2022年10月にTwitterを買収したイーロン・マスク氏は社員に対して「明日までにハードコアな職場を受け入れるか辞めるか決めろ」と通告しました。Xはこの通告を受け入れなかった元社員を解雇しましたが、アイルランドの職場関係委員会(WRC)はこの社員に対し55万ユーロ(約9000万円)を支払うことをXに命じました。

Record award of €550k to former Twitter senior executive

https://www.rte.ie/news/business/2024/0813/1464761-record-award-of-550k-to-former-twitter-senior-executive/



X ordered to pay $600K to fired employee who didn’t click 'yes' on email ultimatum

https://www.engadget.com/big-tech/x-ordered-to-pay-600k-to-fired-employee-who-didnt-click-yes-on-email-ultimatum-220130483.html

X must pay $600K to employee who didn't click yes to work 'hardcore' | Mashable

https://mashable.com/article/elon-musk-x-600k-employee-hardcore-email

マスク氏は2022年11月に社員に向けて「今後、画期的なTwitter2.0を構築し、ますます激化する競争の中で成功するためには、極めてハードコアであることが必要です。これは、長時間かつ高強度で働くことを意味します。従って、今後は並外れたパフォーマンスだけが合格点になります」と述べ、社員に対して全身全霊を傾けることを求めました。





また、マスク氏は自身が求める働き方に同意しない社員を追放する意向も示しており、社員に対し「新しいTwitterの一員になりたいと思う方は、以下のリンクから『はい』をクリックしてください。明日、木曜日の午後5時(東部標準時/日本時間の2022年11月18日7時)までにそうしなかった方には、3ヶ月間分の退職金が支払われます」との選択を迫っていました。

イーロン・マスクがTwitter社員に「明日までにハードコアな職場を受け入れるか辞めるか決めろ」と最後通牒を突きつける - GIGAZINE



当時Twitterの上級幹部だったゲイリー・ルーニー氏はマスク氏のこの選択に同意しなかったため、Twitterから解雇されることになりました。

しかし、WRCのマイケル・マクナミー裁定官は「マスク氏の『24時間』という期限は、社員が自分の仕事の行く末を考えるための『合理的な通知』ではありません」と裁定。また「このような状況に直面した際、提案に対する同意を拒否した社員を責めることはできません」と述べています。



そしてWRCは「マスク氏のメールから『はい』の選択を拒否することには解雇を強制する能力がなく、不公平で、ルーニー氏の解雇を正当化する根拠がありません」と結論付けました。さらにWRCはXに対し、ルーニー氏に不当解雇への賠償金として55万ユーロの支払いを命じています。

WRCの裁定について、ルーニー氏の弁護人であるバリー・ケニー氏は「この結果に非常に満足しています」と述べました。なお、今回の裁定に関してXはコメントしていません。