日本時間の2024年7月19日に発生したCrowdStrikeの大規模障害では、850万台のWindows端末が影響を受けて航空業界や病院など膨大な量のシステムが動作不能に陥るなどの甚大な被害が発生しました。その中でも多大な被害を被ったデルタ航空のエド・バスティアンCEOが、障害発生から5日間で5億ドル(約750億円)もの損害が発生し、CrowdStrikeに対して損害賠償を求めることを明らかにしています。

Delta CEO: CrowdStrike-Microsoft outage cost the airline $500 million

https://www.cnbc.com/2024/07/31/delta-ceo-crowdstrike-microsoft-outage-cost-the-airline-500-million.html



Delta suffered $500M loss from CrowdStrike debacle: Ed Bastian

https://nypost.com/2024/07/31/business/delta-suffered-500m-loss-from-crowdstrike-debacle-ed-bastian/

2024年7月19日に発生したCrowdStrikeの大規模障害は、アップデートの際に問題のあるファイルを配信したことが原因とされています。CrowdStrikeは世界中で事業を展開しているセキュリティ企業で、民間企業や政府機関も顧客に抱えており、アメリカでは大規模障害に伴い多数のフライトの欠航と遅延が発生しました。

CrowdStrike関連の機能停止でデルタ航空は4000便以上をキャンセル、病院や政府機関にも甚大な影響を及ぼしている - GIGAZINE



CrowdStrikeの障害で特に被害が大きかったのがデルタ航空で、バスティアン氏によると、2024年7月19日から25日までの5日間で2019年以降最多となる5000便以上のフライトがキャンセルされたほか、デルタ航空が保有する4万台以上のサーバーを手動でリセットしなければならない事態に陥ったとのこと。

一連の障害による影響についてバスティアン氏は「5日間で5億ドルもの損害が発生しました」と述べています。なお、バスティアン氏によると、この数字にはフライトのキャンセルによって失われた収益だけでなく、1日当たり数千万ドル(数十億円)規模の顧客への保障金なども含まれているそうです。デルタ航空は今回の問題の影響を受けた顧客に対し、別のフライトで利用できるマイルとバウチャーを提供するとともに、ホテルや食事などの費用を負担することを表明していました。



バスティアン氏は「私たちに選択の余地はありません」と述べ、CrowdStrikeに対して損害賠償を求めることを報告。実際にデルタ航空は損害賠償請求に向けて、法律事務所・Boies Schiller Flexner LLPのデイビッド・ボイズ氏を招聘(しょうへい)したと発表しています。

バスティアン氏によると、CrowdStrikeはこれまでに航空会社を財政的に支援するオファーを出していないとのことで、これまでにCrowdStrikeから提供された唯一の支援は「無料のコンサルティングアドバイス」だけだったと批判しています。

損害賠償請求についてバスティアン氏は「私たちは株主だけでなくデルタ航空というブランドやその評判、顧客、従業員を守らなければなりません」と述べています。



なお、CrowdStrikeの広報担当者は「訴訟について何も知らされていません」とコメントしています。