い会場にもかかわらず入場規制がかかるほど。グループの勢いを感じさせるパフォーマンスでフロア全体を巻き込んでいた。

湾岸スタジオの屋上に位置するのは、SMILE GARDEN同様、TIFを象徴するSKY STAGE。エレベーターで屋上階まで上がり、そこからさらに階段を登っていくため、ステージにたどり着くまでわりと大変ではあるが、苦労して来た甲斐があったと思えるぐらい素晴らしい景色がそこには広がっている。特に夕暮れ時から夜にかけての時間帯が美しく、グラデーションのように色彩が変化していく空を背景に、いつも以上にドラマチックなアイドルのパフォーマンスが堪能できる。TIFに来たなら一度は味わうべきエリアだ。自分が訪れたときにステージに立っていたのは真っ白なキャンバス。今年11月に解散することが発表されている彼女たちにとってはこれがTIF最後のステージだったこともあり、より胸に迫る時間となった。

SKY STAGE

その直前に観ていたのは、HOT STAGEの=LOVE。驚いたのは、彼女たちとそれ以降の出演グループを観るために並んでいたファンの数だ。おそらく、待機列の長さは数百メートルに及んでいたと思う。彼女たちはアップテンポなスカ調のポップチューン「「ドライブデート 都内」」のパフォーマンス中だった。この日、=LOVE、≠ME、≒JOYの出番前、3組のロゴ入りタオルが限定で無料配布されていたのだが、「Oh!Darling」ではそれがぶるんぶるんに振り回され、圧巻の光景を生み出していた。

たぶん、この日TIFで最も人口密度が高かったのはHOT STAGEのこの時間帯だったと思うのだが、出来る限り混乱を生まないように動いていたスタッフの連携が見事で、特に車椅子の観客に対して複数のスタッフで丁寧に対応している姿に感銘を受けた。振り返ってみると、この日はTIF全体が穏やかに進行しているように感じた。周囲に迷惑をかけるような観客の姿は見当たらず、すべての熱量はライブに注がれていた。そういった意味で、非常に健全だったのではないだろうか。暑さにはただただまいったが、それ以外で不快になる瞬間は一度もなかった。これは主催者側の長年にわたる経験と、観客との信頼関係によるものなんだろう。

ラストの「グランドフィナーレ」には、総勢100人以上のアイドルがHOT STAGEに集結し、観客との別れを惜しんだ。最後はステージと客席がひとつとなって「TOKYO IDOL FESTIVAL!」と声を上げ、大団円を迎えた。来年、TIFは15周年を迎えるにあたって、様々な企画の準備をしているという。きっと例年以上の盛り上がりになるはずだ。もっと体力をつけて、フル参加できるように備えたい。楽しかった!


取材・文=阿刀"DA"大志

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