「夜寝る前に反省する」のはなぜダメなのか? 「真面目すぎる人」がハマる「危険な落とし穴」

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真面目な人ほど、夜寝る前にその日のできごとを振り返って「ああすればよかった」と思い悩みがちだ。しかしそれは、メンタルだけでなく身体にも悪影響を与えるという。

慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いたメンタルコーチで、著書に『強いチームはなぜ「明るい」のか』がある吉岡眞司氏が、夜寝る前に反省してはいけない科学的理由を、「真面目すぎる」中間管理職・Kさんの事例を通じて解説する。

朝起きたときに疲れが抜けていない……

「自分はチームを良い方向に導けていないのではないか……」

「業績が伸びないのは、リーダーである自分のせいではないか……」

チームを率いるリーダーの中には、真面目すぎるがゆえに、このように自分を追い込んでしまう方もいます。

スポーツでも仕事でも、さまざまな考えや価値観を持ったメンバーを一つの方向に向け、マネジメントしていくのは大変な労力のかかることです。

できなかったこと、うまくいかなかったことの原因を検証・分析することはもちろん大事ですが、悲観的なモードを引きずっていては、「明るいチーム」をつくることはできません。

中間管理職として働くKさん。几帳面で真面目な性格で、夜、寝る前に必ずその日の反省を行うことを日課としていました。

「今日はこれができなかった。それはこういうことが原因で……」

完璧主義と言えるほど些細なことまで「あれができていなかった」「これもできていなかった」とリストアップし、反省を繰り返していました。そのせいか、初めて会ったときのKさんはうかない表情を浮かべ、疲れている様子でした。

「最近、なかなかぐっすり眠れなくて。寝ている間に目が覚めてしまい、朝起きたときに疲れが抜けていないんです……」

「脳のゴールデンタイム」はポジティブに

人は、「できたこと」「よかったこと」より「できなかったこと」「よくなかったこと」にどうしても目を向けがちです。

私たちの脳は「プラスよりマイナスのことを優先的に記憶する」特徴があります。なので、どのような人も、実はマイナス思考型の人間なのです。

とはいえ、できなかったことばかり思い起こすと、「悔しかった」「つらかった」「迷惑をかけて申し訳なかった」などのネガティブな感情が高まり、気持ちがどんどん下がってしまいます。そうなると、改善策を考えるうえで必要な前向きなアイデアが浮かびにくくなってしまいます。

また、私たちの脳には「事の最後を重要視し記憶する」という特徴があります。

特に、就寝前の10分間は「脳のゴールデンタイム」と言われ、その間に脳にインプットしたこと、イメージしたことは強烈に記憶されてしまいます。よって、寝る直前の「ダメ出し反省会」は避けた方がよいのです。

では、どうしたらよいのでしょうか?

誤解を恐れずに言うと「寝る前に反省はしない」ことです。

反省はしない、といっても、その日の振り返りを一切するな、ということではありません。

「よかった点」も含め、その日一日をしっかりと分析し、明日に向けた成長の糧を具体化し、翌日に繋げられるようにすることが重要なのです。

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つづく記事〈今日が「最悪な一日」だったとしても大丈夫…「真面目すぎる人」がマイナス思考から抜け出す「ちょっとしたコツ」〉では、Kさんのように真面目すぎる人がマイナス思考から抜け出すためのコツをご紹介します。

今日が「最悪な一日」だったとしても大丈夫…「真面目すぎる人」がマイナス思考から抜け出す「ちょっとしたコツ」