お茶は「低温」だと甘みが増すが「高温」では?玉露・煎茶・番茶・ほうじ茶の基本を学ぶ 「冷たいお茶」の最高の淹れ方(2)
丁寧に淹れたひんやり冷たいお茶は夏の疲れた体を癒してくれる、最高の涼味。そのひと滴に驚くほどの旨みが凝縮していてエネルギーチャージにすら感じるほど。前回は茶葉の選び方について教えてもらいましたが、今回は基本の淹れ方編。玉露・煎茶・番茶・ほうじ茶の水出し、やかん(熱湯)、急冷の基本の淹れ方をご紹介します。
教えてくれる人『ひやかし IPPODO TEA』店長 森下航汰さん
2024年4月に東京・表参道に出現した、お茶の老舗『一保堂茶舗』が手がける期間限定カフェの店長。
一保堂茶舗:https://www.ippodo-tea.co.jp/
基本の淹れ方−玉露・煎茶・番茶・ほうじ茶−
【水だし〜玉露・煎茶・番茶〜】渋みは抑え 茶葉の甘みをゆっくり抽出
1.水1Lに茶葉20g(大さじ4杯)を入れる。
2.冷蔵庫で4〜8時間冷やす。
3.茶漉しで漉して別の容器に移し替える。
【水出し〜玉露〜】玉露特有のふくよかな旨みに唸る
1.急須に茶葉10g(大さじ2杯)を入れる。
2.茶葉の上に氷をのせ、水120mlを注ぐ。※茶葉に冷水を注ぐだけでもOK
3.15分待つ。
4.器に注ぎきる。
【やかん〜ほうじ茶〜】香ばしい風味が生きた穏やかな余韻
1.やかんに1Lの湯を沸かし、ほうじ茶20g(大さじ8杯)を入れる。
2.すぐに火を止め、20分おく。
3.粗熱がとれたら別の容器に移し替えて冷蔵庫で冷やす。
【急冷〜玉露・煎茶・番茶〜】すっきり心地よい渋み 爽快な一杯!
1.急須に茶葉10g(大さじ2杯)を入れる。写真は煎茶。
2.熱湯150mlを注ぐ。
3.40秒待つ。
4.氷をたっぷり入れたグラスに注ぐ。
茶葉の“らしさ”とシーンに合わせた淹れ方で、味わい∞
森:家でおいしいお茶を淹れるのは実はとても簡単なんです。気を付けるのは茶葉と水の量くらい。とにかく冷茶は、“置いておく”というのがポイント。
飯:それならアバウト人間の私でもイケそう。でも本当に!?
森:たっぷり作りたいときの基本の水出しは、水に茶葉を入れて待つだけ。夏なら冷蔵庫でひと晩置けば出来あがりです。水出しだと、カフェインが出にくく、苦みや渋みが抑えられますから、お湯で淹れるよりも旨みを感じながら、さっぱりと喉を潤せますよ。
飯:へえー。同じ水出しでも、玉露は淹れ方が違うんですか?
森:濃厚な口当たりの玉露は、少量を堪能するタイプなので、急須が便利です。冷水で仕込むと凝縮された旨みがぐっとまろやかに。氷水でゆっくり抽出しましょう。
飯:旨みが溶け出すのを待つんですね。茶葉の緑に氷がのった姿は、それだけで涼しげ〜。
森:この状態で15分待ちます。
飯:えっと、茶葉をかき混ぜたり、急須をゆすったりすればもっと早く飲めたりとか……?
森:そこは我慢です(笑)。クリアな味を楽しむために。
飯:(15分後)口に含むと、ふくよかな旨みを感じます!これが、玉露の“甘旨み”ってやつだ。
森:はい。あと、ほうじ茶は、やかんで沸騰させたお湯で淹れるのも昔からの定番です。
飯:水出しに比べ、味わいはどこか穏やかな印象ですね。
森:コツは茶葉を入れたらすぐに火を止めること。ぐらぐら煮るとえぐみが出ますから。麦茶も同様に淹れるとおいしいですよ。
飯:ちなみに、急冷では熱湯でお茶を淹れていましたが。これはアリなの!?えぐみ出ちゃうよ?と、ドギマギしました。
森:低温で淹れると甘みが、高温で淹れたお茶は苦みや渋みがより出ます。急冷は、あえて熱湯で心地よい渋みを出しているんです。濃く渋いお茶を作り、氷でキュッと味を締めるイメージ。
飯:確かに、渋みが抽出されているせいか、スッキリとした清涼感がいい!お酒で例えるなら、水出しが日本酒感覚、急冷はビール的な立ち位置ってとこですね。
森:なので、まったりゆっくり飲みたいときには水出し、リフレッシュしたいなら急冷、という感じで。気分に合わせて淹れ方を使い分けるのもオススメです。
(抹茶の逸品・アレンジ編に続く)
『ひやかし IPPODO TEA』 @表参道
老舗が繰り出すひと夏の遊びゴコロ
日本の夏を涼やかに。そんな想いで期間限定オープンした、『一保堂茶舗』のポップアップカフェ(2024年9月23日まで営業)。老舗が誇る上質な冷茶をはじめ、パティシエ・鶴見昴さん監修のメニューが気軽に楽しめる。
アイスチャイ(冷や菓子付) 1430円
いり番茶のスモーキーさに驚く自家製チャイ、日本茶をソースに使う氷やアイスなど、老舗の新提案にシビれっぱなし。お茶に付く、ハッカ味の琥珀寒“冷や菓子”もオツだ。
[住所]東京都港区北青山3-6-26 1階
[電話]080-7583-1096
[営業時間]11時〜18時
[休日]水
[交通]地下鉄銀座線ほか表参道駅B2出口から徒歩1分
撮影/貝塚隆、取材/飯田かおる
※2024年8月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。