粗品

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 7月20日から21日にかけフジテレビの「FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!」が放送された。平均世帯視聴率は6・1%と昨年の6・5%を下回ったが、「24時間テレビ」(8月31日〜9月1日)を放送する日本テレビの関係者は番組を見て頭を抱えたという。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

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 ちなみに、昨年の「24時間テレビ」の平均視聴率は11・3%で2桁を守っている。その差は歴然と言っていいはずだが……。日テレ関係者はこう言う。

「今年の『27時間テレビ』は後半に行くに従って数字を伸ばしました。2日目のエンディング(18:30〜21:54)の視聴率を比べると、昨年は世帯9・5%、個人6・5%でしたが、今年は世帯9・7%、個人6・9%と上げており、日曜夜の激戦区ながら同時間帯でトップ。しかも、この時間帯のコア視聴率は7・8%も取っていました。瞬間最高視聴率を見ても、昨年は初日(21:36)の“サビだけカラオケ”で世帯11・9%だったのに対し、今年は2日目夜9時頃の“カギダンススタジアム”で世帯12・2%、個人8・6%、コアにいたっては、なんと9・3%と驚異的な数字を記録しました」

粗品

 終盤にかけて勢いを増してきたというわけだ。

「番組の内容も変わりました。昨年は『千鳥の鬼レンチャン』をベースに、千鳥(大悟・ノブ)、かまいたち(山内健司・濱家隆一)、ダイアン(ユースケ・津田篤宏)が司会を務め、内輪ウケとしか思えないから騒ぎが目立ちました。今年は『新しいカギ』をベースに、霜降り明星(せいや・粗品)、チョコレートプラネット(松尾駿・長田庄平)、ハナコ(岡部大・秋山寛貴・菊田竜大)に司会が一新され、1日目の“学校かくれんぼ”や2日目の“カギダンス”など高校生をはじめとする出演者も素直に喜び、悔しがった。芸人たちはもちろん、目黒蓮や宮本亜門ら芸能人たちも真剣に応じたことで、他局の我々からしても、とても見やすく、面白く、感動もできました」

 今年のコンセプトは「日本一楽しい学園祭!」だった。

名門校がズラリ

「それだけに、ターゲットを高校生に絞り、かつてTBSで大ヒットした『学校へ行こう!』を彷彿とさせるノリでした。出場した高校も、“学校かくれんぼ”には名門・横浜高校、“逃走中”には高校野球・山梨県大会の準決勝が直後に控えていた日本航空高校、“高校生クイズ何問目?”には東大合格者のトップを争う開成高校VS筑波大附属駒場高校、“カギダンス”で優勝したのはサッカー強豪校の埼玉・武南高校……。各校が全面協力し、『日本一楽しい学園祭!』のタイトルに違わぬ内容でした。現役高校生の作り物でない喜怒哀楽に、コア視聴率も爆上がりしたのでしょう。地上波のリアルタイム視聴者数が下がっている中でコア層の目を向けさせることに成功しており、フジテレビ復活の狼煙と言っても過言ではありません」

 絶賛である。だからといって、日テレが脅威に感じるほどではないのでは?

「『27時間テレビ』には“100kmサバイバルマラソン”がありました。日テレの“24時間チャリティーマラソン”を意識した企画で、100kmの道のりを必要以上に休憩時間を取らずに走った場合、一体いつゴールできるのか?という検証が目的です。おまけに、優勝すれば賞金1000万円もついてくる。今年はお笑いトリオ・モシモシのいけが、2日目の午前11時32分頃にゴールしました」

 一方、「24時間テレビ」のチャリテーマラソンといえば、番組終了間近、「サライ」の大合唱と共に武道館か国技館にゴールというのがお決まりだ。もちろん賞金などない。

「テレビ最高〜!」

「チャリテーマラソンはネット上で『演出・感動の押しつけ』などと揶揄されています。サバイバルマラソンは夜中と午前中に走ったことで、『酷暑の中を走らせるな』という批判も上手くかわしました。一方、本家のチャリティマラソンは、わざわざ気温がピークの13〜15時ごろに追い込みをかけるわけですから、この差は大きい」

 司会にも考えさせられるところがあったという。

「『27時間テレビ』は重鎮のMCを置かず、霜降り、チョコプラ、ハナコという若手芸人のMCで乗り切りました。特に霜降りの粗品(31)は、前半こそ暴言や無茶ブリなどもありましたが、最終的にはしっかりと番組を仕切った。チョコプラの松尾駿(41)と長田庄平(44)は、上手くサブに徹しフォローに回った感じも良かった」

24時間テレビ」は羽鳥慎一アナ(53)と水卜麻美アナ(37)の2人で10年を務め、今年はそこにくりぃむしちゅーの上田晋也(54)が加わる。

「正直言って、10年続けてきたマンネリと古くささを感じざるを得ません。今年の『24時間テレビ』のプロデューサーは、顔面蒼白かもしれません。『27時間テレビ』は素直に感動できましたからね。日テレも感動の押しつけや演出をそぎ落とすべきでしょう。でなければ、日テレが信条とするコア視聴率で、『24時間テレビ』は負けてしまうかもしれません」

27時間テレビ」のラストで霜降り・せいや(31)は「テレビ最高〜!」と叫んだ。

「フジは今年1月クールの個人視聴率がテレビ東京にも抜かれ、どん底となりました。しかし、営業が重視するコア視聴率では、『新しいカギ』や『千鳥の鬼レンチャン』、深夜アニメ『鬼滅の刃』などで高視聴率を上げています。特番の『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』も上位を伺っています。そしてこの『27時間テレビ』で、ようやく数字と形に表れました。『テレビ最高〜!』という叫びは、フジのみならず地上波の復権を願う我々テレビマンにとっても頼もしい言葉でした。YouTubeやネットで、これだけのお祭りにすることなど無理ですから」

デイリー新潮編集部