まさかの自動車メーカーが倒産!? 「買った人はどうすれば…」 奇抜デザインで注目も…工場停止からの破産へ  「HiPhi」に対するユーザーの反応は

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まさかの「HiPhi」倒産で…どうなる?

 近未来的なデザインを特徴とする中国のモビリティ系ベンチャー「ヒューマン・ホライズンズ」が展開するHiPhi(以下ハイファイ)が倒産しました。
 
 個性的なコンセプトで注目されていたハイファイですが、中国現地のユーザーからはどのような反応があるのでしょうか。

中国BEVブランド「HiPhi」、ついに倒産! どうなる?

 ハイファイは2019年に「X」という未来感のあるモデルを発表。その後、2022年に「Z」を披露しました。

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 この2モデルはドイツやノルウェーに投入され、ドイツでは中国よりも約600万円ほど高い10万9000ユーロ(約1753万円)と10万5000ユーロ(約1689万円)で予約を開始。

 ただ、事業計画は思うように進まず、2023年第3四半期の欧州デリバリーは大幅な予定変更を強いられました。

 また中国国内での販売も振るわず、月間販売台数800台以下の月が連続、2023年の累計販売台数はたったの4829台。

 そこで巻き返しを図るべく2023年に廉価モデル「Y」を投入し、一時は持ち直したかのようにも見えましたが、結局は以前の不調状態に逆戻りしてしまいました。

 さらにはドイツのスーパーカー「アポロ・アウトモビル」とのコラボレーションした「A」も発表するなどの動きを見せていました。

 しかし、2023年末にはボーナス支給中止、そして役員報酬の削減という話が話題に。

 そして2024年2月19日に工場の操業を6か月間停止、加えて従業員の給与支払いも延期しました。

 この工場を停止させている間にハイファイトップのDing Lei氏は国営自動車メーカー「長安汽車」の本社を訪問し、ハイファイ存続のための買収を持ちかけたと言われています。

 しかし、長安汽車以外の企業による買収話もたびたび噂になりましたが、結局2024年8月8日にはハイファイの親会社「ヒューマン・ホライズンズ」が現地の裁判所「塩城経済技術開発区人民法院」へ破産を申請、ついに万策が尽きてしまいました。

 今後、同社は6か月の間に新たな出資者の募集を含む、さまざまな会社再生手続きをおこなうこととなっています。

現地中国ではどんな反応が? 惜しむ声も…

 ハイファイがまだ健在だった頃、同社の送り出すモデルは「新しいモノ」好きの中国人から大きな注目を浴びました。

 そのどれもが今までのメーカーでは見ないようなデザインを持っていて、なおかつBEV特有の瞬発的な加速力も合わせた唯一無二の存在として海外でもセンセーショナルに取り上げられていたのです。

 ですが、多くの新興ブランドが立ち上がっては淘汰されてきた中国市場でハイファイの経営が堅実かを疑問視する声は少なくなく、実際に筆者も「もって数年だろう」と見ていました。

 破産申請後も中国のSNSでは惜しむ声が見受けられます。

「デザインが好きだった」「こんなルックスのBEVはほかにない」というように、見た目の面白さを評価する人は今でも多いです。

 それだけハイファイに寄せられていた期待が大きかったものだと察せますが、一方でクルマを量産し、実際にお客さんに対してそれを売るのであればデザインだけでは不十分です。

 いくら見た目をよく繕ったとしても、しっかりと最後のユーザーまでサポートする姿勢を構築しなければ、自動車メーカーとしての責任を果たせているとは言えないでしょう。

買ったユーザーに誠意ある対応を…!

 また、中国のSNSに投稿されたハイファイ破産に関するコメント欄では、「次のハイファイはどこになるか」という予想で盛り上がっている様子も見られます。

 東南アジア市場を中心に販売を拡大する「NETA」や、広州汽車傘下の電動ブランド「HYCAN」を挙げる声は多く、実際にそれらのここ数年の展開を見てきた筆者も同様の感想を抱いています。

 中国では雨後の筍のように新興ブランドが誕生してきており、現在は熾烈な価格競争に勝てない存在が自然淘汰されるフェーズに入っています。

 この様子を繰り返し見てきた中国の消費者の間で「やはり昔からある伝統的メーカーが信頼できる」との認識も広まりつつあり、以前ほど新興ブランドが注目されなくなっている印象も受けます。

※ ※ ※

 今回倒産したハイファイのモデル自体は悪くありませんでしたが、品質やシステムなどが価格に見合っていないことが、中国をはじめとすつ市場で受け入れられなかったことが衰退の一因と言えます。

 前述の通り、今後、工場停止の6か月に新たな出資者の募集を含む、会社再生の手続きを行っていくようです。

 一方でハイファイのモデルを購入したユーザーや従業員に対する責任はしっかりとまっとうすべきでしょう。