日本とカナダでこんなに違う「賃貸住宅」。家賃に含まれているものが多数
国によって異なる「賃貸」事情。今回は、ミニマルな暮らしにまつわる著作が多数ある、カナダ在住のブロガー筆子さん(現在60代)が、カナダの「賃貸住宅」事情について語ります。
カナダの「賃貸住宅」7つの特徴
私はマイホームをもたない派で、1996年の春にカナダに来て以来、ずっと賃貸住宅に住んでいます。物件や条件によって異なりはしますが、カナダの賃貸住宅の特徴を7つ紹介します。
●1:家賃に光熱費が含まれていることがある
日本だと、物件を借りたら、電気・ガス・水道のライフラインは自分で契約して料金を払うのが普通ですよね。ですが、カナダの賃貸物件は、家賃に光熱費が含まれていることもよくあります。
私の場合もそうで、自分で契約しているのはインターネットだけです。物件によっては、インターネットや駐車場も家賃に含まれていることがあります。
●2:家賃は上昇傾向にある
都市部(とくにトロント、バンクーバー、モントリオール)はとても家賃が高いです。物価も高いので、こうした場所に住むとかなり生活費がかかります。家賃が上昇している理由はいろいろありますが、おもなところを書いておくと、
・都市部に人が集中し、住宅がたりない。
・海外からの不動産投資のせいで、住宅の価格が釣り上げられている。
・カナダドルに対してアメリカドルが強すぎる。
カナダは多くの生活物資をアメリカから輸入しているので、米ドルが高いと生活費が上がります。
●3:多様な物件がある
日本の賃貸住宅は、アパート、マンション、一戸建てあたりがおもだと思います。しかし、カナダはもう少し物件が豊富。たとえば私も住んでいますが、ベースメント(地下、または半地下)の物件を借りることができます。
地下室があるのはおもに寒冷な気候のせい。霜柱の影響を受けにくくするため、家の基礎を凍結深度より深いところにするために地下室をつくります。
家やマンションをシェアする物件もたくさん。寝室は自分のプライベートスペースであり、キッチンやバスルームはシェアする形態です。予算が少ない若者や旅行者が利用することが多いですが、昨今は家賃が高いので、中高年でも家をシェアして借りることがあります。
●4:家具のあり・なしの選択肢がある
カナダの賃貸市場では、家具なしの物件が主流ですが、まれに家具つきのものもあります。おもに短期滞在者や外国人向けですが、ふつうの家でも家主の事情で家具がついていることがあります。
私がカナダで入居した最初の3軒は家具つきのシェアハウスでした。当時、学生だったので家具つきでよかったのですが、長期で住むときは家具がないほうが便利です。家具つきだと自分が好きなインテリアにできませんから。
●5:大型家電は装備されている
カナダの賃貸物件には、冷蔵庫や、洗濯機/衣類乾燥機、ストーブ(オーブンとコンロが合体した家電)はついています。そのため、私はこうした大型家電を自分で買ったことは一度もありません。新しい家ならディッシュウォッシャー(食洗機)もついていることが多いです。
共同住宅では、部屋の中ではない別のところにテナントが共同で使う洗濯機と衣類乾燥機が置かれていることもあります。
私の知人は毎回、1.5ドル払って洗濯機を使っています(現在、1カナダドルは107円ぐらい)。衣類乾燥機も同じ値段なので、洗濯するごとに3ドル必要なわけです。
私がカナダに来た1996年は、クラスメートが洗濯機を1回使うのに25セント必要だと言っていたので、かなりの値上がりです。
●6:入居時に「クレジットスコア」が重要視される
物件を見つけて入居を申し込むと、家主がその人が信用できるかどうか確認するために、通常、前の家主とその前の家主のリファレンスを取り、その人がちゃんと家賃を払う信用できる人か確認します。これは普通、電話で行われます。
また、その人が信用できるかどうか見極めるために「クレジットスコア」を聞かれます。クレジットスコアは、個人の信用度を示す数値。クレジットカードの利用履歴やローンなどの返済状況に基づいて算出されますが、家を借りたり、ローンを申請したりするときに非常に重要視されます。
カナダで生まれた大人なら、カードを使いすぎず、返済をちゃんとしていれば、いいスコアを取れます。ですが、外国から来たばかりの人は、そもそもスコアがないので、何か月分かの家賃を前払いしたり、資産があることを証明したりする必要があります。
●7:引っ越しは“自力”でする人がわりと多い
日本だと引っ越しをするとき、引越会社に荷物を運んでもらうのが一般的だと思います。しかしカナダ(アメリカもそうだと思いますが)では、『U-Haul』という引っ越しに使えるトラックを貸し出す会社からトラックやバンをレンタルして、自分たちだけで引っ越しをする人がたくさんいます。
私も5月に引っ越しをしたときは、娘にU-Haulでいちばん小さなバンを借りてもらって引っ越しをしました。
自力で引っ越すと、荷物の運搬は自分たちでやらなければならないので疲れますが、費用はかなり抑えられます。私も、引っ越しそのものは60ドルぐらいですみました。
以上、カナダの賃貸住宅事情を紹介しました。カナダと言っても広いですし、物件や家主によっても様子が違うことがありますので、参考程度にとどめておいてください。